ウグイス 鶯
Uguisu
Horornis diphone
Japanese Bush Warbler

ウグイス スズメ目ウグイス科
  声はすれど姿は見えず とてもシャイな”春告げ鳥”

   

福山市での観察について


ウグイスの動画

  ウグイスは誰もが名前を知る鳥で、地方に住まれる方ならまず誰もが「ホーホケキョ」の鳴き声を生で聞かれたことがあると思います。一方で、その姿を自分の目で直接見たことがある方は、ほとんどいらっしゃらないのでは、とも思います。昔から「藪にウグイス」と言いますが、ウグイスは本当に藪の中から出てきてくれません。そして絶えず移動しているので、やっと藪の隙間にシルエットを捉えたと思っても、すぐにまた視界から隠れてしまう、まるで忍者のような小鳥です。かく言う私も、未だにウグイスをきちんと大写しした経験がありません。野鳥撮影歴10年経った今もこの有様なので、ウグイスの画像を探すたびに「まだまだ修行が足りんぞ」と思い知らされます。ただ、きれいな絵は撮れなくても、春の野山を散策していて四方からウグイスのさえずりを浴びていると「これほど豊かな時間は無いよな」と幸せを感じます。だからシャッターチャンスにはあまりこだわらないようにしています。(ちょっと言い訳含む)
  ウグイスのホーホケキョ動画を置いておきます。あの小さな身体のどこから大きな声が出るのだろうと不思議でしたが、大きく膨らむのどあたりに秘密がありそうですね。あと身体全体のアクションが大きいところを見ると、結構気張って鳴いていることがわかります。一日中動き回って何百回もさえずっていて、本当によく疲れれないもんだと感心します。

  左「ウグイスの動画 福山市ふれ愛ランド周辺にて」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。


藪の中のウグイス

 ウグイスの姿を見ようと思うなら、早春のまだ草木の芽が伸び始める前がよいと思います。この頃は気の早いウグイスがまだ葉のないスカスカの藪で鳴いてくれるので、姿を見つけ易いのです。但し、乾いた枝が絡まったような藪がバックの絵にしかならず、目で観察する分には良いのですが、絵に残すにはもう一つなシチュエーションとなります。藪の中での「ウグイス」は丁度この文章の藪の中でこんな保護色で見えることとなります。木々に新芽が伸びる頃、願わくば梅や桜をバックにホーホケキョと鳴くウグイスを撮りたいところです。しかし私には未だそんな出会いが回ってきません。同じような藪や林で見かけるメジロ君はよく花に蜜を吸いに寄ってきてくれます。もっとも、よく考えてみれば、元来虫が好物なウグイスさんは花には興味ないのかも。。。とはいえ、いつかは花札の「梅に鶯」のように粋な華鳥画を残してみたいものです。

 左「藪のウグイス 芦田川芦田町周辺にて」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。


ウグイス 春を告げる

 もう15年以上も前のこと、初めてのデジタル一眼レフ、Nikon D100を抱えて桜を撮りに芦田川河川敷でかけました。するとすぐ横からウグイスのさえずりが聞こえて来たので、カバンに忍ばせておいたサンヨンをセットし、ウグイス撮りにチャレンジしてみました。桜とウグイスは合体しなかったものの、豆粒みたいな写りながらも運よくホーホケキョと鳴いたウグイスが撮れ、凄く嬉しかったことを今も思い出します。私の野鳥撮影の歴史はここから始まったと思える、そんな記念の一枚です。

 ひょんなことから上の一枚がTV電波に乗ることになりました。関西で放映されている毎日放送(MBS)の昼番組ちちんぷいぷいさんから連絡をもらい、私の絵をいくつか提供させてもらうこととなりました。(TVへの提供は2015年12月のZIPさん(マガン特集)以来2度目です) 今回は番組内のお天気コーナーで春の啓蟄に合わせた、野鳥のさえずりを特集されるのだとか。そこで私の公開している絵のうち、ウグイス、イカル、メボソムシクイ、モズなどの動画や絵を提供する運びとなり、2020年3月9日の放送で放映されました。せっかくなのでこのときの一コマを貼らせていただきます。(サムネイルのみです)
 自分の思い出(お気に入り)のあるウグイスの絵が、TV番組の特集のメインのバック絵として使ってもらえたことには、嬉しさと共に自分の目利きにも多少自信を持てるようになりました。感謝。ただもう15年以上前の自分の結果に、今も勝ることができないのかと。。機材(600万画素のD100とサンヨン)だって古いのに。。一番の原因はたぶん今の自分がウグイス馴れしてしまったことにあるのだと思います。確かに2003年頃に比べると、ウグイスにときめきが減った自分がいます。そこは大いに反省ですね。

 左「ウグイス 春を告げる 芦田川駅家町周辺にて」「春を告げる TVに映る」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。


ウグイスの飛翔

 ウグイスはどちらかというと飛ぶというより枝から枝へピョンピョン飛んで渡り歩くというイメージがあります。飛んでも近くの木へ飛び移る程度で、長距離を飛ぶ姿はあまり見かけません。鳴いてアピールはするものの姿は出来る限り面に出さないシャイな小鳥です。

 この絵は動画からの切り出しで、このあとすぐ近くの枝藪に入ってしまいました。飛んだ姿も変わらず地味ですね。。。

  左「ウグイスの飛翔」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。


トップ絵について


  ウグイスは被写体として難易度が高い割に、結果として残る絵がいつも地味になってしまう小鳥なので、なかなか本気で姿を追う気になれません。それでも数的にはとても濃いので、他の鳥を探していてふいにすぐ目の前に現れることがよくあります。そんな時は「出たな!」とあわててレンズを向けるのですが、結局フォーカスを合わせたと思った時にはもう既に姿を見失っているのですね。。。
  10年以上前、初めてウグイスを撮って感動をもらってから、そんなこんなで今になってもそれ以上の絵が残せていません。本当に難しい鳥さんです。 2015年になってやっとアップの絵が撮れましたが、口元を見るとまだ警戒心の薄い若鳥だったのかもしれません。せっかくなのでトップ画像に貼っておきます。


観察データ

場所と回数:福山市近辺の山 17、同河原・葦原 7、四国の海岸沿い 2、長野の山 1、富士山周辺 1、霞ヶ浦周辺 2、都合30回。四国から関東まで、どこでも普通に見られる鳥さんです。一方、福山市に住んでいた時と、横浜市に引っ越してきてからで比べると、明らかに福山市周辺の方が姿が濃かったです。横浜にこだわらず、もっと自然豊かな宮ケ瀬あたりまで足を伸ばしてもその印象は変わりません。福山市のふれ愛ランドなどでは、50mくらいのテリトリーでウグイスがいたような感じでした。姿は見えずともホーホケキョの合唱が聞こえるだけで、春の幸せを感じたものです。こちら関東地方では独唱は聞こえても合唱はあまり経験がないですね。ガビさんに押されているのだろうか。。

観察月と回数:
1月1 〇
2月0
3月5 〇〇〇〇〇
4月6 〇〇〇〇〇〇
5月9 〇〇〇〇〇〇〇〇〇
6月3 〇〇〇
7月2 〇〇
8月0
9月1 〇
10月1 〇
11月2 〇〇
12月1 〇
都合28回
通年で観察できる鳥さんです。しかしさえずりを楽しむのがメインですからお勧めは圧倒的に春となります。姿を見るだけなら葉が少ない鳴き始めの3月、絵になるバックが欲しいなら桜咲く4月から新緑が美しい5月GWの頃まででしょうか。ちなみに私の記録では4/28~5/6までの間で8回のカウントがありました。このページのトップ絵もそのうちの一枚です

 (トップ画像 ウグイス 2015/05/03 高知県室戸岬にて撮影)

 初出:2014/09/15
 改訂:2015/05/07 トップ画像の差し替え
 改訂:2016/07/10 飛翔絵の追加
 改訂:2018/10/08 観察データを追加
 改訂:2020/07/21 TVで放映された絵を追加