za 日本の野鳥 カモメ Japanese Wild Birds Common gull
 
カモメ 鴎
kamome
Larus canus
Common gull
 
カモメ チドリ目カモメ科
 足が黄色い
 名に飾りのない素の"カモメ"
 

   

千葉県、福山市での観察
 


カモメの動画  
 2015年1月、芦田川河口で冬の水鳥を観察していて、いつも見るセグロカモメとちょっと違うカモメ類がいることに気づきました。福山近辺で見る冬のカモメ類といえば、セグロカモメとユリカモメ、そして通年見られるウミネコの3種が定番です。このうちユリカモメは明らかに小さく、ウミネコは尾羽の先が黒くてすぐに見分けがつきます。そして残る大型のカモメはセグロカモメとなるわけです。ところがこの日みるカモメはサイズ的にはウミネコ程度なのに、尾羽が真っ白、小さなセグロカモメかもと思ってよく見ると、セグロカモメは黄色い足のウミネコと違って足が赤っぽいのに、このカモメは黄色っぽい。家で図鑑とにらめっこしたところ、この鳥こそ名前に飾りのない"カモメ”そのものであることがわかりました。ただその日見たカモメは一羽だけ。カモメ自体が福山では少数だったようで、その後カモメを認識することはありませんでした。
 横浜に移り住んでから水鳥を観察するのに一番の海辺は千葉の船橋三番瀬となりました。片道65Kmくらいあって少し遠いですが、早朝なら下道でも自宅から1時間半あれば通えます。ここの広大な干潟で見られる水鳥たちは種が多様で、行くたびに新鮮な驚きがあります。2018年の1月初めて福山でカモメを見つけて3年後となりましたが、今回はこの三番瀬でじっくりとカモメを観察することができました。ただ、この日もカモメは単独でした。他のカモメたちは大抵それなりの群れで見るのに、カモメは中国地方でも関東でもやはり少な目ですね。ちなみに英名の"Common Gull"の"Common"とは"共通の"とか"普通の"みたいな意味ですから、"もっとも一般的なカモメ"みたいな意味になります。日本では少な目ですが、世界中で見るとこのカモメが一番普通に見られるカモメ類ということになるのでしょうか。実は英名はもう一つあって"Mew Gull"つまり猫みたいな鳴き声のカモメという呼び方もあるようです。図鑑によってはこちらが書かれているので、どちらでも間違いないのだろうと思います。
 
 カモメの動画を置いておきます。千葉の船橋三番瀬で撮った記録です。
 
 左「カモメの動画」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。サイズは18MBありますのでDL環境にご注意ください。
 


カモメの飛翔(離陸)  
 カモメには数種の亜種があるそうです。日本に一番多いのは亜種 kamtschatschensis。こちらはシベリアから飛来する種です。他にごくたまにですが、亜種 brachyrhynchusというアラスカ、カナダ方面からくる種が見つかるそうです。両者の違いは飛んでいるときに風切り羽のP8、つまり外側から3番目の先端近くにある黒色に白色斑紋が入るかどうかで見比べます。さて、私のもつカモメ図鑑や他の図鑑には白紋があるのが brachyrhynchusとあります。ここで紹介する飛翔絵にはその白紋がなく外から内まで黒色が続いていますから kamtschatschensisという日本での普通種ということになります。
 左で紹介するカモメは飛翔絵というか離陸するところですね。足の色とか見分けの翼先端模様とかが分かりやすいので、この絵をチョイスしました。本格的な飛翔絵としてはトップ絵をごらんいただければと思います。ちなみに私は、飛んでいる姿でカモメを"カモメ"だと同定することはできません。。。ウミネコやユリカモメとの区別はできそうですが、セグロカモメとの見分けはまず無理です。。。理由は次の項へ。。。
 
 左「カモメの飛翔」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。
 


カモメ  
 
 カモメが干潟で休憩している姿です。このように佇んでいる場合のカモメと他のカモメ類との見分けポイントは、
 1.足の色が黄色い ・・ セグロカモメとの見分け(ただし飛んでいると足が隠れるので難しい)
 2.くちばしが小さめで、色が黄色で先端の下側がやや黒ずむ(セグロカモメは同じ場所に真っ赤なルージュ)
 3.他のカモメ類より頭から首にかけてのまだら模様がやや濃い
 4.尾羽は白い ・・ ウミネコとの見分け(成鳥に限りますが)
 
 ぐらいでしょうか。(冬羽の場合です)
 カモメ類は皆似たような印象で、正直ぱっと見ただけでは見分けがつきません。まずはいつも見る種をしっかり覚えておけば、何か違う種が現れたとき「いつものやつらとなんとなく違うぞ」的な感じでわかってくるものです。カモメ類って微妙な違いで多くの種がいます。そんな希少種を探すのも楽しみかもしれませんが、私などはそこばかり追いかけると"ウォーリーを探せ"みたいな感じでしばらくすると疲れてしまいます。
 
 ということで、繰り返しになりますが、普段から目の前の種をじっくり観察するくせをつけておきましょう。遠目で「あ、またいつものやつじゃん」と無視してしまうと、もったいないすれ違いが増えてしまいます。。(私がよくやるパターン。。反省)
 
 左「カモメ」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。
 

 
 (トップ画像 カモメの飛翔 2018/01/02 D500 500mm/F4 千葉県船橋三番瀬周辺にて撮影)
 
 初出:2018/03/18