日本のトンボ
「エゾトンボ、トンボの仲間」
Japanese Dragonflies "Anisoptera-2"
Japanese Dragonflies. report from Yokohama, Fukuyama city.
エゾトンボ、トンボの仲間について

 


エゾトンボ科 Aeshnidae



 エゾトンボの仲間はあまり一般的ではありません。特定の時期に特定の場所に行けば出会えるようなトンボです。現在私が紹介できるのは2種のみですが、この2種は全国的に広く見られる種のようです。




「トラフトンボ ♂」 クリックで拡大します

トラフトンボ ♂

広島県福山市
1024×682 px
2013/04/29
Nikon V1 Mode A
Nion AiAF ED 300mm F4s

 トラフトンボは名前のまんま、黄色いトラ模様のとんぼです。ちなみにトラフは漢字で虎斑と書きます。トンボのトラ模様と言いますと、およそヤンマやサナエトンボの仲間に多い模様です。つまり、「しゅっとした姿」のトンボに多い印象ですが、トラフトンボはわりとずんぐりした姿のトンボなので、ヤンマ系との見分けは簡単かと思います。
 私の撮影記録は過去福山で3年に渡って4回ありますが、4月27日~5月6日の間、つまりGWの頃に集中しています。写真を見る限り複眼の色目がグレー系なので、この時期だとまだふ化して間もない個体だったのだろうと思います。成熟すると綺麗な緑色になるようです。



「トラフトンボ ♀」 クリックで拡大します

トラフトンボ ♀

広島県福山市
1024×682 px
2012/05/05
Nikon V1 Mode A
Nion AiAF ED 300mm F4s

 トラフトンボのメスは羽の前縁に沿って黒い色が目立ちます。他のトンボではあまり見かけない羽模様ですね。





「タカネトンボ ♂」 拡大はなしです

タカネトンボ ♂

広島県福山市
1024×682 px
2015/08/01
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3

 タカネトンボの”タカネ”は漢字で”高嶺”と書かれます。私が出会ったのも福山市の北の端に位置する中国山地の山の上(標高400m弱)です。瀬戸内に近い福山のホームグラウンドの低山では見たことがないトンボでした。図鑑では平地にもいるとのことですが、やはり名前の通り、多少高めの山にいる確率が高いのかなと思います。
 このタカネトンボは割と飛翔力が強いトンボなのか、しばらく待っても頭上を舞うばかりで草木で一服の静止撮影チャンスはありませんでした。当時使っていたTamronの望遠ズームでは、すばしっこいトンボの飛翔絵を撮るのは難しく、このようなボケボケの絵しか残せませんでしたので拡大写真はありません。超望遠だと画角が小さいため高速で飛ぶトンボは難易度が高すぎです。このときは190mmの焦点距離まで望遠を戻しても、この絵でやっとのことでした。。今ならもう少しましな絵が撮れるかな?あまり自信はないけど、次に出会ったらせめてもう少し粘ってみようと思います。(この日はあまりに暑すぎて我慢できなかった。。)





トンボ科 Libellulidae



 トンボの仲間は赤トンボとシオカラトンボのように赤と青のトンボが多く、体がふと短くて赤い色や水色をしているトンボは、まずこのトンボ科の仲間だと思って間違いありません。水辺さえあれば街中でも普通に見られるトンボたちが大半を占めるので、なじみ深いトンボたちだと思います。
 もちろん赤トンボにもたくさんの種がいて、中にはハッチョウトンボのようにミニチュアみたいなトンボもいますし、高地にいかないと見られない種や、逆に海辺にしかいない種などもいます。、赤トンボだけでなく、水色をしたトンボたちもかなりの種に分かれているので、このトンボ科の仲間はぱっと見に惑わされなず、思い込みで見逃すことがないように、よくよく注意が必要です。




「チョウトンボ ♂ その1」 クリックで拡大します

チョウトンボ ♂ その1

広島県福山市
1024×682 px
2013/08/04
Nikon D200 Mode A
Nion AiAF ED 300mm F4s

 チョウトンボはその名の通りチョウのように大きな羽をもったトンボで、ひらひらと軽やかに飛ぶ美しいトンボです。またトンボの中では珍しく、構造色による青い羽を持っていて、夏の日差しの下で妖しい輝きを見せてくれます。
 一番よく観察できる季節は正に盛夏の頃です。8月のお盆の時期に、自然の残った郊外の穏やかな水辺で探すのが良いと思います。この時期の観察は暑さで心が折れそうになりますが、チョウトンボを見るとなぜか心が涼やかに落ち着く気がします。
 チョウトンボの記録は12回あって皆平地で見ています。街の公園でも見ていますし、珍しく海辺でも2度ほど見ているので、比較的人の暮らしに近い場所で見られるトンボだと思います。
 この個体は♂です。



「チョウトンボ ♂ その2」 クリックで拡大します

チョウトンボ ♂ その2

広島県福山市
1024×682 px
2013/08/04
Nikon D200 Mode A
Nion AiAF ED 300mm F4s

 上の2枚を撮った場所は、砂留といわれる川の上流の堰でできた溜まり周辺です。昔、土石流を防ぐために石を積んで堰止めを作ったそうで、そこの上流が小さな池のような淀み場になっています。しかし緩いながらも一応流れがある川なので、水質もよく、周辺はトンボの楽園のようになっています。
 川の縁のカヤやスゲが生い茂っている場所はトンボの休憩場ですね。よく見るとイトトンボ類もたくさん隠れていたりします。生き物には何気ない自然が一番です。



「チョウトンボ ♂ 飛翔」 クリックで拡大します

チョウトンボ ♂ 飛翔

広島県福山市
1024×682 px
2022/08/28
Nikon D500 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3

 川の淀みで巡回飛翔していたチョウトンボにチャレンジしてみました。チョウトンボは飛ぶと思ったより俊敏で飛翔絵を撮るのはかなり難易度が高いと感じました。藻が浮いた水面バックだとオートフォーカスはまず確実にバックに持っていかれるので、マニュアルで数打つしかありません。この日は日差しが強い真夏の真昼間だったので、良い絵が撮れるまで頑張る余裕はありませんでした(もちろん言い訳)



「チョウトンボ ♀」 クリックで拡大します

チョウトンボ ♀

広島県福山市
1024×682 px
2013/06/22
Nikon D200 Mode A
Nion AiAF ED 300mm F4s

 あらためてチョウトンボの記録を探していると、なぜか皆 ♂ の記録ばかりでした。やっと見つけた貴重な ♀ の1枚ですが、ちょっと遠い絵なので特徴がわかりにくいでしょうか。分かりやすい違いでいうと、腹の先端が♂より太いままで終わっている感じです。それと、♀ は青みが少なくて、黒っぽい色が目立つ個体が多いようです。もしかすると無意識にきれいな青い羽を持った個体ばかり撮っていて、結果的に ♀ の記録が少ないのかもしれません。





「カオジロトンボ ♀」 クリックで拡大します

カオジロトンボ ♀

長野県下高井郡
1024×682 px
2019/07/30
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3

 このトンボは長野県の高原で見つけました。その場でも「あまり見ないトンボだな」とは思いましたけれど、見た目が地味なのであまり追いかけたり他の個体を探すこともせず、適当に撮ってその場を去りました。
 家に戻り図鑑で調べまてみますと、♀ の地味さに対して ♂ の方は腰が赤く目立ち、とても面白い彩りをした少し珍しめの種であることを知りました。しかしときは既に遅し。長野の高原や高山、亜高山の池は結構な範囲で色々と回っていますが、カオジロトンボは今のところこの写真を撮った一か所でしか見れていません。私が見たのは長野の中でも北部の亜高山でした。次また近くを通ることがあれば、是非 ♂ くんを本気で探したいと思っています。



「カオジロトンボ ♂」 クリックで拡大します

カオジロトンボ ♀

長野県下高井郡
1024×682 px
2023/07/15
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3

 久々に群馬-長野県境方面に出かけました。今回の旅の主目的の一つは、前回見逃したカオジロトンボの ♂ を見つけることでした。カオジロトンボは黒い体に翅の付け根周辺のみが深紅に染まる高原にしかいない珍しめのトンボです。事前にマップで色々と調査・検索し、前回カオジロトンボ ♀ を見つけた場所からほど近い湿原に狙いを定めて散策しますと、狙い通りたくさんのカオジロトンボに出会うことができました。念願かなって ♂ も(というよりほぼ ♂ ばかり)たくさん観察することができたので、とても満足な一日となりました。


「カオジロトンボ ペア」 クリックで拡大します

カオジロトンボ ペア

長野県下高井郡
1024×682 px
2023/07/15
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3

 一つ上の ♂ と同じ場所で見たカオジロトンボのペアです。
 カオジロトンボは高原の湿原に棲む種です。北関東甲信越で「高原の湿原」と呼ばれる場所はたくさんありますが、私がカオジロトンボを見たのはそのたくさんの湿原のうち2箇所で、その場所に共通するのはモウセンゴケが生えていたことでしょうか。そこは水質もよくて、今の時代ではかなり自然環境が守られた場所だと感じました。逆にカオジロトンボが住める場所も、今の日本には僅かしか残っていない、ということもわかりますね。
 カオジロトンボトンボの記録は3度ありますが、いずれも7月の間です。図鑑では6月後半から8月いっぱいまでとなっているので、真夏のみ見られる種のようです。また見られる場所も本州東北の高地と北海道の一部なので、見るためのハードルは結構高いと思います。





「ナツアカネ ♂」 クリックで拡大します

ナツアカネ ♂

神奈川県横浜市
1024×682 px
2015/11/15
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3

 本種は”ナツ”アカネという赤トンボです。日本ではいわゆる赤トンボの代表種としてアキアカネがいます。私の記録ではアキアカネ13回に対してナツアカネは2回のみですから数は少なめな印象です。名前に「夏」がついていますが、図鑑の発生時期を見る限りナツアカネもアキアカネも7月~12月に入るころまでが成虫の活動時期のようなので、あまり差はなさそうです。ただ、アキアカネの方は夏場は高地にいて平地で姿が増えるのは秋からとのことで、これが名前の理由なのかもしれません。
 ナツアカネはアキアカネよりさらに真っ赤になる印象です。特に ♂ は成熟すると身体から顔まで真っ赤になります。



「ナツアカネ ♀ 秋の成熟体」 クリックで拡大します

ナツアカネ ♀ 秋の成熟体

神奈川県横浜市
1024×682 px
2015/11/15
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3

 ♀ は ♂ ほど赤くなりません。ただ一部の成熟個体は♀も腹部の背面が真っ赤に染まり、また羽の基部が橙になったりとアキアカネの♀よりはだいぶと派手になるようです。



「ナツアカネ ♀ 真夏の個体」 クリックで拡大します

ナツアカネ ♀ 真夏の個体

岡山県新見市
1024×682 px
2015/8/9
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3

 こちらは岡山県の北部で見た ♀ です。上で紹介した秋の個体ほど赤みが強くありません。この絵は胴の側面がよく見えるので注目してもらいたいのですが、足の上の胴の部分で下から3本黒い筋が上に伸びています。このうちの真ん中の一本が途中で止まっていますが、先端は平たく止まっています。これがナツアカネの特徴で、アキアカネはこの真ん中の黒い筋が尖がって止まります。羽で隠れると見えにくいので、なるべく横から観察することが同定の秘訣でしょうか。



「ナツアカネ ペア」 クリックで拡大します

ナツアカネ ペア

神奈川県横浜市
1024×682 px
2015/11/15
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3

 ナツアカネの紹介最後はペアの写真です。この絵は既に刈り取られた田んぼの横の用水路で撮りました。横浜市内では田んぼ自体が少ないので、自然とトンボも見かけにくくなっていますが、数は少なくても残ってくれているトンボや他の生き物たちを大事にしたいと思います。
 ちなみにナツアカネの記録は2度しか持てていません。アキアカネよりは出会いが少ない印象です。





「リスアカネ ♂」 クリックで拡大します

リスアカネ ♂

広島県福山市
1024×682 px
2013/08/15
Nikon V1 Mode A
Nion AiAF ED 300mm F4s

 トンボ科には翅の先端に褐色斑がある種がいくつかいます。この手のトンボで一番見る機会が多いのはノシメトンボでしょうか。今から紹介するリスアカネはノシメトンボよりかなり小型で、色目もより赤いので慣れれば違いはすぐにわかるようになると思います。ただもう一種コノシメトンボという種がいて、こちらは名前の通りノシメトンボより小さいため、リスアカネとよく見間違いします。秋が深くなるとコノシメトンボは胴や顔まで赤くなるので分かりやすくなりますが、若い個体などは写真に撮ってよく見比べないとぱっと見では中々判別が難しいかもしれません。この2種は同じ時期に同じ場所に現れたりするのでよけいに分かりにくいですね。
 山の中だけでなく街の公園などでも見かけますので、翅の先端が黒っぽく見えるトンボを見かけたらちょっと注目してみてください。


「リスアカネ ♀」 クリックで拡大します

リスアカネ ♀

広島県福山市
1024×682 px
2013/10/06
Nikon V1 Mode A
Nion AiAF ED 300mm F4s

 リスアカネの♀です。コノシメトンボの ♀ は腹の背中側がオレンジ色をしているので、見分けに使えます。


「リスアカネ ♀ 正面」 クリックで拡大します

リスアカネ ♀ 正面

広島県福山市
1024×682 px
2013/10/06
Nikon V1 Mode A
Nion AiAF ED 300mm F4s

 一つ上のリスアカネの♀を正面から見た絵です。ちなみにコノシメトンボのメスには豚鼻状の黒い眉状斑があります。


「リスアカネ ペア」 クリックで拡大します

リスアカネ ペア

東京都
1024×682 px
2022/09/17
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR

 都内の公園で撮ったリスアカネのペアです。この日は同所でコノシメトンボやマユタテアカネも同時に見られ、私の中ではちょっとした赤トンボ祭りでありました。「都内の公園も侮れないもんだ」とちょっと嬉しくなりました。
 過去データを見るとリスアカネは8/1~10/13までの間で7回の記録がありました。回数的にもまずまずポピュラーな種ではないかと思います。





「ノシメトンボ ♀ 300mm F4」 クリックで拡大します

ノシメトンボ ♀ 300mm F4

広島県神石郡
1024×682 px
2003/09/15
Nikon D100 Mode A
Nion AiAF ED 300mm F4s

 ノシメトンボと最初の出会いは2003年の秋、まだ小さかった子供たちを遊ばせるのに家族で広島県神石高原町の公園にでかけたときのことでした。子供がボール遊びしている横で、芝生で転がってのんびりしていた私の近くに一匹のトンボが飛んできてくれました。暇つぶしにいい遊び相手だと、まずは子供を追うのに使っていた300mmの望遠で撮り、その後レンズをマクロ60mmに変えて、匍匐前進で近きながらパチリパチリと逃げられるまで撮り続けました。
 当時は自身初のデジタル一眼レフであるD100を買って間もないころで、とりあえず銀塩時代に持て余していた親父の形見のNikkorレンズ群を色々と試していた頃です。
 家に帰って撮ったトンボの絵をよく見ると、300mmの方はバックがきれいにボケていてトンボが浮き出ており、以後長くお気に入りの一枚となりました。その後トンボやチョウなどの昆虫類を撮り始めるきっかけとなった一枚でもあります。
 D100は今となればたかだか600万画素のCCDカメラでしたが、出てくる絵の美しさは今の時代のカメラと比べても負けないくらいのものでした。ノシメトンボを見るたびに今も当時の思い出がよみがえります。



「ノシメトンボ ♀ 60mm Micro」 クリックで拡大します

ノシメトンボ ♀ 60mm Micro

広島県神石郡
800×533 px
2003/09/15
Nikon D100 Mode A
Ai AF Micro Nikkor f60mm F2.8S

 上のトンボをマクロ60mmで撮ったものです。顔の周辺だけをトリミングしました。これ以上大写しにするとトンボって結構グロく見えたりするので、ここらへんで止めておきました。300mmF4も60mm Microも1990年頃の銀塩時代のレンズですが、D100との相性はどちらもばっちりだったと思います。



「ノシメトンボ ♀」 クリックで拡大します

ノシメトンボ ♀

広島県庄原市
1024×682 px
2020/07/18
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3

 こちらの絵を見ますと、顔に豚鼻状の眉斑があります。図鑑によるとこの眉斑はある個体とない個体があるらしいです。さて豚鼻があると、ノシメトンボの♀はぱっと見でマユタテアカネの♀と姿が似ているように思えます。しかし実際に両方を現場で何度か見てみれば、マユタテアカネはノシメトンボよりもずっと小さいため割と簡単にみ見分けができるようになります。



「ノシメトンボ ♂」 クリックで拡大します

ノシメトンボ ♂

広島県府中市
1024×682 px
2015/06/27
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3

 これまで撮った自分のノシメトンボの記録を改めてみてみると、不思議とほぼ♀ばかりです。唯一 ♂ が記録されていた場面を見つけたところ、今度はなにか草みたいなものが前方に被っていたようで、白っぽくもやもやした写真です。 それでも♂の特徴が一番出やすい腹の部分だけはそれなりに写っているので、参考までに置いておきます。メスよりは腹が細くて黒色部が多いですね。
 過去のデータで見ると6回の記録があって、時期は7/18~9/14日まで。やや涼しめの山の中で見る頻度が高いですが、真夏に平野の湿原で見たりもしているので普通に見られるトンボだと思います。





「ムツアカネ ♀ その1」 クリックで拡大します

ムツアカネ ♀ その1

長野県松本市
1024×682 px
2020/09/19
Nikon V1 Mode A
1 NIKKOR VR 30-110mm f/3.8-5.6

 私は毎年9月中旬になると乗鞍方面の山に登ってタカの渡りを観察しています。時期的にはまだ残暑の残る時期ですが、標高が1,700mを越えますと日が照ってもそこまで暑くはなく、既に秋を感じさせられます。このトンボはイスに座ってタカがやってくるのを待っていたときに、カミさんのリュックに止まった小さめの赤トンボです。
 ありふれた(♀系の)色をしたトンボで、カバンやらイスやらに止まる背景がしょぼい絵であったため、撮る方もあまり本気になれず、あしらう感じで手持ちのV1で適当に撮っておりました。
 ところが後から調べてみると、高地や寒冷地にしかいないやや珍しめのムツアカネというトンボだったとわかりました。「せめてペアを探してもう少しまじめに撮っておくべきだった。。」となったときは、いつもの通り「後の祭り」であります。ちなみに名前の語源になる「陸奥=青森地方」では既に絶滅認定されていて、本州ではもう限られた場所でしか繁殖していない種のようです。
 図鑑によるとこのトンボ、高地の湿原にいるトンボとのこと。今回は山の峠での観察でしたので、繁殖場所の湿原が近くにあるのでしょうね。



「ムツアカネ ♀ その2」 クリックで拡大します

ムツアカネ ♀ その2

長野県松本市
1024×682 px
2020/09/19
Nikon V1 Mode A
1 NIKKOR VR 30-110mm f/3.8-5.6

 こちらはイスに止まってくれた上と同じ ♀ 個体。顔を見ると眉斑(私は豚鼻模様と呼ぶ)があります。ムツアカネ ♀ の見分けに使う特徴は、腹の先の下部にみえる産卵管の突起です。この絵でも上の絵でも見えていますが、他の ♀ のトンボではこのように下に向かって盛り上がった突起は見たことがないので、そこに注目すれば見分けは簡単かもしれません。(♀にはそれ以外の特徴がなくて、背中からみると非常に分かりにくい種です)



「ムツアカネ ペア」 クリックで拡大します

ムツアカネ ペア

長野県松本市
1024×682 px
2023/09/02
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3

ムツアカネのペアです。3年ぶりに長野へ再捜索に出て、無事「初 ♂」を見つけることができました。ムツアカネはトンボ科の種としてはかなり小さいので、この観察時は最初イトトンボが飛んできたのかと思いました。赤トンボの一種ですが、♂ は成熟すると黒くなります。黒とオレンジのペアはあまり見かけないので珍しさいっぱいのトンボですね。

ムツアカネの記録は2度あって、どちらも長野の高地でのものです。観察地には記録した以外のときも何度か行っていますが、見つける機会はかなり少ない印象です。大抵低いところを飛んでいて、姿も小さいし地味目なので見つけること自体が難しめですね。





「アキアカネ ♂」 クリックで拡大します

アキアカネ ♂

広島県福山市
1024×682 px
2015/08/09
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3

 アキアカネは日本全国で一番よく見られる赤トンボです。「秋の夕暮れに頭上で乱舞する赤トンボ」をイメージされる種は、おそらくこのアキアカネだろうと思います。
 成虫が見られる時期は梅雨時から晩秋までとかなり長いです。私の記録も7/14~11/22日までと長期間にわたります。ただどうやら渡りをする種らしく、夏場は涼しい高地で生活し、秋になって一挙に平地に降りてくるようです。確かに自分のアキアカネ・データをみても、7月~お盆前の記録は皆高原でのものばかり。平地での記録はお盆を過ぎたあとになっています。このように早くから生まれてはいるものの、実際に多くの人目に触れるのが秋であるため「アキアカネ」の名になったようです。また夏場の ♂ はオレンジ色をしていて、秋になると背面が真っ赤に染まります。正に秋の「赤トンボ」を代表する種ですね。



アキアカネ ♀」 クリックで拡大します

アキアカネ ♀

神奈川県横浜市
1024×682 px
2023/10/01
Nikon D500 Mode A
AiAF Micro Nikkor 105mm F2.8S
Kenko N-AF 1.4X TELEPLUS PRO 300

 秋のアキアカネ ♀ です。
 自転車で近所の里山公園におきらく散歩にでかけてみました。虫用のPf300mm/f4.0が現在入院中なので、久しぶりに105mm Macroを持ち出してみました。105mmだけだとかなり近づかないと大きく写せないので、1.4xテレコンを付けています。Microなのでどこまででも寄れますが、大写しの前に逃げられて結局サンヨンを使ったのとサイズ感は変わりないかもしれません。そもそも古いレンズだし、テレコンを付けた影響もあるかもしれず、絵にもシャープさはそれほど感じられません。でもボケ自体はきれいな感じです。ちなみに手の持った重量はPfサンヨンの方が軽いかも。



「アキアカネ ♂ 未成熟」 クリックで拡大します

アキアカネ ♂ 未成熟

栃木県日光市
1024×682 px
2017/07/15
Nikon V1 Mode A
AI AF VR Zoom-Nikkor 80-400mm f/4.5-5.6D ED

   この絵は2017年7月15日に日光市の標高1,200mにある高原で撮ったものです。まだ背が赤くなっていない未成熟の個体です。胴にある三本の黒筋のうち、真ん中のラインが真ん中あたりで止まっており、この黒筋先端がとがって見えるのがアキアカネの特徴です。よく似た ナツアカネはこの真ん中の黒筋先端が平たくなって止まります。
 足元のオレンジ色の花はニッコウキスゲです。



「アキアカネ ♀」 クリックで拡大します

アキアカネ ♀

栃木県日光市
1024×682 px
2017/07/15
Nikon V1 Mode A
AI AF VR Zoom-Nikkor 80-400mm f/4.5-5.6D ED

 上で紹介した ♂ と同じ日、同じ場所で撮った ♀ の写真です。アキアカネは1年で生涯を終えるらしいのですが、7月はまだふ化後の早い時期だと思われます。この時期は ♂ も ♀ もまだ未成熟なため全体的に優しいオレンジ色をしていて、腹の太さくらいしか見分けできる場所がありません。



「アキアカネ ペア」 クリックで拡大します

アキアカネ ペア

長野県松本市
900×300 px
2023/09/16
Nikon D7100 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3

 初秋の高原で撮ったペアです。アキアカネは秋に低地に下りると聞きますが、こちらは初秋に高地で産卵の準備をしているので、一生を高地で過ごす個体もいるのでしょうね。
 絵はゴーヨン+1.4xで撮っています。ゴーヨンで撮った水辺のバックはさすがにボケがきれいです。




「アキアカネ ♂ 背景 緑・緑」 クリックで拡大します

アキアカネ ♂ 背景 緑

アキアカネ ♂ 背景 青

長野県松本市
1024×682 px
2020/09/20
Nikon D7100 Mode A
AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3

 こちらは9月半ばに標高1,500mの高原で撮った絵です。池の縁で撮りました。見る角度をわずかに変えただけで、片方は水草をバックに緑の絵、もう片方は水面をバックに青い絵となりました。面白い対比になったので2枚をまとめて紹介させていただきます。





「コノシメトンボ ♂」 クリックで拡大します

コノシメトンボ ♂

東京都
1024×682 px
2022/09/17
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3

 コノシメトンボは名前の通りノシメトンボを小型にしたようなトンボです。しかしノシメトンボの仲間ではなく後に紹介するマユタテアカネに近い種となります。
 コノシメトンボはノシメトンボと同じく翅端に黒斑があります。ただノシメトンボよりはサイズ的に一回り小さいので、慣れれば見分けはつくかとます。一方ノシメトンボの仲間にリスアカネという種がいて、こちらも翅端に黒斑があり、さらにサイズもコノシメトンボとよく似ています。コノシメトンボの方が成熟個体になったときの赤化が強くなるので、秋も深まれば判別しやすいですが、未成熟のうちはどちらもにたような黄橙色ですので、よく写真に撮って見比べないと見分けは難しいかもしれません。
 この ♂ は秋の個体なのでしっかりと成熟しており、胸から顔まで真っ赤です。ここまで赤くて黒斑を持つトンボは他にみないので、コノシメトンボ ♂ だとすぐにわかります。



「コノシメトンボ ♂ 正面」 クリックで拡大します

コノシメトンボ ♂ 正面

広島県福山市
1024×682 px
2012/10/07
Nikon V1 Mode A
Nion AiAF ED 300mm F4s

 コノシメトンボ ♂ の顔がわかる絵です。顔も胸も真っ赤です。



「コノシメトンボ ♂ 飛翔」 クリックで拡大します

コノシメトンボ ♂ 飛翔

長野県松本市
1024×682 px
2023/09/16
Nikon D7100 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3

 高原の池でイワツバメの水飲みを撮ろうと置きピンでシャッターを切っていたら、空振りした絵にコノシメトンボが写っていました。かなり遠くでしたが、100%まで拡大するとはっきりとコノシメトンボの ♂ だと分かります。この絵はバランスを撮って50%くらいに拡大してトリミングした絵です。いつかもう少し大きい絵を撮って差し替えられるようにしたいですね。



「コノシメトンボ ♀」 クリックで拡大します

コノシメトンボ ♀

東京都
1024×682 px
2022/09/17
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3

 初秋に東京都内の公園でみつけたコノシメトンボの ♀ です。同日同場所でマユタテアカネも観察しています。マユタテアカネの ♀ には翅先端の黒斑をもつ個体もいるので、見極めは慎重にならないといけません。判別の難易度はかなり高いと思います。二種間では実際に種間交配の記録もあるそうなので、そうなるとお手上げですが。。



「コノシメトンボ ♀ 正面」 クリックで拡大します

コノシメトンボ ♀ 正面

東京都
1024×682 px
2022/09/17
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3

 一つ上と同じ個体を正面からみたところ。顔に豚鼻状の眉斑があります。このあたりは次で紹介するマユタテアカネに似ていますね。
 本種に関し、図鑑では7月から12月初旬まで見られるとあります。私の場合は秋に偏っていて、9/16~10/27までの間で6回の写真記録がありました。福山でも関東地方の平地や長野の高原でも見ているので、割とよく見られるトンボなのだろうと思います。一般的には赤いトンボは皆赤トンボで終わりますが、本種は翅先端の黒斑がよく目立つので、「また赤トンボか」で終わらせず、少し目を凝らして見てもらえば新しい発見があるかもしれませんね。





「ヒメアカネ ♂」 クリックで拡大します

ヒメアカネ ♂

長野県松本市
1024×682 px
2023/09/02
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3

 乗鞍方面の湿地にでかけたときのこと。池のほとりで小さな赤トンボを見つけました。アキアカネよりは二回りくらい小さい真っ赤なトンボです。しかしもともと思い込みの強い私ですから、この日も「またマユタテですか」と適当に撮っておしまいにしていました。しかもこの日はカメラの露出設定をミスっていたために、家で確認した記録絵は全体的に滲んでしまっており、詳しく見る気にもなりませんでした。「絵は果てしなくゴミに近いけれど、とりあえず2-3枚はカウント記録用に残しておこう」でお蔵入りになりました。
 これがヒメアカネだと気づいたのは、それから2W後に同じ場所にもう一度出かけて眉斑がないメスを正面からしっかり観察できたおかげです。「そういえば前回マユタテいなかったっけ?」とゴミあさり。。いえ、記録の見直しを行いました。結果、ゴミだからと記録を捨てずにおいてよかった!とホッとした次第。絵としてはゴミみたいなものでも、何とかヒメアカネ ♂ の特徴は見てとれます。1.腹先端の付属器が反りあがっていない。腹下側の黒色が目立つ。の2点はマユタテアカネにはないヒメアカネの特徴です。
 



「ヒメアカネ ♀ 斜め前」 クリックで拡大します

ヒメアカネ ♀ 斜め前

長野県松本市
1024×682 px
2023/09/16
Nikon D7100 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3

 前回9月2日この観察場所に出かけたときは露出補正をフルにマイナスにかけたまま全ての写真を撮って大失敗していました。その日の失敗が悔しくて、2W後に同じ場所に再チャレンジにでかけましたところ、前回から100mほど離れた場所で眉のないマユタテっぽい小さな赤トンボを見つけました。小さなマユタテよりさらに一回り小さいトンボですので、今回は「マユタテではないだろうな」と、3方からじっくりと観察して記録を残しました。
 思った通りこの小さな赤トンボはマユタテアカネの近縁種であるヒメアカネと分かりました。決め手はやはり顔に豚鼻模様がない(小さいのはありますが)ことです。それ以外でも腹の黒色模様や、産卵弁の長さなどがマユタテアカネと差があって、ヒメアカネだろうと判断しました。またその後前述の ♂ の絵を見直して、こちらもヒメアカネの特徴があることから、雌雄共に同一場所で確認することができました。



「ヒメアカネ ♀ 正面」 クリックで拡大します

ヒメアカネ ♀  正面

長野県松本市
900×300 px
2023/09/16
Nikon D7100 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3

 ヒメアカネの顔がよく分かる正面からの絵です。点のような鼻がありますが、マユタテアカネの大きな豚鼻模様とは違って上品な感じです。



「ヒメアカネ ♀ 側面」 クリックで拡大します

ヒメアカネ ♀  側面

長野県松本市
1024×682 px
2023/09/16
Nikon D7100 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3

 ヒメアカネ ♀ の産卵弁はマユタテアカネより長いとのこと。図鑑で見ると上の付属器より産卵弁の方が長く突き出ているようですが、この個体はそこまでは長くありません。ただ私の持っているマユタテアカネの ♀ の絵よりははっきりと長いので、やはりマユタテでなくヒメアカネなのだろうと思います。もう一点マユタテアカネの ♀ は腹の色が少し濁った色目ですが、ヒメアカネは明るい黄色が基調となっていて模様も微妙に違います。
 私のヒメアカネの記録は長野県の松本市での2回のみ。いずれも9月の観察です。高原の湿地帯で見ています。





「マユタテアカネ ♂ その1」 クリックで拡大します

マユタテアカネ ♂ その1

広島県福山市
1024×682 px
2012/10/13
Nikon V1 Mode A
Nion AiAF ED 300mm F4s

 マユタテアカネはコノシメトンボに近い種の小型の赤トンボです。名前の「マユタテ」は漢字で書くと「眉立」で、顔面にある眉状斑から来ていることがわかります。
 「マユタテ」と表現すれば聞こえはよいのですが、私的にはマユタテアカネの顔は「豚鼻状斑」としか見えません。少なくとも目より下にあるのに、眉と表現するのは無理があるのでは。。と。ちなみに「眉状斑」は ♂ ♀ ともにあります。
 マユタテアカネは梅雨のころから冬が始まる頃まで見られ、観察の機会はかなり多い方だと思います。私自身では7/7~10/27の間で22回私の記録があります。この数はシオカラトンボの次に多いのでかなりポピュラーな種だと感じています。ただアキアカネのように大群で群れることはなくポツンとしていることが多いので、「よく見はするが数はそれほどでもない」という印象です。



「マユタテアカネ ♂ その2」 クリックで拡大します

マユタテアカネ ♂ その2

東京都
1024×682 px
2022/09/17
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3

 こちらは都内の公園で撮った ♂ です。腹はきれいな真っ赤というか濃い朱色になって鮮やかですが、胴の部分はコノシメトンボほど赤くなりません。



「マユタテアカネ ♂ 正面」 クリックで拡大します

マユタテアカネ ♂ 正面

神奈川県横浜市
1024×682 px
2023/10/01
Nikon D500 Mode A
AiAF Micro Nikkor 105mm F2.8S
Kenko N-AF 1.4X TELEPLUS PRO 300

 マユタテアカネの眉がよく分かる正面からの絵です。私には豚鼻にしか。。



「マユタテアカネ ♀」 クリックで拡大します

マユタテアカネ ♀

広島県福山市
1024×682 px
2012/08/18
Nikon V1 Mode A
Nion AiAF ED 300mm F4s

 マユタテアカネの♀はたまに翅端に黒斑が出る個体がいるそうです。残念ながら私はそのような個体にはまだ出会ったことがなく、見るのはいつもこの絵のような透明の翅の個体のみです。そして、近縁の コノシメトンボの♀は前述の眉状斑があるものですから、両者の間ではよけいに紛らわしいことになります。彼女たちの見分け方としては、「胴の横の黒い筋がマユタテアカネでは非常に細くて目立たず、コノシメトンボは太い」あたりでしょうか。ただトンボ科のトンボは翅をやや前傾に倒して休むことが多いため、胴の部分は翅で隠されていることが多くてなかなか分かりにくいですね。やはり大部分のマユタテアカネの♀は翅端の黒斑はないので、まずはその前提で見分けするのが良いのではと思います。



「マユタテアカネ ♂ 未成熟個体」 クリックで拡大します

マユタテアカネ ♂ 未成熟個体

広島県福山市
1024×682 px
2013/07/07
Nikon V1 Mode A
Nion AiAF ED 300mm F4s

 おそらくヤゴからふ化して間もないころのマユタテアカネ ♂ です。この時期の赤トンボはまだ皆が黄色をしていますので、見分けが難しいと思います。私がこの個体をマユタテアカネだと同定した一番のポイントは、オスの尾部先端付属器が強く上に反りあがっている点です。他に胴の横の縞が細くて薄い点も合わせての同定でしょうか。


「マユタテアカネ ♀ 未成熟個体」 クリックで拡大します

マユタテアカネ ♂ 未成熟個体

広島県福山市
1024×682 px
2013/07/07
Nikon V1 Mode A
Nion AiAF ED 300mm F4s

 上の ♂ 個体と同じ日に撮った ♀ の記録絵です。この絵では見えていませんが、若い個体でも豚鼻斑はしっかり見えています。なので、ここさえ見れれば全体の色目がまだ薄くても他の種との同定に使えると思います。





「ミヤマアカネ ♂」 クリックで拡大します

ミヤマアカネ ♂

広島県府中市
1024×682 px
2007/10/13
Nikon V1 Mode A
Nion AiAF ED 300mm F4s

 ミヤマアカネは翅の先端より手前部分に幅広く黒斑を持つ赤トンボです。赤トンボでこのような翅模様をしている種は他にないので、まず見間違いはありません。
 図鑑によると全国的に生息する種だとのことですが、私はあまり観察の機会がなく、過去3度のみの記録です。どちらも大きな川沿いの河川敷で見ています。私は確かに10~11月はあまり河川敷で鳥を観察することがないので、出会いが少ないのはたまたまかもしれません。



「ミヤマアカネ ♂ 上面」 クリックで拡大します

ミヤマアカネ ♂ 上面

埼玉県秩父郡
1024×682 px
2017/11/23
Nikon D200 Mode A
Nion DX Zoom 18-55mm/F3.5-5.6G II ED

 こちらは観光地でたまたま見つけたミヤマアカネの記録です。足元に飛んできてくれたのを風景用の標準ズームレンズで撮っています。スマホの記録とあまり変わりない出来栄えですがお許しを。



「ミヤマアカネ ♀ 未成熟」 クリックで拡大します

ミヤマアカネ ♀ 未成熟

長野県松本市
1024×682 px
2023/09/02
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3

 ムツアカネを探しに行った高地湿原で見つけたミヤマアカネの未成熟個体です。縁紋が白いのと、色目が柔らかい薄茶色をしているので、まだ生まれて間もないのだろうと思われます。周囲を見たところ、似たような色目をした個体が複数見られたので、ミヤマアカネの本格的な時期はもう少し後なのだろうなと思います。ちなみにその2W後に同所を再び訪れたときは既に一匹も見当たりませんでした。すぐに遠くへ移動したのでしょうか。





「ネキトンボ ♂」 クリックで拡大します

ネキトンボ ♂

広島県福山市
1024×682 px
2012/10/13
Nikon V1 Mode A
Nion AiAF ED 300mm F4s

 ネキトンボは赤トンボの中でもかなり真っ赤度が高めのトンボです。成熟した ♂ は顔、胴、腹の全てが赤くなり、さらに羽の基部もオレンジ色に染まります。名前を漢字で書けば根黄蜻蛉ですから、やはり翅のオレンジ色が決めてなのでしょう。サイズも中の大くらいでがっしりした印象です。
 生息地は暖かい地方に多いようで、観察したい場合は東北地方より南で探すのが良いようです。私は福山時代も横浜時代もどちらの一帯でも観察で来ています。ただ赤トンボの中ではわりと出会いは少なめな気がします。(2023年6月現在で5回の記録)



「ネキトンボ ♂ 正面」 クリックで拡大します

ネキトンボ ♂ 正面

山梨県南巨摩郡
1024×682 px
2022/10/01
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR

 秋に南アルプスの麓方面にでかけたときに渓流の横で見つけました。近くに池もあったのでどちらで育ったのかは定かではありません。



「ネキトンボ ♂ 飛翔」 クリックで拡大します

ネキトンボ ♂ 飛翔

東京都
1024×682 px
2022/09/17
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3

 都内の公園でチョウトンボを撮っていたら、偶然画面に入っていました。ネキトンボは翅の基部のオレンジ色部分が派手なので飛んでいる方が分かりやすいかもしれません。



「ネキトンボ ♀ 飛翔」 拡大画像はありません

ネキトンボ ♀ 飛翔

広島県福山市
450×300 px
2022/08/28
Nikon D500 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3

 こちらは頑張って飛翔を追っかけた絵です。が、うまく行きませんでした。。かろうじてネキトンボの♀であることがわかるので参考までに貼っておきます。拡大はありません。上の♂画像でもそうですが、こんなぶれぶれ写真でもネキトンボの♀だとわかるあたりはとてもありがたいトンボだと思います。





「キトンボ ♂」 クリックで拡大します

キトンボ ♂

長野県松本市
1024×682 px
2023/09/16
Nikon D7100 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3

 キトンボは身体だけでなく翅や足まで全身オレンジ色をしたよく目立つトンボです。
 私の記録は長野県松本市の高原にある池での一度だけ。池の真ん中あたりで見つけたので、あまり詳細が見える絵はありませんが、それでも「あ、これは絶対キトンボだ」とわかるものでした。
 ちなみに私は普段トンボを撮るときはpfサンヨンに1.4xテレコンを付けて使っていますが、この日バイクから降ろしたサンヨンレンズが故障していることに気づき、急遽ゴーヨンを担いで歩く羽目に。で、「トンボ専用に撮るなら1.4xを付ける方が大きく撮れてお得だろう」と4年ぶりくらいでゴーヨン+1.4xの装備を使ってみました。結果、近い絵はサンヨンよりきれいなボケが得られ、遠くのトンボもそれなりにキャッチできるので「たまにはゴーヨンでトンボ撮るのもいいな」と感じた次第。この絵はその恩恵で撮れた一枚です。サンヨンだったらまっ黄色な塊にしか撮れなかった気がします。
 思い返すとサンヨンレンズの故障はバイクの振動だった可能性が高く、それを考えると普段から高価なゴーヨンをバイクに乗せるのもとても恐ろしいところです。とはいえ、冬の鳥の時期には必然的にバイク+ゴーヨンもあるので、今後はより厳重にクッションを利かせて安全確保しなければなりませんね。そもそもゴーヨンは機動性も悪いですし散歩には向きません。とりあえずはサンヨンを修理に出して、今後の普段使いはTamron A011に戻そうかと思っています。





「コシアキトンボ ♂」 クリックで拡大します

コシアキトンボ ♂

神奈川県横浜市
1024×682 px
2017/07/17
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR
AF-S TC-14E III TC14E3

 コシアキトンボは腰のあたりだけ白くてあとは全体が黒っぽい姿をした非常に分かりやすいトンボです。サイズは「シオカラトンボよりやや小さいかな?」くらいで、私は梅雨の時期に池のふちで見ることが多いです。
 福山でも見ていますし、横浜でもみていますので、平地で普通に見られるトンボだと思います。私の記録は7回あって6/9~7/17の間に集中していて、それ以降あまり見た記憶がありません。図鑑では9月まで見られるように書かれていますが、南の離島でも見られるようなので、地域的なものもあるのでしょうか。



「コシアキトンボ ♂ 上面」 クリックで拡大します

コシアキトンボ ♂ 上面

岡山県井原市
1024×682 px
2013/06/22
Nikon V1 Mode A
Nion AiAF ED 300mm F4s

 コシアキトンボは分かりやすい姿なので、草に止まっていても見つけやすいですね。♂は翅端にわずかに黒斑が現れることがあるようです。



「コシアキトンボ ♂ 未成熟個体」 クリックで拡大します

コシアキトンボ ♂ 未成熟個体

広島県福山市
1024×682 px
2013/06/09
Nikon V1 Mode A
Nion AiAF ED 300mm F4s

 羽化間もないころのコシアキトンボは、♂もメスも腰の色が黄色をしています。やがて成熟するにしたがって白い腰に代わります。私の記録では6月も後半になると白くなってくるようです。(中国地方などの平地での記録)



「コシアキトンボ ♀ 未成熟個体」 クリックで拡大します

コシアキトンボ ♀ 未成熟個体

広島県福山市
1024×682 px
2013/06/16
Nikon V1 Mode A
Nion AiAF ED 300mm F4s

 ♀ の未成熟個体です。♂ よりは腹がやや太いです。また ♀ はノシメトンボのように翅端に黒斑が出る個体が多いそうです。



「コフキトンボ ♂」 拡大はありません

コフキトンボ ♂

広島県三次市
450×300 px
2015/76/26
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3

 コフキトンボはシオカラトンボととてもよく似ている青色系の中型のトンボです。実は私、この個体を撮ってから8年の間、ずっとシオカラトンボだと思い違いしていました。今回シオカラトンボを見直す作業をしているうちに、この記録に差し掛かったところで偶然違和感を感じ取ることができました。まずは「♀ の胴模様がなんか変だぞ?」と気づき、次に同じ時刻に撮った ♂ 画像の眼も「シオカラトンボより眼が黒っぽい、でもオオシオカラトンボとは腹の色形が明らかに違う」となりまして、あらためて図鑑を見直すうちにやっと「これはコフキトンボだ」とわかった次第です。
 色々調べてみると、コフキトンボは少し猫背な姿勢を取ることが多いようです。確かに腰のあたりが少し折れ曲がっています。
 残念ながら絵がピンボケだったので拡大はありません。たぶんシオカラトンボだと思ってあまり本気で撮っていなかったのだと思われます。反省。
 



「コフキトンボ ♀」 クリックで拡大します

コフキトンボ ♀

広島県三次市
450×300 px
2015/7/26
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3

 コフキトンボの ♀ はよく見ると細かな毛で全体が覆われていることがわかります。ここまで毛深いトンボは珍しいかもしれません。



「コフキトンボ ♀ 正面」 クリックで拡大します

コフキトンボ ♀ 正面

広島県三次市
450×300 px
2015/7/26
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3

 コフキトンボはシオカラトンボと違って、草木に止まったときに翅がやや上向きに(前から見るとV字に)持ち上がるのだそうです。ちなみにシオカラトンボはやや前傾に翅を倒します。このとき横からみると顔が見えなくなることが多いですが、コフキトンボは横から見ると顔も胴もよく見えて分かりやすいです。
 自分のコフキトンボの記録はこのときの一度のみです。シオカラトンボだと思って、あえて撮り逃がしている可能性も高いですが。。





「ハッチョウトンボ ♂」 クリックで拡大します

ハッチョウトンボ ♂

岡山県新見市
1024×682 px
2015/8/9
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3
 ハッチョウトンボは日本産トンボ類の中で最も小さなトンボです。サイズ的には長さ20mm、羽の幅30mm程度ですから上から見てもペットボトルのフタサイズで、イトトンボより小さいトンボです。
 以前私が住んでいた福山近辺でも産地は限られていて、知られた場所にプチ遠征しないと見られない種でした。そして残念ながら関東地方ではほぼ全域で姿が見られなくなっているようです。次の絵で紹介するハッチョウトンボは群馬県とはいえ北部県境の亜高山でしたので、やはり関東の近場でハッチョウトンボを見るのはかなり難しそうです。



「ハッチョウトンボ ♂ その2」 クリックで拡大します

ハッチョウトンボ ♂ その2

群馬県利根郡
1024×682 px
2023/7/16
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3

 姿が小さいハッチョウトンボですが、♂ に関しては赤色が非常に濃く目立つ上に、大抵は足元の草で休んいるため、見つけるのは比較的簡単です。



「ハッチョウトンボ ♀」 クリックで拡大します

ハッチョウトンボ ♀

群馬県利根郡
1024×682 px
2023/7/16
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3

 前回岡山での観察は時期も終わりかけていたのか、かろうじて ♂ を一匹だけ観察するに終わりました。そして今回ハッチョウトンボと2度目の出会いで、初めて♀を観察することができました。♀ はオスと違って全体的に黄色っぽい枯れた色をしているからなのか、♂に比べて見つけるのが非常に困難だと感じました。実際、最初に ♂ のハッチョウトンボを見つけたあと、それから数十という数の ♂ を見つけたにも関わらず、その間♀ は一匹も見つかりませんでした。その後観察場所での往路は♂のみで終わりましたので、ややあきらめ気分で復路を歩いて戻っていたところ、帰り道後半を過ぎてやっと一匹の ♀ を見つけることができました。最終的には観察路コースから外れた場所でも偶然一匹を見つけることができたので、この日の ♀ は結局計2匹の発見だけで終わっています。
 このように中々 ♀ が見つからなかった原因について、実際の理由としては、1.「そもそも♀ の絶対数が少ない」のか、2.「色目から保護色になって見つけにくい」のか。私が感じた印象ではおそらく両方が理由ではないかと感じています。この日観察した感じでは、♂ 20匹に対して ♀ 1匹くらいの発見比率だったと思います。(もちろん私の探し方が下手なだけだった可能性も高いです。。)



「ハッチョウトンボ ♀ 指と比べて」 拡大はなしです

ハッチョウトンボ ♀ 指と比べて

群馬県利根郡
1024×682 px
2023/7/16
iphone 13

 ハッチョウトンボはこの通り大変小さいトンボです。一緒に写っているのは私の人差し指ですが、爪の長さはおよそ15mmです。ハッチョウトンボの体長は頭から尾の先までおよそ20mmと聞きます。実際こうやってみるとおよそトンボとは思えず、色目とサイズからしてほぼハチかアブにしか見えませんね。
 この写真はカミさんのiphoneで撮ってもらいまいた。こういうシチュエーションですと、的が小さいのでピント合わせが中々うまく合わないものですね。私もイトトンボをiphoneで撮ろうとしてことごとく失敗しています。。





「ショウジョウトンボ ♂」 クリックで拡大します

ショウジョウトンボ ♂

広島県福山市
1024×682 px
2013/06/22
Nikon D200 Mode A
Nion AiAF ED 300mm F4s

 「ショウジョウトンボ」は漢字で書くと「猩々蜻蛉」です。この「ショウジョウ=猩々」とは古の猿の妖怪のことで、日本の生物界では赤い動物を象徴するネーミングとしてよく使われています。私の鳥のページで紹介する北米産のカージナルという全身真っ赤な鳥も、日本名は「ショウジョウコウカンチョウ」と呼ばれます。ちなみにこの鳥はアメリカのセントルイスカージナルスのチーム名の語源であり、チームのマスコットモデルでもあります。
 名前の通り数ある赤トンボの中でも「ジ・赤!」な蜻蛉です。足まで真っ赤なトンボはこのトンボくらいです。



「ショウジョウトンボ ♂ 正面」 クリックで拡大します

ショウジョウトンボ ♂ 正面

岡山県笠岡市
1024×682 px
2022/08/21
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3

 正面から見ると、顔も見事なまでに真っ赤です。また羽の付け根回りも紅に染まります。
 ショウジョウトンボは割とよく見かける方で、私は過去12回の撮影記録がありました。時期も5月末から8月末までと結構長い間記録できていますし、6月後半に入ると ♂ はもう赤くなっているので、全体的に見つけやすい種だと感じています。



「ショウジョウトンボ ♀」 クリックで拡大します

ショウジョウトンボ ♀

岡山県笠岡市
1024×682 px
2022/08/21
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3

 ショウジョウトンボの♀は成熟しても赤くならず黄色いままです。ぱっと見、色目がウスバキトンボと非常によく似ているため紛らわしいですが、ショウジョウトンボはオスもメスも腹の先端にある付属器という2本の角状突起が白色っぽくて、一方ウスバキトンボは黒いのでここで見分けが可能です。
 ショウジョウトンボの記録は15度あり、特に平地でよく見かける印象です。横浜市内の公園でも普通に見られます。期間は5/25~11/12とかなり長期間で観察していますが、もっとも見る頻度が高いのは梅雨から8月一杯の暑い時期です。





「ウスバキトンボ ♂ 側面」 クリックで拡大します

ウスバキトンボ  ♂ 側面

広島県三次市
1024×682 px
2015/09/23
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3

 ウスバキトンボはトンボでは珍しく渡りをする主なのだそうです。主に夏から秋に見かけるトンボですが、日本では南の島でしか繁殖記録がないそうです。
 ♂ も ♀ も、夏も秋も、皆がいつも薄黄色をしていて、あまり目立たないトンボという地味な印象があります。また腹先端の付属器の形状も雌雄共によく似ていて判別が非常に難しいトンボです。私はずっと「自分が見るウスバキトンボはいつも ♀ ばかりだ」と思い込んでいました。よく見ると腹のくびれ具合や付属器の長さが微妙に違っていたりします。ただ、これも「微妙に」な違いなので、正直まだ雌雄判別にはあまり自信が持てていません。ここで紹介する各絵の雌雄判別に対する自信のほどは55%くらいとかなり不安な領域です。あしからず。



「ウスバキトンボ ♂ 上面」 クリックで拡大します

ウスバキトンボ ♂ 上面

広島県三次市
1024×682 px
2015/09/23
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3

 上面から見ると、翅のアスペクト比がかなり横長に見えます。海を渡る渡りをするくらいなので、これくらい翅が大きい=飛翔力が強いということなのでしょうか。



「ウスバキトンボ ♀ フェリーのデッキにて」 クリックで拡大します

ウスバキトンボ ♀ フェリーのデッキにて

      五島列島フェリー航路にて
      1024×682 px
2015/08/14
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3

 五島列島の福江島から佐世保に戻るフェリーのデッキで見つけたウスバキトンボです。残念ながらこのトンボはこのあとしばらくして息絶えてしまいました。南の島から来たのか、はたまた大陸からだったのかはわかりませんが、たぶん頑張って移動している途中だったんだろうな、と、「渡りをするトンボ」を実感した印象的な出会いでした。



「ウスバキトンボ ♀ 上面その2」 クリックで拡大します

ウスバキトンボ ♀ 上面その2

広島県福山市
1024×682 px
2013/10/13
Nikon V1 Mode A
Nion AiAF ED 300mm F4s

 福山時代のホームグランドで見かけたウスバキトンボです。こうやってみると薄黄色も草原の中では保護色なんだな、とよく分かります。
 振り返るとウスバキトンボの記録は5度ありました。7/25~10/13までで長い時間色々な場所で見ています。





「ハラビロトンボ ♂ 上面」 クリックで拡大します

ハラビロトンボ ♂ 上面

広島県三次市
1024×682 px
2014/06/01
Nikon D200 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3

 ハラビロトンボは名前の通りに腹が横に太短い姿をしたトンボです。
 かなり特徴的な姿をしているので、見分けで間違うことはないのではと思います。
 図鑑では広く分布すると書かれていますが、私は今まで二度しか観察機会を持てていません。一度は中国地方の山の中の湿地帯。一度は信越の里山近辺ですので、どういう場所が探しどころなのか未だによく分かっていません。



「ハラビロトンボ ♂ 側面」 クリックで拡大します

ハラビロトンボ ♂ 側面

広島県三次市
1024×682 px
2014/06/01
Nikon D200 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3

 横から見ると腹が太いのはよくわかりませんが、シオカラトンボ系は皆腹が細長いので、横姿から見つけてもシオカラトンボでないことはすぐにわかると思います。



「ハラビロトンボ ♀ 上面」 クリックで拡大します

ハラビロトンボ ♀ 上面

広島県三次市
1024×682 px
2014/06/01
Nikon D200 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3

 ハラビロトンボのメスは黄色と黒の太短い腹をしているので、大きなハチと見間違うような姿をしています。もしかしたらハチを擬態して天敵から襲われにくくしているとか、そんな意味があるのでしょうか?



「ハラビロトンボ ♀ やや側面」 クリックで拡大します

ハラビロトンボ ♀ やや側面

広島県三次市
1024×682 px
2014/06/01
Nikon D200 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3

 ♂ の絵もそうですが、ハラビロトンボは草に止まったとき少し腰が折れた感じの姿勢ですね。やはり腹が太いと重たくて垂れ下がるのだろうか。
 過去ハラビロトンボの観察回数は2度しかありません。しかも「こんな場所にいけば」というのも特になく、私の印象では出会いは稀な印象です。





「シオカラ ♂ 上面」 クリックで拡大します

シオカラトンボ ♂ 上面

岡山県笠岡市
1024×682 px
2022/08/21
Nikon D500 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3

 シオカラトンボの ♂ は老成すると胴回りが青白い粉を吹きます。まるで塩を吹いたように見えることから”シオカラトンボ”なる名前になったそうです。一方で ♀ の方は黄色基調の麦わら模様になるので俗称ですが”ムギワラトンボ”と呼ばれています。♂ ♀ でこれほどはっきりと呼び名が変わるトンボは他におらず、昔から人々に広く愛されているトンボであることがわかります。
 この絵の個体は胴の背面まで水色に粉を吹いていますが、ここまで全身水色になるのは珍しく、大抵の場合胴の部分は茶色かったり黒っぽかったりしていることが多いです。この個体に関しては「もしかしてコフキトンボかも?」とかも思いましたが、コフキトンボはもっと小柄なのでやはりシオカラトンボだと思います。
 シオカラトンボはムギワラトンボも含めて、私たちが普段から身近で最もよく見かけるトンボです。池でも川でも田んぼでも、水辺であれば日本国中どこででも見られるトンボです。私の記録だと4月21日~10月12日まであって、成虫の活動時期もかなり長いトンボだと思います。



「シオカラトンボ ♂ 側面」 クリックで拡大します

シオカラトンボ ♂ 側面

東京都
1024×682 px
2023/05/03
Nikon D200 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3

 童謡で「トンボのメガネは水色メガネ~」と歌われる歌があります。も30年以上前になりますが、私が好きな"Yes"という英国のロックバンドのライブを見に行ったら、Voのジョン・アンダーソンが日本向けのファンサービスでこの一節を唄ってくれました。「たぶんこの「水色メガネのトンボ」はシオカラトンボを指すのだろうな」と聞いていて一瞬脳裏に浮かんだことを思い出します。ちなみにYesのショーを見に行ったのは1992年3月2日の大阪城ホールの回だったので、ジョンは水色メガネのトンボを体験することは無かったと思われます。時が夏だったら、ジョンも大阪城のお濠周辺でこの歌のトンボを見られたかもしれませんね。。残念。(ちなみに「象さん」も歌っていたような。。)



「シオカラトンボ ♂ 未成熟」 クリックで拡大します

シオカラトンボ ♂ 未成熟

広島県福山市
1024×682 px
2014/06/01
Nikon D200 Mode A
Nion AiAF ED 300mm F4s

 たぶん自分が撮ったトンボ写真の中で生涯No.1と思っているお気に入りの一枚です。D200のCCDは上手く周囲にマッチングすると魔法空間を生み出すんだと感動させられます。今のCmosセンサーではこの色空間は出ません。
 麦わら模様でぱっと見 ♀ に見えますが、腹先端の下付属器長さや副性器の膨らみ具合などを見ますと ♂ の未成熟個体だと思われます。



「シオカラトンボ ♀ やや側面」 クリックで拡大します

シオカラトンボ ♀ やや側面

広島県福山市
1024×682 px
2015/09/13
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3

 ときは9月半ばですから、今度ははっきりとした ♀ のムギワラトンボです。使用機材はカメラ解像度もレンズ性能も上の一枚のものよりはずっと優秀ですが、魔法はなかなかかからないものです。
 シオカラトンボは私のトンボの記録数の中ではチャンピオンで、過去35回の記録があります。場所は平地が主で、街中でも水辺ならどこにでもいるという印象です。





「シオヤトンボ ♂ 上面」 クリックで拡大します

シオヤトンボ ♂ 上面

新潟県十日町市
1024×682 px
2022/06/18
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR

 シオヤトンボはシオカラトンボによく似た水色系のトンボです。( ♂ に限ります)サイズはシオカラトンボより少し小さくした感じ。見た目で言えば、♂ の腹部が先端まで水色になるところが一番の特徴でしょうか。よく見かけるシオカラトンボやオオシオカラトンボは腹の先が黒いので、分かりやすいかと思います。色目だけでいうとハラビロトンボが同じように腹の先まで水色(粉を吹いた色)ですが、ハラビロトンボは腹の形状が極端に太短いので見間違うことは無いと思います。



「シオヤトンボ ♂ 側面」 クリックで拡大します

シオヤトンボ ♂ 側面

神奈川県相模原市
1024×682 px
2023/05/03
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3

 シオヤトンボはそれほど珍しいトンボではありません。ただシオカラトンボが人の近くに多すぎるので、これと比較すれば少数派です。私は街より少し離れた山沿いの里山周辺で見かけることが多いです。
 私の撮影記録を見ると、14回の撮影が皆4月29日~6/18の初夏に固まっています。図鑑を見ても盛夏には姿が見られなくなるようなので、探すなら5月のうちがベストだと思います。



「シオヤトンボ ♂ 未成熟」 クリックで拡大します

シオヤトンボ ♂ 未成熟

広島県福山市
1024×682 px
2014/05/06
Nikon D200 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3

 この個体はぱっと見麦わら模様の ♀ に見えますが、♂ の未成熟個体です。腹がほっそりしているのと、黒味が強いあたりで見分けられます。



「シオヤトンボ ♀ 側面」 クリックで拡大します

シオヤトンボ ♀ 側面

新潟県十日町市
1024×682 px
2019/05/25
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3

 こちらは ♀ の成熟個体です。上の ♂ の未成熟個体と比べると腹が太いのがわかると思います。またシオヤトンボは ♂ も ♀ も成熟すると眼があずき色から青っぽい色になります。



「シオヤトンボ ♀ 飛翔」 クリックで拡大します

シオヤトンボ ♀ 飛翔

神奈川県相模原市
1024×682 px
2023/05/03
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3

 ♀ の飛翔絵です。この絵は打水産卵している移動中のものです。先に初夏のトンボだと書きましたが、この絵を記録した日はまだGW中だったので、当日はその気の早さ(?)にちょっと驚かされました。
 シオヤトンボは割とよく見るトンボで、私の記録は15回。ただし時期は4/29~6/18の間と梅雨に入るとだんだん見なくなるという印象があります。観察するなら初夏までがベストですね。街中よりは里山あたりに多いと思います。





「オオシオカラトンボ ♂ やや背面」 クリックで拡大します

オオシオカラトンボ ♂ やや背面

神奈川県横浜市
1024×682 px
2023/07/08
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3

 オオシオカラトンボはシオカラトンボのように水色系のトンボです。姿はシオカラトンボを二回りくらい大きくした。。というよりがっちりした印象があります。また腹の先の黒色が、シオカラトンボより短いです。どれくらい短いかというと、シオカラトンボは水色が2/3、黒色1/3くらいの比に対して、オオシオカラトンボは黒色が1/5くらいしかありません。もう一つ、シオカラトンボの眼の色は澄んだ水色ですが、オオシオカラトンボは黒に近い紫みたいな色なのでここも分かりやすい特徴です。



「オオシオカラトンボ ♂ 側面」 クリックで拡大します

オオシオカラトンボ ♂ 側面

神奈川県横浜市
1024×682 px
2023/07/08
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3

 私はトンボをこのんで撮影するようになるまで、オオシオカラトンボをシオカラトンボと区別できる知識や認識は一切持っていませんでした。しかし、いざオオシオカラトンボを種として認識できるようになると、オオシオカラトンボは思ったより身近なところでも普通に見つけられることが分かりました。
 この種、私の撮影記録を見ると、6月4日~9/23の間に18回の撮影がありす。中でも7月に12回、8月が4回と集まっていますから、観察時期はセミがうるさく鳴くような盛夏に限ると思います。
 この絵の紹介ですが、オオシオカラトンボは草木に止まっている姿を横から見ると、翅が前倒しになっていることが多いです。翅の広げ方は種ごとに個性がありますが、このオオシオカラトンボやショウジョウトンボなど、休む時に翅を前倒しにするのにはなにか意味があるのでしょうか。



「オオシオカラトンボ ♀」 クリックで拡大します

オオシオカラトンボ ♀

三重県志摩市
1024×682 px
2020/07/25
Nikon V1 Mode A
1 NIKKOR VR 70-300mm f/4.5-5.6

 シオカラトンボの♀はムギワラトンボと呼ばれますが、こちらオオシオカラトンボの♀はかなり色が濃くて、何より ごつい(レディーに失礼か)印象です。私が見たトンボ科の中では最も大きい印象があります。



「オオシオカラトンボ ♀ 飛翔」 クリックで拡大します

オオシオカラトンボ ♀ 飛翔

広島県尾道市
1024×682 px
2013/09/23
Nikon V1 Mode A
Nion AiAF ED 300mm F4s

 ♀ の産卵時の飛翔です。左上に写っているのはふつうのシオカラトンボ ♂ です。比べるとやはりオオシオカラトンボの方が大きいですね。特に ♀ は腹が太くて大柄に見えます。
 オオシオカラトンボは18回記録があって6/4~9/23まで見ています。ただ特に多いのは7~8月で、真夏のトンボという印象が強いです。場所は山の中から海辺までどこにでもいる印象です。街の公園にも普通にいます。





「ヨツボシトンボ ♂ やや背面」 クリックで拡大します

ヨツボシトンボ ♂ やや背面

広島県世羅郡
1024×682 px
2015/06/20
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3

 ヨツボシトンボは私的には出会いが少ないトンボです。図鑑で見ると日本全域で見られる分布になっていますが、観察できる時期がほぼ5~6月になっていて、本格的に夏になってくると見られなくトンボのようです。しかし私は9月中旬に長野の高地で一度見かけているので、絶対ということはなさそうです。
 姿は ♂ ♀ 共に渋いオレンジ系なのでかなり地味な印象です。



「ヨツボシトンボ ♂ 側面」 クリックで拡大します

ヨツボシトンボ ♂ 側面

広島県世羅郡
1024×682 px
2015/06/20
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3

 名前の通り翅の前側に黒い斑が4つ見えます。ただそこまで目立つほどの黒斑ではないので、初見ではアキアカネの初夏ものなどと見間違うことも多いかもしれません。(それは私です)
 ガマの穂に止まったヨツボシトンボの ♂ です。私の3度の記録はどちらも高原の湿地帯みたいな場所で見ています。藻が浮いているような浅い沼池が好みなようです。図鑑では平地でも見られるようになっていますが、昨今の土地開発状況を考えると街に近い場所で出会うのは難しくなってきているのかもしれませんね。
 ヨツボシトンボはアップでよく見ると胴の横や、腹の上側の胴付近など、薄い色の部分は実は中が透けて見えているようです。ちょっとびっくりです。。



「ヨツボシトンボ ♀」 クリックで拡大します

ヨツボシトンボ ♀

長野県諏訪郡
1024×682 px
2023/06/17
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3

 こちらは長野の高原湿原で見つけたヨツボシトンボ。。というのはちょっと嘘が混じっていて、撮ったときはアキアカネだろうと思っていました。ただちょっと違う感があったので、一応それなりに撮っておき、自宅に帰ってから「アキアカネではない」「ナツアカネでもない」「他の赤トンボ系とも合わない」「???」、と図鑑を順にめくっていったところ、図鑑のお尻から2番目のページでヨツボシトンボと絵が合致しました。これは私的には全然予想外で「ええー!?そうだったの!!」と完全に意表を突かれた!というのが実際のところです。地味なトンボを判別するのはとても奥深いです。性別は ♀ ですね。
 ちなみに図鑑のお尻のページを飾るのはベッコウトンボで、ヨツボシトンボとはかなり近縁種なのだとか。私はベッコウトンボを未だ見たことがないため、毎年春を過ぎると「静岡の生息地に行きたい」と考えるのですが、中々予定が合わずに実行できないまま終わっています。来年こそはなんとかかの地に遠征してみようと思っています。





ベッコウトンボについて

 ベッコウトンボは絶滅危惧種1A類(CR)という希少種です。このランクに指定されているトンボ目は日本で5種いますが、鳥で言えばコウノトリやトキと同じレベルと言えば危険度もご理解いただけるのではと思います。日本での産地は既に静岡県、山口県、大分県、鹿児島県などのごくごく一部となっています。今回私はそのうちの静岡の産地に行ってみました。
 現地は広い湿地が整備された公園になっています。まず最初に池の縁を歩きながらあちこち覗いてみましたが、トンボの姿は一向に見つけられません。すると丁度腕章をつけたトンボを見守る会の方が近くを通られて、ベッコウトンボを見られる場所まで案内していただけました。
 そこは本来トンボが生息しているはずの池からは横に少し外れたところにあって、たくさんのトロ船コンテナが置かれていました。この施設の中で給餌を行い、網で外敵侵入を防ぎつつ、ヤゴを保護・管理しているそうです。もはや自然回復だけでは絶滅を避けられない状況になったため、管理・保護下で繁殖させつつ、元の池にも戻らせて徐々に復活させていこうという作戦だと聞きました。そういう意味でもこの地は豊岡のコウノトリの里公園での保全状況と同じようなイメージだと思います。もはや人の手助けがないと種が保たれない状況にあるということですね。幸い、そのコンテナの周囲で数十頭のベッコウトンボが飛んでいたので、トンボの邪魔をしないように私も観察させてもらいました。

 観察しながら聞いたお話しでは、ベッコウトンボが減った理由として、ベッコウトンボ自体がトンボの中でもそもそも生き延びる力が弱いところにあると聞きました。植生や水質などの生息環境の変化にも敏感な上に、最近になって池に放たれた天敵の外来種や競合種がとどめを刺しているとのことでした。確かに池にはアカミミガメがひなたぼっこしている姿も見えたので、見た感じ今後もまだ道は厳しそうです。池での繁殖がある程度の数まで増えさえすれば、あとは放っておいても大丈夫になるだろうとの思惑らしいので、いつかそうなることを祈りつつ場を去りました。



「ベッコウトンボ ♂ 」 クリックで拡大します

ベッコウトンボ ♂ 背面

静岡県
1024×682 px
2024/04/13
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3

 こちらの個体は成熟した ♂ です。本来鼈甲(べっこう)は茶色に黒色斑の模様ですが、その雰囲気は ♀ や ♂ の若い個体に限るようです。♂ はほぼ青黒いイメージですね。



「ベッコウトンボ ♂ 成熟前?」 クリックで拡大します

ベッコウトンボ ♂ 未成熟

静岡県
1024×682 px
2024/04/13
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3

 こちらはぱっと見で ♀ のような茶色い色をしていますが ♂ の個体です。色目的には成熟の少し手前くらいで、成熟した ♀ よりは少し黒ずんだ感じです。ただこれくらいの色目までが鼈甲っぽい感じで、バランス的にもきれいなイメージがありますね。



「ベッコウトンボ ♂ 未成熟」 クリックで拡大します

ベッコウトンボ ♂ 若

静岡県
1024×682 px
2024/04/13
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3

 こちらはまだ若い個体で、色目的に ♀ と変わりない感じです。



「ベッコウトンボ ♀」 クリックで拡大します

ベッコウトンボ ♀

静岡県
1024×682 px
2024/04/13
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3

 この個体は羽化後間もない ♀ です。おそらく当日の朝に羽化したところだと思われます。残念ながらこの日は ♀ の姿が少なくて、水面に打産しているぶれた写真以外は ♀ 成虫を記録できませんでした。次、機会があれば、ベッコウ色をした ♀ を是非撮りたいです。


 ベッコウトンボの記録は上の一度のみです。4月の中旬と、トンボ観察としてはかなり早い時期ですが、ベッコウトンボに関しては最近更に時期が早まっていて、4月上旬がピークになっているようです。以前は5月中旬くらいまで見られたようですが、3月末から4月中旬くらいが観察にはよい時期なようです。




 


 数ある日本のトンボの種の中でも最も華やかなのは先に紹介したチョウトンボではないかと思います。光線の具合で青かったり紫だったりに妖しく輝き見るものを魅了します。一方で自分がこれまで写したトンボの写真で一番のお気に入りは、日本ならどこにでもいて姿も地味なムギワラトンボの一枚だったりします。周囲の景色とマッチした時に美しさが倍増するといいますか、トンボの写真は思った以上に奥深いと感じます。今後も修業を重ねたいと思います。

              2023/2 魚屋 拝





(TOP画像 ノシメトンボ 2003/09/15 D100 300mm/F4 神石高原町周辺にて)