コゲラ 小啄木鳥
Kogera
Dendrocopos kizuki
Japanese Pygmy Woodpecker
 
コゲラ キツツキ目キツツキ科
  日本の森の小さな愛嬌者

   

福山市、富士朝霧高原での観察について
 


コゲラの動画
 
 まずはコゲラの見つけ方から紹介しましょう。コゲラは和名・英名が示すように日本で最も小さなキツツキです。保護色で見えにくい上すばしっこいので、普通にしているとまず目にすることはありません。それでも通年見られることと、実数は多いので山の中ではかなりポピュラーな存在です。
 見つけるポイントはベタな答えですが「トトトトト」という木をつっつく音で探すことです。あと、木から木へ飛び移る際「ギーッ」という声を発しますので、鳴き声と共に動くシルエットを追うのがコゲラを見つける上手な方法となります。この「ギーッ」という鳴き声は他の鳥ではまず聞かれないタイプの声質なので、まず聞き間違えることがありません。また鳴きながら木と木の間を直線的に飛ぶので、結構見分けが付きやすいと思います。よくある動きのパターンはある木を登って枝先までたどり着いては飛び降り、また下から登り始めては飛び降り、その木が終わったら次の木へ飛び移り以下繰り返し、となります。
 
  左「コゲラ 木登り動画 福山市ふれ愛ランド、府中市河佐峡にて」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。
 

コゲラのスロー動画
 
 コゲラを観察する面白さは、なんと言っても木をつっつく姿を見ることでしょう。「一体どうやってトントンしているのだろう?」とずっと思っていましたので、スローモーション機能の付いたV1を買った時、真っ先にコゲラのスロー・トントン動画撮影にチャレンジしました。実際撮って見てみると、首がもの凄く強そうなことがわかります。我々なら一発で首の筋が攣ってしまうことでしょう。
 
  左「コゲラの木つつきスロー動画 福山市ふれ愛ランド周辺にて」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。
 

コゲラ
 
  福山市内ではそんなに深い山に入らなくても、人家周辺の山裾でも普通に見かけることができます。暑い時期も寒い時期もおよそ通年その場所で見かけることができます。 コゲラの動きを観察していますと、羽を広げることなく垂直に立った樹木の太い幹をまるで這うように滑らかに移動するのでびっくりさせられます。秘密は体の割りにがっしりした鍵爪と、身体を支えられるくらいに硬くしっかり伸びた尾羽にあるようです。写真は真夏の暑い日、木陰で休んでいた私の目の前にコゲラが飛んできて、かなり至近距離でカメラに捉えることができた写真です。尾羽は身体を支えるために、先がいつも木に押し付けられているのがわかります。
 
  左「コゲラ 福山市ふれ愛ランド周辺にて」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。
 

コゲラ♂ 赤いリボン付き
 
 2018年の1月、正月も終わってすでに中旬、すごく寒くて北陸~信州方面はかなりの積雪がある一週間が続きました。本当は雪景色を求めて信州に行きたかったのだけれど、あまりに雪深いのはちょっと怖い。そこでチラ雪くらいを期待して富士山は朝霧高原に方面に行こうと決めました。
 この日、もの凄く空が澄んでいて富士山は神奈川県内からでもばっちり全景が見える最高の日よりでした。しかし富士山を見ると、5合目以下は全くもって白くありません。。。これ雪全くないかも。。と思いながら、朝霧高原に到着しますと、予想通り雪は全くなく乾いた朝です。国道から一本山側の道に入って歩いて鳥を探しましたが、小鳥の影が少ない。。しばらく歩いて広い草原が現れると、猛禽などが出そうな予感。草原の向こうにある林に入ってじっとしていると、カシラダカやシジュウカラに混じってコゲラ君が出てきてくれました。真っ青な空を見上げながらコゲラを撮っていますと、目の前をヒヨドリよりやや大きめの影がスーッと通り過ぎていきます。コゲラもシジュウカラもわらわらと飛んで逃げました。「コチョウゲンボウかな?」久しぶりに目の前で見た林を抜ける猛禽類に感動。雪はなくても来てよかった一瞬でした。
 
 そのコゲラくん、家で見ると後ろ頭に念願の赤いリボンが写っていました。家の近所でもコゲラ君はいますが、この日雄大な富士山を背中にして見られたコゲラやシジュウカラはまた違った感動がありました。関東に来てよかったと思えた一日でありました。左「コゲラ♂ 赤いリボンつき 富士朝霧高原周辺にて」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。
 
  (トップ画像 コゲラ 2009/05/05 福山市ふれ愛ランド周辺にて撮影)
 
 初出:2014/08/28
 改訂:2018/01/14