コガモ 小鴨
Kogamo
Anas crecca
Common Teal

コガモ カモ目カモ科
 派手な顔した小柄な淡水系のカモ

   

コガモについて



 コガモは名前の通り小型のカモです。図鑑で調べると、よく池で一緒に見かけるマガモが59cm、コガモが37.5cm、とあります。両者の ♀ は羽色が似ているため、一緒に並んでいるところを見ると、まるで「大人と子供?」みたいな感じに見えてしまいます。他にも特徴として、 ♂ の顔が赤茶と緑の大きな模様でとても派手です。見た目が面白いからか、よくデコイや置物などのデザインに使われています。
 コガモが日本で見られるのは主に晩秋から春の間ですが、繁殖でほぼ日本にいない時期(夏から秋)に ♂ はエクリプスという ♀ に似た地味な羽模様に変身(?)しています。エクリプスの終わりの時期は丁度日本に越冬目的で戻ってくる渡りの時期と重なっているため、秋に渡ってきてすぐのコガモを見つけると「あれ?皆 ♀ ばっかりじゃん? ♂ はどこに置いてきたの?」みたいに混乱することとなります。

 余談ですが、コガモには姿がよく似た「アメリカコガモ」という近い別種がいるそうです。見た目の違いは胸の左右両側に一本の白い筋が入っているだけで、それ以外はそっくりさんとのこと。名前の通りアメリカ大陸で見られる種ですが、稀にコガモの群れに混じって来るそうで、日本でも見つかることがあるそうです。私はまだ見つけたことがないので、これを探すのもコガモ観察の楽しみの一つとなっています。






「コガモ ♂、♂ エクリプス、♀ 水の上」 クリックで拡大します。
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コガモ ♂ 水の上

♂ 茨城県 2024/01/05
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR

コガモ ♂ エクリプス 水の上

♂ エクリプス 長野県 2023/09/24
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR

コガモ ♀ 水の上

♀ 岡山県 2020/12/12
Nikon D500 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3


1枚目、派手な顔をしているのが ♂
2枚目、茶色いけど、目の後ろが全体にぼやっと濃い色をしているのが ♂ エクリプス
3枚目、茶色くて目の後ろに濃い色の透過線がある姿のが ♀ です。

 コガモは主に淡水の領域で見られます。冬は街中の池や川にもたくさんやってきますが、私は冬はいつも葦原へ猛禽や水鳥観察にいくため、そこで見かけたコガモの写真を撮ることが多くて、上の ♂ ♀ 2枚の絵もそんなシチュエーションで撮っています。猛禽類や水鳥を見る時間帯は大抵の場合早朝か夕暮れのため、いつもは見慣れたコガモなどでも光線の具合で少しおしゃれに撮れたりしてより楽しめます。
 ♂ エクリプスはトンボ観察で寄った秋の高原の池で撮っています。最近は9月下旬といっても真夏の暑さなので、高原の池であっても水草もまだまだ青いですね。





「コガモ ♂、♀ 陸の上」 クリックで拡大します。
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コガモ ♂ 陸の上

♂ 千葉県 2023/02/25
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR

コガモ ♀ 陸の上

♀ 岡山県 2015/01/11
Nikon D500 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3


 こちらはいずれも人の多い公園で撮ったもの。
 コガモは公園の中の小さい池や小川でも見られる場合があり、そういう場所ではおよそ人慣れもしているので、かなり近いところから観察することが可能です。
 





「秋のコガモ 9月の高原、10月の海」 クリックで拡大します。
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秋のコガモ 9月の高原

♂ エクリプスと ♀ 長野県 2023/09/24
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR

秋のコガモ 10月の海

♂ エクリプスと ♀ 千葉県 2020/10/03
Nikon V1 Mode A
AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR

 9月下旬、長野の高原にトンボを観察をしに行ったところ、池でぱっと見て種がわからないカモの小群れを見つけました。複数いて皆地味で小さい。冬ガモが来るにはまだ早い時期なので、「奇跡的に渡りのシマアジとか?」とワクワクしてカメラを覗いてみましたところ、「コガモの ♀ だらけ?」と一瞬混乱しました。で、落ち着いて考えてみて、♂ がまだエクリプスな秋の季節独特なコガモの群れだと気づきました。ちなみにここには一週間前にも来ていましたが、そのときはマガモしかいませんで、この日はマガモはいなくてコガモのみ。どちらも渡りの途中だったのかもしれませんね。

 2枚目はV1の絵でピントもいまいちなのでわかりにくいかもしれませんが、コガモの渡りの絵です。場所は九十九里浜で、このときも最初のうちは目の前を飛んでいく群れがコガモ達だとは気づかず、「何の海鳥?」「でもカモみたいな気もするけど、こんな海ガモしらないし??」といった感じでした。家に帰って撮った写真をよくよく見てみると、コガモのエクリプス混じりだったとわかり、やっと納得できました。コガモも渡りのときは海を通るんですね。このあと、違う海上でオシドリを見たりしていますし、普段は淡水にいるカモも、本州を長距離移動するときは、邪魔がなくて移動し易い海岸べりを飛ぶことがあるのかなと思います。ちなみに同時に撮った記録を見る限り、この集団は50羽程度の群れだったようです。
 




観察データ

場所と回数:広島県 13、岡山県 13、滋賀県 4、福井県 1、長野県 2、新潟県 1、神奈川県 7、東京都 1、埼玉県 1、千葉県 7、茨城県 3、栃木県 2、福島県 1、宮城県 3、青森県 1、北海道 1、計61回。全国くまなくいる感じです。
 千葉の海上の記録と銚子港(利根川河口の汽水域)、青森の小川原湖、北海道の霧多布の汽水干潟で見た以外は全て真水の環境で見ていますので、基本的には冬場に穏やかな淡水で見られるカモだと思います。

観察月と回数:
1月12 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
2月7  〇〇〇〇〇〇〇
3月7  〇〇〇〇〇〇〇
4月6  〇〇〇〇〇〇
5月2  〇〇
6月0
7月0
8月0
9月1  〇
10月3  〇〇〇
11月11 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
12月12 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
計61回
冬鳥です。私の観察は9月24日(長野)~5月7日(宮城)で記録しています。北国に戻る時期は結構遅くて、関東でもGWくらいまでは見られます。♂のきれいな生殖羽を見るなら1月2月ががお勧めです。



 (トップ画像 コガモ ♂ D500 500mm/F4 2023/02/25 千葉県で撮影)

 初出:2014/11/24
 改訂:2021/01/02
改訂:2021/08/13 カモ科(水面採餌型種)へのリンクを追加、観察データを更新
 全面改訂:2024/01/13