シキチョウ 四季鳥
Shikichou
Copsychus saularis
Oriental Magpie Robin

シキチョウ スズメ目ヒタキ科
 英名を直訳すると東洋のカササギコマドリ
 濃い瑠璃色が美しい小鳥

   

バンコク市内での観察


シキチョウの動画

 タイのバンコク市内にあるルンピニー公園は早朝からランナーや散歩、ダンス、太極拳などでにぎわう広大な都市公園です。水辺も豊富なので色々な野鳥のオアシスになっているとのこと。短い滞在の仕事でバンコクを訪れているだけなので、鳥見のためにわざわざ深い山に入ることはできませんが、この公園をくまなく歩けば日本では見られない鳥達に出会えるチャンスかも。。。と、ここまでは出発前にネットで調査しておいて、V1に70-300mmとこの機会のために調達したマンフロットの3way雲台付きお手軽三脚をしょって、いざ海外鳥見の開始です。
 公園を歩き始めてすぐ、水辺に近い木の上に丁度セキレイサイズの見た目オオルリっぽい小鳥がいるのを見つけました。オオルリより尾羽が長く、翼に大きな白いラインがありますが、顔から胸のあたりはオオルリそっくりで、おそらくツグミ系の小鳥だと思われます。しばらく観察していたところ、逃げるときの飛翔姿がカササギにそっくりだと感じました。サイズや種が違えど似た姿の鳥がいるということは、このような彩りにも自然界では何かしら意味があるのだろうなと思えました。この小鳥は公園内にたくさんいて、それこそセキレイなみの数です。きっとこの地ではメジャーな小鳥なのでしょう。
 ホテルに帰って持参してきた東南アジアの野鳥図鑑で調べてみますと、Oriental Magpie Robinという名の小鳥だとわかりました。Magpieはカササギのことですから、私の感じたそのままが命名されていてとても納得。ただ、その後のRobinとはコマドリのことですが、彼彼女のさえずりを聞いた記憶がありません。色々調べてみても、確かに声が美しいので飼い鳥にすることがあると書かれていますから、本当は美声の持ち主なのでしょう。しかし私が至近距離で見たある小鳥などは、ちょうどコサメビタキのような小声でぐずっていました。なんともさえない声でありました。。はたして時期が悪いのか、それとも微妙に種が違うのか。さえずりも疑問ですが、尾羽の長さが長いのがいたり短いのがいたりするのも不思議な小鳥です。生え変わりの時期なのか、何かに襲われやすいどんくさい小鳥で尾羽が短くなってしまうのかよくわかりません。尾羽の長いのはセキレイみたいな姿になりますし、短いのは白ラインの入ったオオルリみたいになってしまいます。尾羽の長短で亜種がいるのかといろいろ調べてみましたが、図鑑では長い尾羽です。また数羽見かけた幼鳥は皆長かったので、やはりなんらかの原因で短くなる個体が多いのでしょうね。ちなみにこの小鳥、バングラデシュ(タイの北側隣国)では国鳥なのだそうです。なお、日本では四季鳥と名づけられているようですが、なぜ四季なのかは不明です。

 追記:初見から3年後の2019年夏にもう一度同じ公園でシキチョウを観察したところ、このとき見た個体も尾羽が短くなっていました。尾羽の長さがばらついているのであきらかに先を失ったものと思われます。やはり敵に狙われやすいのか、もしかして冒険大好きでやんちゃなのか?いつも気になる小鳥です。  
 左「シキチョウの動画」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。動画は20MBありますので、DL環境にご注意ください。


シキチョウ ♂

 ここで紹介するシキチョウは♂で尾羽が短くなっている個体です。そんなもので、最初正面から見つけたときは「タイでオオルリに至近距離で遭うとはなんと奇遇な」とか思ってしまいましたが、実際はシキチョウくんでした。
 この小鳥がぐずってのどをふくらませている姿が上の動画の中ほどに出てきます。でも声は聞こえません。。歌を忘れたコマドリさんですか。。。

 左「シキチョウ ♂」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。


シキチョウ ♀

 シキチョウ ♀ は ♂ に比べて色が薄く全体的にグレーです。当地では幼鳥も見ていて、ぱっとみ似ていますが、口元がしっかりしているので、こちらは成鳥のようです。
 鳥が背伸びするのは警戒している様子だとのこと。公園で不意に出会ったので少し驚かせてしまったのかもしれません。ただ、警戒しつつも逃げなかったので、どちらかというと「あっちいけ」の強いアピールだったのかも。。

 左「シキチョウ ♀」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。


シキチョウ 幼鳥

 こちらはお口のあたりからして幼鳥だと思われます。色が薄めで上記の ♀ 風ではありますが、そもそも小鳥は幼鳥の頃 ♀っぽい色合いのものが多いので、このお子さんが雌雄どちらなのかは不明です。
 この個体は幼鳥だからなのか、街中で育ったからなのか非常に人馴れしていて、5m以内に近づいても逃げません。公園内には猫が多いのでちょっと心配になります。この小鳥だけでなく、ハトなんかも猫が近づいてきてもあまり逃げないので見ていてドキドキしました。このお子様には長い尾羽のまま元気に育って欲しいものです。

 左「シキチョウ 幼鳥」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。


観察データ

場所と回数:タイのルンピニー公園 3回、都合3回。タイでの観察はこの公園以外は道端のみですので、詳しいことは不明です。二度行って二度とも多数見ているので、日本で例えればハクセキレイみたいにフレンドリーな小鳥ですね。

観察月と回数:
1月0
2月0
3月0
4月0
5月0
6月0
7月1 〇
8月2 〇〇
9月0
10月0
11月0
12月0
留鳥で年中見られるようです。ちなみに朝でも昼でも見られます。




 (トップ画像 シキチョウ ♂ 2019/07/10 V1 70-300mm タイ ルンピニー公園にて撮影)

 初出:2016/08/14
 初出:2016/08/16 トップ画像を差し替え
 改定:2021/7/30 科をツグミ科からヒタキ科へ修正。♀の画像追加とトップ絵の差し替え。ヒタキ科へのリンクと観察データの追加