エナガ 柄長
Enaga
Aegithalos caudatus
Long-tailed Tit

エナガ スズメ目エナガ科
 「丸い」、「小さい」、「もふもふ」と
 可愛い要素が三拍子揃った
 尾羽の長い山の小鳥

   

福山市、神奈川県、北海道での観察について


エナガの動画
 私が子供の頃を過ごした大阪府池田市には、町の北側に五月山という標高300mほどの山があります。小中学校の頃はよくこの山に遊びに行っておりまして、山登りをしながら「探検」をしてよく遊びました。この時、鳥に接した記憶がいくつかあって、キジとの遭遇と同じくらいに鮮明に覚えているのが、「エナガが木にぶら下がっている」というシチュエーションです。私は当時から、とにかく動物図鑑が好き!な子供でしたので、エナガと言う種とその姿は既に頭にしっかり入っておりました。だから山で出会ってすぐに「この枝にぶら下がった小鳥はエナガである」とわかったわけですが、種の判別に一番役立ったのはやはりその尾羽の長さでありました。尾羽が長い小鳥=エナガ。子供にもとても分かり易い、「エナガ」の覚え方です。
 それから40年経って住んでいる広島県福山近辺でも、少し山にさえ入れば普通にエナガに出会える環境があります。昔の五月山周辺とよく似た感じな気がします。さて、そのエナガですが、現れたときの声も独特で「ジュリ・ジュリ・ジュリ・・!」ととても騒がしいため、姿が見えなくてもエナガが付近にいることはすぐにわかります。ただし、「山に入れば毎回必ず出会えるのか?」と言うと、常に群れで移動し続けているため「はずれ」もかなりあります。肩透かしに会うこと度々です。
 それでも、一端出会えればまず確実に5~10分程度は「イッツ・ショータイム!」となります。ただしその間もこちらの希望通りにじっとしてくれるわけではなく、枝から枝へとピョンピョン飛び回り、こちらは視線が定まりません。そうしてレンズを向けて必死に姿を追いかけているうちに、いつの間にかショーは終わり、群れはフェイドアウトしてきます。ふと我に返ると、結果的に残った絵には一つもろくなものが無い。。。これがいつものエナガと出会う典型的なパターンです。。(頑張ろう!)
 ここで紹介する動画は正にそんな忙しい動画です。エナガは近くで大写ししようとすれば、まず即刻画面から外れてしまいます。動画冒頭のようにちょっと遠くから追う方が映し易いのですが、かわりに姿が小さくなってしまいます。もともと小さな体なので結局のところ「豆粒」になり易いですね。

 左サムネイルをクリックすると動画にリンクしています。


木の実に寄るエナガ

 ふれ愛ランドで鳥見をしていると、よくカラ類を主としたの混群に出会います。ここで言うカラ類とはシジュウカラ、ヤマガラ、エナガです。エナガは独立してエナガ科として区分されていますが、英名ではカラ類に付けられる「* tit」の名をもらっていますし、分類的にもシジュウカラ科に近い仲間のようです。確かに動きだけみているとそれぞえの種に違和感はありません。これ以外でもカラ類の混群にはメジロの他、コゲラなども混じります。
 混群で一番騒がしいのがこのエナガです。なので、エナガの声が聞こえてきたらこれをトリガーとして、担いでいるカメラと三脚を地面に置いてセットし、混群がやって来るのを身構えて待つこととなります。中でも冬はよく木の実に群がるので、混群が近づいてきたら先に声のする方向にある木の実を見つけてカメラを向けておけば、先手を打てる確率がいくらか上がります。

 左「木の実に寄るエナガ」のサムネイルをクリックしてご覧ください。


宮ヶ瀬のエナガ

 エナガは数ある日本の小鳥の中でも最も「可愛い」という形容詞が似合う小鳥だと思います。
 身体が丸っこくて小さい
 おちょぼ口
 丸いお目目にはピンクのマスカラ入り
 毛がふくらみ気味でもふもふしている
 色がピンク系
 ちょこまか忙しい
 こうやって字を並べるだけでも可愛いことがわかりますね。「漫画「ぼのぼの」のシマリス君的なキャラクター」と言えば、知っている人にはイメージが伝わりやすいかしら。冬の宮ヶ瀬でベニマシコを撮っているとき、背中側でジュリジュリと騒がしいので振り返ってみたところ、エナガ君たちが右に左に忙しくしていました。ころころした姿が可愛いのでここに飾っておきます。


 左「宮ヶ瀬のエナガ」のサムネイルをクリックしてご覧ください。


我が家のお客様

 午前中に鳥見をした後、家の庭で汚れた車を洗い流すのが私の週末の日課です。この日もいつも通りに車を洗っていると、なにやらエナガらしい鳴き声が耳に入ってきました。庭の植木を見渡してみると、どうも梅の木にエナガが数羽群れているようです。うちにはメジロやウグイスはたまに来るのですが、エナガの訪問は初めてです。どうやら梅の木に沸いたカイガラムシかなんかを捕ってくれているようでした。庭木のお手入れ、誠にご苦労様です。感謝の次第。ちなみに玄関先から3m程度の距離でしょうか。雑巾をおいて、そおっと忍び足で家に入り、先ほど一端家の中に持って入ったカメラセットを再び持ち出し、画面にはみ出さんばかりのエナガを撮りまくることができました。
 タムロン150-600mmでは最短撮影距離が2.7mなのでぎりぎりのドアップです。大きく写せるのは良いのですが、この距離だとレンズを振リ回して追うのが本当に難しいですね。手持ちでも手ブレ補正を利かせてブレはそれなりに抑えることができましたが、これほどの至近距離だとオートフォーカスが迷うことが何度もありました。それでも10分くらいは遊んでもらえましたので、それなりに記録が残せました。エナガくん達の我が家訪問に感謝感謝。ただ、その間に車が半渇きになってしまい、もう一度水をかけて拭き直す羽目になりましたが。。。

 左「我が家のお客様」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。尾羽の先がささくれているのは、敵に襲われて危機一髪だったのかな?そうなら無事でよかった。この時10羽くらいの群れでしたが、トップ画像の二羽のうち上の個体もたぶん同じエナガくんかな?


亜種シマエナガ

 先にエナガはもっとも「可愛い!」の言葉が似合う小鳥だと書きました。そのエナガの中でももっとも「可愛い!!」と噂されているのが、北海道で見れらる亜種シマエナガです。本州の「亜種エナガ」との違いは顔が真っ白なことで、特につぶらな目が強調されるので、可愛さ倍増となるようです。
 2022年のGWに横浜から知床まで車で往復して鳥見をしてきました。本気で鳥見を始めてから初の北海道入りです。見たい鳥は一杯あります。もちろんこここで紹介するシマエナガもそのうちの一種(一亜種)です。ただ初めて踏んだ北海道の地で、私的な(探鳥の)優先度としては
 1.タンチョウ
 2.ケイマフリ
 3.ギンザンマシコ
 4.ノゴマ
 5.クマゲラ
 6.シマエナガ
 7.ハシブトガラ、ヤマゲラ、コアカゲラ
 といった感じが正直なところで、「種」としては初見でないシマエナガに関しては最優先ではありませんでした。もっとも、「シマエナガはあまり苦労して探さなくても公園に行けば見られるのでないか?」みたいな淡い期待もあって、自ら優先度を落としていたようにも思います。

 結果的には期待に反してシマエナガとの出会いは、5日あった北海道入りのうちたった一度のワンチャンスのみでありました。思ってみればこれも運だったのでしょうね。まずは、たった一度の運に感謝の次第。
 家に帰って振り返ってみれば、今回は自身の中で優先度を上げていなかったこともあって、運も少し逃げ気味だったのかもしれません。次に北海道に行けることがあったなら、今度はもう少し優先度を上げて「こちらの本気」度を表に出して頑張りたいと思います。次こそは是非「正面のくりくり顔」を絵に残したいです。

 左「亜種シマエナガ」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。


観察データ

場所と回数:中国33、中部6、関東14、北陸2、北海道1、計56回。中国地方から北陸まで1,000m以下の山ならどこででも見られるだけでなく、しっかりと緑があるなら町の公園でも普通に見られます。不思議と東北では見ていませんね。たぶんたまたまだと思うのですが、どうでしょうか。ちなみに北海道では人気の亜種シマエナガとなります。中国地方のカウントが多いですが、福山市の旧ホームグラウンドであるふれ愛ランドだけで24回を数えています。里山近くの雑木林にいる小鳥という感じです。他のカラ類と同時に急に現れてしばし騒がしくしてから、急にどこかに去っていくというパターンですので、見つけたときにはしっかり撮りましょう。

観察月と回数:
1月12 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
2月6  〇〇〇〇〇〇
3月3  〇〇〇
4月3  〇〇〇
5月6  〇〇〇〇〇〇
6月2  〇〇
7月2  〇〇
8月1  〇
9月2  〇〇
10月7  〇〇〇〇〇〇〇
11月4  〇〇〇〇
12月8  〇〇〇〇〇〇〇〇

計56回

年中見られます。すばしっこい小鳥なので葉が落ちた冬場が観察しやすいと思います。絵に残っているカウントの傾向も「見つけた」というよりは、「写しやすかった」という理由の方が強かったかと思います。



 (Top画像 仲良しエナガ 2015/02/01 D7100 150-600mm/F5.6-6.3 福山市の旧自宅庭にて撮影)

 初出:2015/02/07
 改訂:2017/01/04 宮ケ瀬のエナガの絵を追加
 改訂:2019/01/14 観察データを追加
 改訂:2022/05/10 亜種シマエナガの静止画をを追加、観察データを改定