オオバン 大鷭
Ooban
Fulica atra
Eurasian coot
 
オオバン ツル目クイナ科
 泳ぎ上手で潜りもできるクイナ
 黒い体に白い嘴と額板が目印

   

笠岡干拓、米子水鳥公園、灰塚湖辺での観察について
 


オオバンの動画
 
 笠岡市の笠岡干拓には干拓地を横切る川があります。川の周りには季節によってサギ類、シギ類、カモ類、猛禽類などが集まります。中でも川沿いに葦が生い茂っている場所ではバン、クイナ、ヒクイナ、オオバンなどのクイナ類を見ることがあります。中でもオオバンは他のクイナ類と違って泳ぎが上手です。実際、オオバンの足には他のクイナ類にはない弁足という特殊なヒレがあるようです。またクイナやバンは尾を上げて動くので、後ろを向くとお尻の白い三角形が目立つのですが、オオバンはお尻を上げません。顔を見ると地味とはいえバンにそっくりなのに、名前に「オオ」が付くだけで結構習性が違うようです。
 決定的に違うのは潜るところでしょうか。クイナやバンはどちらかというと湿地を走り回っているイメージが強いのですが、オオバンはたいてい川や池に浮いていて、ちょくちょく潜りもします。しかも結構本気で潜ります。潜って魚を捕るのかなと思っていたら、実際は水草を採って食うようです。水草を食うカモ類は浅瀬で体半分だけ水面に潜り、お尻や足はを水面上に出して底の水草などを食んでいるようですが、オオバンは本気で潜って水草を採って来ます。他の水鳥にはあまり見かけない、ちょっと変わった習性だなと思います。
 
 左オオバンの動画を紹介します。前半は笠岡干拓で普通に浮いているところ。後半は灰塚湖周辺の結構深い川の淀みで水草を採りに潜るシーンです。よく見るとバタ足でしっかり潜って行く姿を確認することができます。この日はゆっくり観察できたのですが、結構頻繁に潜っては食い、また潜っては食いを繰り返していました。左「オオバンの動画」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。サイズは15MBありますのでDL環境にご注意ください。
 

オオバンのアップ
 
 2014年のGWのこと、嫁さんと鳥取砂丘とサンドミュージアムへ日帰り旅行にでかけました。せっかく山陰まで出かけたので、帰り道に米子水鳥公園まで少しだけ足を延ばして寄ってみした。(嫁さんは鳥に興味がないので、水鳥公園の後、中海の「垂直橋」見物も兼ねて了解を得ました)この日、観察のメインはとても珍しいヘラサギくんだったのですが、こちらは最後まで我々に近づいてくれず、超米粒でしか拝むことができませんでした。かわって観察所の目の前にはキンクロさんとハシビロくんとオオバンがおおらかに浮かんでいます。丁度tamron150-600mmを買ってすぐだったので、レンズの調子を見るのに色々とアップで撮ってみました。結果、今までオールド・サンヨンで撮っていた絵とは全く違って、非常に解像感が高い絵が撮れることがわかりました。私、Nikon純正以外のサードパーティー製のレンズを購入するのはテレコン以外ではこれが初めてだったのですが、使ってみてとてもコストパフォーマンスが高いレンズだなと実感しました。改めてtamronさんに感謝の次第。
 この時撮ったアップの絵です。浮かんでいる姿の横から、足が黄緑色していることがわかります。これは夏羽の特徴だそうです。冬はグレーに変わるとのこと。オオバンは眼が真っ赤で地味な体のワンポイントになっていますね。バンの眼も赤いですがどちらかというと暗めで赤茶色です。
 
 左「オオバンのアップ」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。
 

陸の上がったオオバン
 
 利根川河口の銚子港にカモメ類を見に出かけた際、オオバンが結構いることに気づきました。近くにはキンクロハジロもいて、この2種はどちらかというと海水域より淡水域でみることが多い鳥さんです。ですから「ここは汽水域なんだな。だから淡水でみる鳥さんも多いんだ」と思わされる一方で、実は典型的な海鳥のカモメはいっぱいいるし、それどころか荒海得意のウミウもいっぱいいます。なんだかちょっと不思議な環境です。
 オオバンは人馴れしていて、私がカメラをもってかなり近づいても逃げません。ちょっと可愛げがないやつです。近くで見ると大きな弁足をもっていることがよくわかります。カイツブリも弁足をもっていますが、水中に潜るのにはヒレ足より便利なのでしょうか。
 
 左「陸に上がったオオバン」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。
 

オオバンの尾羽
 
 11月の後半、そろそろ冬鳥が来ているかと三番瀬に行ってみました。満ち上がり後半だったので、浜のシギチはあまり観察できません。堤防に囲まれた湾の方に行ってみると、遠くにぼちぼちとスズガモが集まり始めていました。足元はというとオオバンが結構な数で寄っています。私が鳥見を始めた頃、今から十数年前ってオオバンはそれほどポピュラーな存在でははかった気がします。でもいつの間にか、水辺なら海でも池でも川でもどこでもオオバンが見られるようになりました。というか最近増えすぎです。。。
 それはさておき、堤防付近で黒い羽が落ちているのを見つけ、拾っておきました。それなりの大きさで黒いですから、きっとオオバンのものでしょう。「肩か雨覆かな」と思って。家で図鑑と照らし合わせてみるとあらびっくり、なんと尾羽のようです。確かにオオバンの尾羽はちんちくりんですが、それにしてもこんな形の尾羽は初めてみるので、ちょっと驚きました。
 
 左「オオバンの尾羽」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。
 
 
 
 (トップ画像 オオバン 2013/12/08 V1 300mm/F4 福山市神村町周辺にて撮影)
 
 初出:2015/02/11
 改訂:2016/03/07 陸に上がった画像を追加
 改訂:2016/12/31 陸に上がった画像を差し替え
 改訂:2018/11/17 尾羽の画像を追加
 改訂:2019/2/14 文章の校正