日本のトンボ「ヤンマ、サナエの仲間」
Japanese Dragonflies Anisoptera-1
report from Yokohama, Fukuyama city.
ヤンマ、サナエトンボの仲間について

 




 ヤンマやサナエトンボは、いわゆる虎カラーをしたトンボが多い、見た目スマートなトンボ達です。
 ヤンマの仲間は小さい種もいますが、ギンヤンマやオニヤンマのように概ね体格が良く、精悍で恰好いいトンボが多いです。一方で、似た模様の種が多いので見分けるのに苦労します。私などは、やはりしっかり写真に残して後から図鑑とにらめっこするしかありません。ただ敵もさるもの、大型ヤンマは飛翔力が強くて中々草木で休憩してくれることもなく、飛翔姿を撮るのにこれまた苦労、というよりは「カメラ修業」が続くことになります。




ヤンマ科 Aeshnidae




「サラサヤンマ ♂」 クリックで拡大します

サラサヤンマ ♂

広島県福山市
1024×682 px
2022/05/28
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3

 サラサヤンマは以前福山に住んでいた時に見たことがなかった種です。7年ぶりで初夏になじみの観察場所に来て、見慣れぬ初見の種が観察できて驚かされたとともに、来た甲斐があってとても嬉しく感じました。





「ミルンヤンマ ♂」 クリックで拡大します

ミルンヤンマ ♂

山梨県南巨摩郡
1024×682 px
2022/10/01
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR





「ミルンヤンマ ♀ 産卵」 クリックで拡大します

ミルンヤンマ ♀ 産卵

山梨県南巨摩郡
1024×682 px
2022/10/01
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR

 横に谷筋の水が流れているのに、わざわざ朽ち木に産卵するのは面白いな、と思いました。



「オオルリボシヤンマ ♂ の飛翔」 クリックで拡大します

オオルリボシヤンマ ♂ の飛翔

長野県松本市
1024×682 px
2023/09/02
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3

 この写真、実は露出設定を間違ったまま撮ったものです。早く気が付けば良いものの、この日一日全て間違った露出で撮ってしまいました。わりと普通に撮れているものもあれば、この絵のようにボケたうえで油絵のごとくになってしまったものもあり、「ま、これはこれで面白いのでは?」とここに貼らせてもらうこととしました。ちなみに前日のスーパーブルームーンを撮るときにマイナス補正を最大限で試し撮りしたのを戻し忘れておりました。

「オオルリボシヤンマ ♀ の飛翔 1」 クリックで拡大します

オオルリボシヤンマ ♀ の飛翔1

長野県南佐久郡
900×300 px
2018/08/04
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR



「オオルリボシヤンマ ♀ の飛翔 2」 クリックで拡大します

オオルリボシヤンマ ♀ の飛翔 2

山梨県南巨摩郡
1024×682 px
2022/10/01
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR


「オオルリボシヤンマ ♀ 産卵」 クリックで拡大します

オオルリボシヤンマ ♀ 産卵

長野県南佐久郡
1024×682 px
2018/08/04
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR

 この産卵場所の池は亜高山にあって、冬から初春まで非常に厚い氷や雪で覆われます。ヤゴの生命力は凄いですね
 私のオオルリボシヤンマの記録は3回あって、皆が山地の涼しげな場所にある池周辺で撮っています。観察は8/4~10/1となっていて、図鑑を見ても梅雨明け後の真夏から初秋が良いようです。





「ルリボシヤンマ ♂ の飛翔」 クリックで拡大します

ルリボシヤンマ ♂ の飛翔

長野県松本市
1024×682 px
2023/09/16
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR

 ルリボシヤンマは名前のごとくオオルリボシヤンマと近い仲間で見た目もよく似ています。具体的にはオオルリボシヤンマの方が腹の色づき加減が全体に青っぽくなり、ルリボシの方は青に緑や黄も混じって地味な感じです。
 オオルリボシヤンマと同じく、ルリボシヤンマも亜高山で観察しています。どちらも飛翔力が強く、止まったところを中々観察できないため、同定にはかなり苦労します。この絵は、ときおりホバリングする個体をみつけたので、マニュアルフォーカスで合わせこみしてなんとかピント合わせることができました。実は同じ場所でオオルリボシヤンマも見ていたため、撮った写真を見直すまではてっきりオオルリボシヤンマを撮ったつもりでおりました。両者が同じ時期に同じ場所で飛んでいるのを見たのは初めての経験だったので、この結果には少し驚かされました。
 観察時期や環境はオオルリボシヤンマとほぼ同じです。両者はいったいどういう棲み分けなのか、興味が沸くところです。


「ルリボシヤンマ ♀ 産卵」 クリックで拡大します

ルリボシヤンマ ♀ 産卵

長野県松本市
1024×682 px
2023/09/16
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR

 ルリボシヤンマの ♀ が産卵のため水草の根もとに降りたところです。残念ながら腹回りは草に隠れてしまいました。
 当地ではオオルリボシヤンマも見ているので、この絵の判別は正直あまり自信がありません。胴の模様が図鑑の絵と似ているのがルリボシヤンマだったので、たぶんそうなのだろうと判断しました。(肩に近い胴の黄色い線の上部が真っすぐで、2本の線の間に黄色い点が一つみえるところ。オオルリ♀は上部がL字に見え、点もない)自信の具合は70%くらいでしょうか。





「ギンヤンマ ♂」 クリックで拡大します

ギンヤンマ ♂

茨城県稲敷市
1024×682 px
2015/08/22
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3

 ギンヤンマがこの絵のように単独で草木に止まっている姿を見るのはかなり稀です。



「ギンヤンマ ♂ の飛翔」 クリックで拡大します

ギンヤンマ ♂ の飛翔

東京都立川市
1024×682 px
2022/09/17
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3



「ギンヤンマ ♂ ♀ 産卵」 クリックで拡大します

ギンヤンマ ♂ ♀ 産卵

東京都立川市
1024×682 px
2022/09/17
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3
 ギンヤンマは街中の池周辺でも見られるのでかなり一般的なトンボです。しかし絵に残す難易度が非常に高いため、私の写真記録は2度しかありません。時期的には初夏から10月一杯までと長いですが、イメージ的には真夏のトンボです。子供のとき夏休みに網を持ってギンヤンマを追いかけた経験が刷り込まれているような気がします。



「クロスジギンヤンマ ♂」 クリックで拡大します

クロスジギンヤンマ ♂

広島県福山市
1024×682 px
2024/05/11
Sony α7iii Mode M
AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3

 初めてクロスジギンヤンマを記録に残せました。
 α7にアダプターを挟んでサンヨンという機材でしたので、マニュアルモードに置きピンという修業状態での戦いとなりました。30分ほど粘って、なんとか判別できる程度の絵を残すことができ、ラッキーだったと思います。仮にD500だったとしても置きピンぶっつけという条件は変わらなかったと思いますが。。ヤンマの飛翔は難しいです。


 






サナエトンボ科 Aeshnidae




「ウチワヤンマ ♂」 クリックで拡大します

ウチワヤンマ ♂

広島県福山市
1024×682 px
2010/08/01
Nikon D200 Mode A
Nion AiAF ED 300mm/F4s

 ウチワヤンマは尾の先のウチワ部分が大きくて、内側に黄色い部分がはっきりと入っています。



「ウチワヤンマ ♂ ♀ ペア」 クリックで拡大します

ウチワヤンマ ♂ ♀ ペア

広島県福山市
1024×682 px
2010/08/01
Nikon D200 Mode A
Nion AiAF ED 300mm/F4s





「タイワンウチワヤンマ ♂ 1」 クリックで拡大します

タイワンウチワヤンマ ♂ 1

岡山県笠岡市
1024×682 px
2013/08/18
Nikon V1 Mode A
Nion AiAF ED 300mm/F4s



「タイワンウチワヤンマ ♂ 2」 クリックで拡大します

タイワンウチワヤンマ ♂ 2

広島県福山市
1024×682 px
2022/08/21
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3

 タイワンウチワヤンマは尾の先のウチワ部分が小さくて、黒一色です。
 私の記録は3度。7/7~8/1と真夏に見ています。場所は平地が多いですね。





「コオニヤンマ ♂」 クリックで拡大します

コオニヤンマ ♂

広島県福山市
1024×682 px
2015/07/20
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3

 コオニヤンマはかなり大型のトンボですが、頭は非常に小さいのが特徴です。



「コオニヤンマ ♀」 クリックで拡大します

コオニヤンマ ♀

広島県福山市
1024×682 px
2010/08/01
Nikon D200 Mode A
Nion AiAF ED 300mm/F4s

 コオニヤンマは後ろ足が非常に長いのも特徴的です。
 記録をみると合計12回の記録がありました。サナエトンボの仲間では最も観察回数が多い部類だと思います。時期的には5/31~8/14まであって、初夏からお盆くらいまでの夏のトンボというイメージがあります。場所は少し山に入った川の上流で見ることが多いです。





「クロサナエ ♂」 クリックで拡大します

クロサナエ ♂

岡山県苫田郡
1024×682 px
2015/05/17
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3

 新緑の季節に標高1,000mの森林公園で見つけました。以後クロサナエとは出会えていません。





「ダビドサナエ ♂」 クリックで拡大します

ダビドサナエ ♂

神奈川県相模原市
1024×682 px
2023/05/03
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3

 知り合いから神奈川県内でトンボが豊かな場所を教えてもらい、この日は近場でサナエトンボを3種観察することができました。(ダビドサナエ、コサナエ、ヤマサナエ)



「ダビドサナエ ♀ 1」 クリックで拡大します

ダビドサナエ ♀ 1

広島県福山市
1024×682 px
2015/06/28
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3

 体の縞が水色なので、未成熟の個体のようです。図鑑によると、オスは青緑のまま老成していきますが、♀は黄色くなるようです。



「ダビドサナエ ♀ 2」 クリックで拡大します

ダビドサナエ ♀ 2

広島県福山市
1024×682 px
2015/06/28
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3

 ダビドサナエの観察は3度あって、いずれも川の上流あたりで見ています。





「ヒメサナエ ♂」 クリックで拡大します

ヒメサナエ ♂

広島県庄原市
1024×682 px
2015/07/12
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3

 サンコウチョウを探しに行った中国山地の入り口にある沢地で見つけました。お尻が凹んでいるのはトカゲか小鳥に襲われて噛みつかれたものの、危機一髪で脱出できたのではないかみたいに想像しました。ちょっとばかり励ましたくなります。どんまい!



「ヒメサナエ ♀」 クリックで拡大します

ヒメサナエ ♀

広島県庄原市
1024×682 px
2015/07/26
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3

 ヒメサナエの観察は2度のみ。山の中の苔が生えるような小川付近で見ています。





「タベサナエ ♂」 クリックで拡大します

タベサナエ ♂

愛知県岡崎市
1024×682 px
2024/05/05
Sony α7iii Mode Manual
AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3

 2024年のGW横浜から大阪までバイクで移動することとなり、途中の富士川から岡崎までを下道(バイパス)で移動することとしました。途中静岡と愛知でトンボ観察をはさみ、池や湿地で初夏のトンボを探したところ、愛知の湿地でこの小さなサナエトンボを見つけました。
 サナエトンボは瀬戸内でも関東でも観察済みですが、私は特にコサナエ属と相性が良く、これまで4種のコサナエ属と出会い済みです。ただ関東ではコサナエ1種のみの記録で、あとの3種は皆が福山での記録しかありません。
 今回その中間地点の愛知県でコサナエ属らしきトンボを見つけました。胴部の模様からフタスジサナエではありません。オグマサナエは西日本のものですから可能性は低い。で、前肩条がないことに気づき、これはタベサナエらしいとわかりました。私が福山時代に撮った記録と見比べても、模様・色目はほぼ同じです。公的機関の情報でも今回観察した場所でタベサナエの観察記録が報告されているので、まず間違いないだろうと同定しました。



「タベサナエ ♂ 側面」 クリックで拡大します

タベサナエ ♂ 側面

愛知県岡崎市
1024×682 px
2024/05/05
Sony α7iii Mode Manual
AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3

 一つ上の絵と同じ個体の記録です。側面だけだとコサナエやオグマサナエとの区別が難しいですね。



「タベサナエ ♂ 岡山県」 クリックで拡大します

タベサナエ ♂ 岡山県

愛知県岡崎市
1024×682 px
2024/05/05
Sony α7iii Mode Manual
AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3

 上の絵から4日後今度は岡山で見つけたタベサナエ ♂ 。福山時代は下の絵の一度きりしか出会いがなかったのですが、実は近くにいたのですね。
 α7iiiにNikonpfサンヨン+1.4xで撮っています。マニュアルでも問題なく撮れますが、色目の出方がNikonと違うので未だ慣れない感じです。




「タベサナエ ♀ ♂ ペア」 クリックで拡大します

タベサナエ ♀ ♂ ペア

広島県福山市
1024×682 px
2009/04/29
Nikon D200 Mode A
Nikon AiAF ED 300mm/F4s

 このトンボがタベトンボであると考えたのは、背中の前肩条(L型の模様の外側の小さな筋模様)がない点にあります。ただ同じ場所で見られるオグマサナエやフタスジサナエなんかでも前肩条を失った個体がいるそうなので、それだけでは決定打になりません。では何故このペアがタベサナエだと断定したのか?ですが、一つ目は長くこの場所でトンボを見てきて、前肩条のないコサナエ属のトンボ個体を他に見たことがなかった・・レアである。という点。二つ目はこの絵では分かりにくいですが、奥の♂に焦点が行っている絵で見ると ♂ の前肩条も同じように無いことが分かりまして、「 ♂ ♀ 同時に、前肩条のない個体がたまたまペアになる確率は普通考えても相当レアであろう」という点から、このペアはタベサナエであろうと考えた次第です。自信のほどは70%くらいでしょうか。。





「オグマサナエ ♂ 1」 クリックで拡大します

オグマサナエ ♂ 1

広島県福山市
1024×682 px
2014/05/06
Nikon D200 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3

 オグマサナエはVU希少種に分類されている、結構珍しいトンボだそうです。私はそんなことはつゆ知らず、HPに絵を載せていましたが、その後この絵をきっかけに、トンボ専門家の方がこの地に近い地域で、2020年以降、実際に採取もされて当該種であると現認されたそうです。ちなみにこの種が県内で正式に現認されたのはおよそ20年ぶりくらいだったそうで、自分のかってのホームグラウンドがそれほどに自然豊かな場所だったのだと思うと、嬉しさもひとしおのトピックでありました。



「オグマサナエ ♂ 2」 クリックで拡大します

オグマサナエ ♂ 2

広島県福山市
1024×682 px
2015/05/10
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3




「オグマサナエ ♀ 1」 クリックで拡大します

オグマサナエ ♀ 1

広島県福山市
1024×682 px
2013/05/06
Nikon V1 Mode A
Nkion AiAF ED 300mm/F4s



「オグマサナエ ♀ 2」 クリックで拡大します

オグマサナエ ♀ 2

広島県福山市
800×533 px
2013/05/06
Nikon V1 Mode A
Nkion AiAF ED 300mm/F4s

 上の絵だけだとオグマサナエなのかフタスジサナエか分かりにくいので、少し横から写した絵も置いておきます。羽の影があって少しわかりにくいですが、「フタスジ」にはなっていないことがわかるかと思います。
 オグマサナエの記録は4度ありました。それぞれ年度は違っていますが、5/2~5/10の間に集中していますので見られる時期は限られているように思えます。





「コサナエ ♂」 クリックで拡大します

コサナエ ♂

新潟県十日町市
1024×682 px
2022/06/18
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR

 新潟に鳥見に出かけて見つけた小さいサナエトンボ。見た目は福山で見たオグマサナエにそっくりですが、コサナエというトンボだとわかりました。ちなみにコサナエは寒冷地に多いようで、福山のような瀬戸内沿いの地域にはいないようです。関東(信越)の地に感謝です。





「コサナエ ♀」 クリックで拡大します

コサナエ ♀

新潟県十日町市
1024×682 px
2022/06/18
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR

 コサナエの記録は4度あります。場所は里山から高原まで。時期はGW~7月一杯くらいまでと割と長期間見られる印象です。関東では神奈川から群馬まで広範囲で見ています。





「フタスジサナエ ♂」 クリックで拡大します

フタスジサナエ ♂

広島県福山市
1024×682 px
2013/05/06
Nikon V1 Mode A
Nion AiAF ED 300mm/F4s

 私が福山でいつもトンボ探しする場所では、フタスジサナエはわりと普通に見かけます。ただフタスジサナエもオグマサナエ同様に希少種であって、NTに分類されています。ちなみに"NT"は準絶滅危惧種です。一方、オグマサナエは"VU"で絶滅危惧種II類となり、NTよりも一段階危惧度が高いこととなります。
 両種ともコサナエ属であり、私が観察した福山のホームグラウンドではタベサナエ含めてコサナエ属の3種が共存しているようです。小鳥も近い種が同じ場所に居たりするものですけど、トンボなどはその地で繁殖しているものが多いわけなので、いったいどういう棲み分けなのか、いつも不思議に思います。
 ちなみにコサナエは見た目オグマサナエにそっくりですが、図鑑によると広島県には生息記録がないようで、逆にオグマサナエは西日本に多いようなので、同定の参考にさせてもらっています。



「フタスジサナエ ♀」 クリックで拡大します

フタスジサナエ ♀

広島県福山市
1024×682 px
2014/05/06
Nikon D200 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3

 フタスジサナエは合計10度の記録が残っています。ただし場所は一か所のみです。時期は5/4~6/16のほぼ一月に集中しています。





「ヤマサナエ ♂」 クリックで拡大します

ヤマサナエ ♂

広島県福山市
1024×682 px
2013/06/08
Nikon V1 Mode A
Nion AiAF ED 300mm/F4s

 図鑑によるとヤマサナエのオスは成熟すると薄いグリーンになるようですが、私が見る個体は皆黄色いものばかり。自分のヤマサナエの観察記録を見ると5,6月に集中しているので、時期が早くてまだ成熟していないのかもしれません。ただ、逆に7月以降の記録がないのは何故なのでしょう。図鑑を見ても5~7月がメインのようなので、どうして夏の出会いがないのかとても不思議ですね。ちなみに自分の記録では4月29日~6月20日の間で7回の撮影記録があります。


「ヤマサナエ ♂ 正面」 クリックで拡大します

ヤマサナエ ♂ 正面

神奈川県相模原市
1024×682 px
2022/06/04
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR

 横浜に住み始めて地元神奈川県で初めて見つけたヤマサナエです。広島県から神奈川県に移り住んでから、地元でトンボを見る機会がめっきり減っているので、久しぶりにヤマサナエと出会えてとても嬉しかったです。



「ヤマサナエ ♀」 クリックで拡大します

ヤマサナエ ♀

広島県福山市
1024×682 px
2013/05/25
Nikon V1 Mode A
Nion AiAF ED 300mm/F4s

 撮影記録は7回ありました。期間はGW~6/20まで。さほど山奥ではない里山や小川沿いにいる印象です。





「ムカシヤンマ ♂」 クリックで拡大します

ムカシヤンマ ♂

広島県福山市
1024×682 px
2013/05/25
Nikon V1 Mode A
Nion AiAF ED 300mm/F4s

 トンボの中で”ムカシ”が頭に付く種としてはムカシトンボとムカシヤンマの2種がいて、そのうち、生きた化石と言われるのはムカシトンボの方です。それでもこのムカシヤンマも原始的な特徴を持っているトンボだそうで、貴重な生き物だと言えます。
 このトンボは他のトンボと違って、ヤゴは池や川で育つのではなく、清水が岩肌を伝うような場所に穴を掘って過ごすのだとか。当然山深く、湿った場所でしか繁殖できないので、街ではまず見られないトンボとなります。
 私の記録では福山市と新潟の十日町市の2か所で観察記録があります。福山では4度ほど記録があるので、個人的にはそれほど珍しいトンボというイメージはありません。また動きが非常にどんくさいので、観察は容易です。人間がいても意に介さず、そもそもがノソノソとした飛び方ですし、草木に止まるのさえ下手くそで、少し横から風が吹くと必死でしがみついている感がもの凄く感じられます。胴体が太くて大きいので身体も重く、俊敏性には欠けるのでしょうね。



「ムカシヤンマ ♀」 クリックで拡大します

ムカシヤンマ ♀

新潟県十日町市
1024×682 px
2019/05/26
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR
AF-S TC-14E III TC14E3

 十日町市の山道を歩いていたとき、嫁さんの帽子に止まったムカシヤンマの ♀ です。腹が太くて、♂ 以上に重たそうな姿です。ちなみに、ムカシヤンマは私の出会いの中で、近くの人間に止まったこと3度というとてもフレンドリーなトンボです。(私の足にも一度ひっついてくれました)





「オニヤンマ ♂」 クリックで拡大します

オニヤンマ ♂

広島県福山市
1024×682 px
2013/05/25
Nikon V1 Mode A
Nion AiAF ED 300mm/F4s

 自分にとっての”トンボの季節”は”初夏”です。その対象は主サナエトンボになりますが、カワトンボやサナエトンボなど、街中で見られないトンボが一斉に現れるのでその印象が強いです。
 一方、オニヤンマは”真夏”の印象が一番強いトンボです。私のオニヤンマの撮影記録は6回あって、7月2日~9月7日の間にあります。セミの声がシャワーのごとく降り注ぐ山の中、日差しも強く蒸し暑い環境にぐったり。我慢できなくなって日陰でしばしの休憩をしていたら、オニヤンマの巡回に遭遇した。みたいななシチュエーションですね。もっと言うと、暑いのを我慢して鳥見に出かけたところ、肝心の鳥には振られつつもオニヤンマに慰めてもらった。というのが典型的なパターンである気がします。



「オニヤンマ ♂ 飛翔」 クリックで拡大します

オニヤンマ ♂

静岡県裾野市
1024×682 px
2023/08/11
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR

 真夏に鳥やトンボを観察しに行く場合、早朝から家を出て暑くなる前に避暑地に入るのが常です。
 この時期はだいたい富士山周辺の水場へ出かけます。今回紹介するオニヤンマはそんな清水が湧き出る山の中で撮りました。木々で薄暗い中に木漏れ日が入るような場所で、清水が浅い川みたいにじわじわと流れているという、オニヤンマの紹介書にあるとおりの環境な場所です。福山ではオニヤンマはほぼ単独でしか見かけませんでしたが、ここはそんな理想的な場所ゆえか、沸いたようにたくさんのオニヤンマがいました。ちょくちょくバトルも発生して、賑やかな感じでした。



「オニヤンマ ♀ 未成熟」 クリックで拡大します

オニヤンマ ♀ 未成熟

広島県福山市
1024×682 px
2013/07/14
Nikon D200 Mode A
Nion AiAF ED 300mm/F4s

 オニヤンマの ♀ には産卵管が見えているので ♂ との区別は比較的容易です。翅が柔らかそうで傷もなく綺麗ですし、眼の色が緑でなくグレーなので、まだ生まれて間もない未成熟な個体だろうと思われます。


「オニヤンマ ♀ 産卵飛翔」 クリックで拡大します

オニヤンマ ♀ 産卵飛翔

静岡県裾野市
1024×682 px
2023/07/29
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR

 先に♂の飛翔を紹介したのと同じ場所で撮った♀の産卵飛翔です。
 オニヤンマは産卵のとき泥まで産卵管を差し込んで産卵するので、数十センチ上空で上を向いてホバリングしながら、「ズボ!」という感じで着水して産卵し、すぐにまたホバリングに戻り。。ということを繰り返します。こういう状況ですと私のような腕の足りないカメラマンでも落ち着いてマニュアルフォーカスできるので、飛翔写真の練習にはもってこいなトンボです(ただし産卵中の ♀ に限ります)。





(TOP画像 ウチワヤンマ 2010/08/01 D200 300mm/F4 福山市芦田川下流周辺にて)




 改訂:2024/05/05 タベサナエの画像追加。