シメ 鴲
Shime
Coccothraustes coccothraustes
Hawfinch
 
シメ スズメ目アトリ科
 大きなクチバシに寸詰まりな体形をした
 ちょっと強面な冬の鳥

   

福山市近辺での観察
 
 シメを初めて見たのは福山市ふれ愛ランドで散歩していたときでしたので、環境的には低山の山の中での出会いでした。頭上の木に止まった姿を下から見上げたシチュエーションでしたが、結構大きめな体をしているのに、全長が短い(尾羽が短い)ことから「不思議なシルエットをした鳥だ」というのが第一印象でした。当時まだ鳥見を始めて間もない頃でしたので、「山には色々な鳥がいるのだな」と思ったものです。
 次に見たのは、家から近い福山市駅家町に流れる芦田川の川原に鳥見に出かけたときのことでした。この時は遠目に見つけたのですが、顔の下、のど元の付近にあごひげのような黒い印があって、これが見分けのポイントとなりました。また場所が住宅地に囲まれた川原でのことだったので「結構身近にいる鳥なんだな」と考えをあらためさせられました。そうこうしていると、会社の通勤途中で街中の街路樹や電線でも見ることがあり、「街中にも普通にいるじゃん」と、思ったよりずっと身近にいる鳥なのだと知るに至りました。
 以後シメは冬に普通に見る鳥という認識でいましたが、実はここ2年ほど福山では全く姿を見ていません。代わりに似たような顔をしたイカルはそこかしこで見るようになりました。「もしかするとお互いが居場所を干渉し合わないような暗黙の協定でもかけられているのかな?」などと想像したりしましたが、イカルは夏でもいますし、ちょっと違うような気もします。
 何にしてもまたシメを見たいものです。また帰ってきてちょうだいね。
 
 左「シメの動画」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。ファイルは13MBありますのでDL環境にご注意ください。。
 
 
 上で紹介した川原のシメの絵です。遠目に見ても喉元の黒い印が目立ちます。喉といえばシメの鳴き声は聞いたことがありません。蒲谷鶴彦さんの「日本野鳥大鑑鳴き声」で聴いてみると「チッ!」という短く甲高い鳴き声をするようですが、私は現場で聞いた記憶がありません。仲間のイカルはきれいで複雑な鳴き声を聞かせてくれるのですが、顔は似ていても同じような声は出ないのですね。
 
 左「川原のシメ」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。
 
 
 シメの姿で一番のポイントはやはり大きくて太いクチバシだと思います。このクチバシを見る限り堅い木の実を割って食べるのだろうなと想像させられます。次に短い尾羽が目立ちます。顔や体が太めなだけに、短い尾羽でますますもってコロコロした印象を受けます。一方で背中の色目は複雑で、派手さこそありませんがとても複雑で美しい羽を持っていると思います。
 この絵の個体では初列風切に深い青色が現れてとてもきれいですが、この青は♂の特徴なのだそうです。メスはもっと灰色かかっているとか。また風切羽の先端内側が部分的にくぼんでいたり、次列風切の先端が平らになっていたり、面白い特徴があるそうです。この絵を見ても確かにたたまれた風切の先端が段々になって、羽がまるで縮れ織りになったように見えますが、このような先端の一部がくぼむような特徴は日本の他の鳥には見られない特徴だとか。どういう理由でこんな進化になったのかな?本人に聞いてもわかんないだろうな。。。
 
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 (トップ画像 シメ 2009/04/11 D200 300mm/F4 福山市ふれ愛ランド周辺にて撮影)
 
 初出:2015/05/06