セイタカシギ 背高鷸
Seitakashigi
Himantopus himantopus
Black-winged Stilt
 
セイタカシギ チドリ目セイタカシギ科 絶滅危惧Ⅱ類 VU
 シギと名が付くも実はチドリに
 近いらしい足長さん 英語名は「竹馬」

   

笠岡干拓での観察について
 
 2010年冬の12月、笠岡干拓の調整池の観察小屋に行ったところ、超遠いところにセイタカシギが一羽いるのを見つけました。距離にして軽く100m以上あったと思います。それでも赤くて長い足と身体の白黒模様から同定は非常に楽でした。とはいえ、写真に撮っても豆粒過ぎて「セイタカシギを見た」とも言い辛く、もっと近くで見る機会を待ち望んでおりました。それから少し時間はかかりましたが、2014年正月に同じ笠岡干拓でやっとのこと近くからじっくりと観察するチャンスを得ました。
 私、年間を通じて鳥見は休日の午前中のみと決めているのですが、この日ばかりは禁を破って15時頃までセイタカ見物を続けておりました。とにかく見ていて面白い!飽きません。ただ、私がたんまり撮って帰った連続写真を家のモニターでパラパラめくって見ていると、鳥があまり好きでない嫁さんから「うわー!何それ!気持ち悪!」と拒否感ありありの指摘(非難)を受けた次第。。。確かに動きがカクカクしていてどこか非現実的と言いましょうか、あまり可愛いらしい鳥さんではありませんね。
 さてこのセイタカシギ、名に「○○シギ」とは名が付くものの、正確にはシギではなく、セイタカシギ科という独立した科に属する種です。そして、実は血縁としてはシギよりチドリに近いらしいのです。私は直接見たことがないのですが、このセイタカシギは頭や首を足先でカキカキする時、翼を跨いで足を上げるとのこと。これは確かにシギでなくチドリの習性と同じです。クチバシが長いので体型的にはシギに近いように見えますが、確かにこんなに派手なシギも他にいません。逆にケリやタゲリみたいな足の長いスマートなチドリもいるわけですから、言われてみれば「確かにそうなのかも」と思えます。
 そんなカクカクした動きのセイタカ動画を置いておきます。
 
 左「セイタカシギの動画 笠岡市笠岡干拓及び千葉県谷津干潟にて」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。ファイルは15MBありますので、DL環境にご注意ください。
 


セイタカシギ♂
 
 この写真を撮っていて、セイタカシギには足が1/3程度浸かる水の深さであっても、コガモにとっては悠々と泳げる深さなんだなと、ギャップが面白かったことを思い出します。それからこの画像、V1+サンヨンで撮ったRAWを普通に現像したものなのですが、どうも写真に見えないので不思議です。どう見てもピクサーかどこかの3D-CGアニメみたいですよね。意図的にこういう絵が残せるならこれはこれで面白いと思うのですが、全く偶然のものなので次にどうすれば同じような絵が撮れるのかわかっていません。今年もまたセイタカさん来てくれたら同じ絵が取れるのかな?ちなみに羽の色からしてこのセイタカさんは♂だと思います。
 
 左「セイタカシギ♂ 笠岡干拓にて」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。
 

セイタカシギの飛翔
 
 同じセイタカシギが飛んだ絵です。流し撮りした動画を静止画に切り取ると、バックが妙に歪みます。絵としては変ですが、鳥さんだけ見てやってください。あと、変な話ですが、この絵のバックが歪んでくれたことで撮影場所のぼかし効果になって、丁度良かったと考えています。私はこのwebを作る時はいつも、できる限りにおいて鳥を撮った場所が特定されないように気をつけているつもりです。ちなみに笠岡干拓はざっと3km四方、ふれ愛ランドも端から端まで歩けば30分で済まない広い場所なので、その程度の地域名には触れるようにしています。場所が「○○野鳥観察所」みたいな鳥見専用の場所は隠す必要もありませんが、特にセイタカシギのような絶滅危惧種に入る種や生息数の少ない猛禽類のような保護種は、彼らの生活環境を守ってやる意味でも場所はぼかすべきと思っています。バックが草原や林、ただの水面などなら場所もわからず簡単なのですが、建物など人工物が映りこむとどこなのかすぐにばれてしまいます。もっとも建物がバックだと絵になりませんのでそもそも公開できませんが。。。
 
 左「セイタカシギの飛翔 笠岡干拓にて」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。
 

セイタカシギ♀
 
 2015年2月末、私がまだ福山市在住の頃、3日ほど前に受験を終わらせた三男の下宿先を決めに千葉市内へ行く機会がありました。合格発表はまだですが本人曰く絶対大丈夫とのこと。。。ここは息子を信じましょう。
 当日、仮契約はさっさと終わらせて、帰りは京葉線に乗って谷津干潟に寄りました。目的はもちろんセイタカシギの観察です。ここでは通年間近で背高さんがみられるのだとか。駅から結構歩いて大きな池のような干潟につくと、さっそく水辺の端っこにセイタカシギのカップルを見つけました。
 こちらのセイタカさんは背中が茶色いので若鳥か♀だろうということになりますが、足の赤色がはっきり出ていることからおそらく成鳥の♀さんだと思います。以前地元笠岡で見たセイタカさんはこうやって比較すると羽に緑の金属的な光沢が見えるので♂だったことがわかります。谷津干潟で同時にいたもう一羽のセイタカさんが明らかに笠岡で見たのと同じ色をした♂だったので、まず間違いないと思います。先の笠岡干拓でのセイタカシギは、この地域では滅多に見ることができない希少な存在です。一方今回の絵を撮った千葉県の谷津干潟は、都会の公園の一角にあり、彼らも普段から人に慣れているようで、干潟周囲の歩道から10m以内の距離でレンズを向けても全然平気でした。長らくここで繁殖もしているそうなので、笠岡のような「希少」という雰囲気はありませんでした。実際カメラを向けている人もあまりいませんでしたし、人も鳥も街中の割にのんびりとしたものです。彼らにとってはここが言わば「都会のオアシス」なのでしょうね。ただちょっとバックが殺風景だったのが残念賞。贅沢かしら。
 ちなみにこのあと無事三男に合格通知が届き、皮算用にならずに済みました。よかったよかった。
 
 左「セイタカシギ♀ 千葉県谷津干潟にて」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。
 

セイタカシギの親子
 
 春の渡り鳥を見に船橋三番瀬に行ったついで、久しぶりに谷津干潟を訪れました。するとラッキーなことに、観察所から覗く近場の池にセイタカシギの親子がいてこの珍しい種をドアップで観察することができました。セイタカシギはこれまで大きな干潟の端っこで見ることはあっても、ここの池ではみたことがなかったのでちょっと驚きました。それはさておき、まだ生まれて間もない風なお子さんは立派に足長です。当たり前か。。。
 飛んでいるのがお子様。頭が薄く色づいているので♂くんっぽいですね。下に立っている成鳥の方は色目からしてお母さんのようです。ここでは紹介していませんが、当日撮った一連の写真でお母さんの後を歩く可愛い姿もありました。幸せ感いっぱいな観察となりました。
 
 左「セイタカシギの親子 千葉県谷津干潟にて」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。
 

観察データ

場所と回数:笠岡干拓2、谷津干潟2、都合4回。国内で見られる場所は数か所に限られている希少種(VU)です。一方、谷津干潟ではいつでも簡単に見られるので、ギャラリーが集まるでもなく希少性が薄く感じられるかもしれません。セイタカシギに関しては、関東民はとても幸せ者です。

観察月と回数:
 1月1 〇
 2月1 〇
 3月0
 4月1 〇
 5月0
 6月0
 7月0
 8月0
 9月0
10月0
11月0
12月1 〇
都合4回
笠岡干拓では冬鳥、谷津干潟では周年いついています。海から水路で分離された浅い内湾の干潟であることと、保護地であることで彼らにとってとても居心地がよい場所なのでしょうね。


 
 笠岡干拓で見るセイタカシギはいつも一羽だけです。独りで寂しくないのかなぁ、とちょっと心配になります。余計なお世話かしら。
 
 (トップ画像 セイタカシギ 2014/01/03 笠岡干拓にて撮影)
 
 初出:2014/09
 改訂 ♀の絵の追加:2015/03/04
 改訂 親子の絵と観察データを追加:2019/10/15