バン 鷭
Ban
Gallinula chloropus
Common Moorhen
 
バン ツル目 クイナ科
 赤いおでこが派手に目立つ黒いクイナ

   

福山市近辺、大阪府豊中市周辺での観察
 
 バンは日本の野鳥にしては珍しく、とても派手な顔をした鳥です。歩く姿は鶏に似ていて、属するクイナ科が漢字で「水鶏」と書かれるのも「なるほど」と思わされます。ただニワトリよりはずっと足がでかい。これはハスのような水草の上を歩くのに適した足なのだと思います。実際このあと紹介する動画を撮った豊中の公園にある池にはハスが咲いていて、その上を器用に走る姿をみました。「きっと水草を踏み外さないように足が大きくなったのだろう」と想像できました。バンは豊中の池もそうですし、横浜市の岸根公園にある池でも見かけましたが、結構街中の池に現れます。街中の野鳥は人の目線に慣れてあまり逃げないのですが、バンも例外ではありませんでした。一方福山近辺で見るバンは、人に慣れていないからかそれなりに逃げていきます。
 バンはヒレの無い大きな足をしていますが、実は普通に水に浮いて泳ぎます。ただヒレが無い分、あまり上手な泳ぎではありません。こちらに気づいて逃げて行くとき、お尻をぴょこんぴょこんと跳ねながら進みます。このとき、お尻の白色が目立ち、この尻振りがよけいと強調されてとてもユーモラスです。
 
 動画の紹介です。前半は大阪府豊中市千里中央周辺にて。後半は福山市の神村町周辺にて。豊中の分はめずらしくZoom 80-200mm/F2.8で撮っています。銀塩の頃は子供たちの運動会御用達レンズであり、とても発色のよい神レンズだと思っていたこの80-200ですが、デジタルとの相性はもう一つなので最近はあまり出てくる機会がありません。動画サイズは15MBありますのでDL環境にご注意ください。
 
 
 以前住んでいた福山市北部は田んぼが多く初夏から秋にかけては季節の彩のど真ん中に「田」がありました。しかし高齢化も進み、時折休耕田も見られます。一度完全に田を放棄してしまうと、元に戻すのは容易でないので、水だけ張っておいて「しばらくお休み」する田もありました。そんな水辺はバンやヒクイナのよい生活場所になります。2003年はうちのすぐ近くの休耕田でバンが雛を育てました。バンの雛は茶色くて赤い額もありませんからとても地味ですが、身体のサイズや足の大きさで他の鳥と見間違うことはありません。当時、親の姿は時折しか見えませんでしたが、幼鳥は隠れるそぶりも見せず元気に田の真ん中を走り回っています。そんな微笑ましい絵を一枚。置いておきます。CCDのD100らしい濃い色の絵ですね。
 
 左「バンの幼鳥 福山市の旧自宅周辺にて」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。
 
 
 豊中の公園にて動画と同じ条件で撮った親バンです。距離は5m以内だったと思います。その割に解像感がいまいちなのはV1と80-200(フルサイズ換算540mm/F2.8!なのに)の相性のせいなのかな。それはさておき、バンの赤い額は額板というクチバシからの延長にできた肉質があるのですが、オオバンの白いものに比べるととても目立ちます。若い個体や冬場はさほど真っ赤なものを見た記憶がないので、やはり繁殖期にもっとも赤くなるのかな?
 
 左「バン 豊中市千里中央周辺にて 」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。
 
 
 
 
 (トップ画像 バン 2014/01/25 V1 80-200mm/F2.8 大阪府豊中市千里中央周辺にて撮影)
 
 初出:2016/01/04