ウミネコ 海猫
Umineko
Larus crassirostris
Black-tailed gull

ウミネコ チドリ目カモメ科
  夏でも見られる
目つきの怖い中型のカモメ

   

尾道市、愛媛県、岩手県宮古市での観察について


ウミネコの動画

 ウミネコの名前の由来は、鳴き声がネコに似ているからだそうです。でも近くでよく聴いてみるとちょっと違う気もします。私の印象ではネコとカラスの中間的な感じでしょうか。それともネコそっくりな鳴き声をするウミネコがいて、私が知らないだけなのかな。
 日本名とは違って英語名は”Black-tailed gull”とある通り「尾の黒いカモメ」の意味です。日本でよく見るセグロカモメ、ユリカモメ、カモメは皆成鳥になると尾羽が真っ白になります。一方これらのカモメたちも若鳥のときは尾羽に黒い筋が見られるので、慣れないうちは見分けるときに注意が必要です。(不思議と慣れればすぐに分かるようになります)

 カモメ類は日本でたくさん見られますが、ほとんどが冬鳥です。ということで、本州以南で夏場に見られるカモメは、実はほぼこのウミネコのみなのです。一方、冬場であってもウミネコの見分けは簡単で、成鳥になっても尾羽に黒いラインが入るのはこのウミネコのみですから、見間違うことがありません。そんなもので、私の癖でありますが、どこでもいつでも見られる鳥というものは、概してあまり真剣に撮ろうとしない傾向がありまして、このウミネコもその典型であります。それでも何年も鳥見を続けているとある程度絵が残っているもので、今回紹介に至った次第です。

  左「ウミネコの動画 尾道市、愛媛県西宇和郡にて」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。


ウミネコ(夏羽)

 2017年の海の日3連休を利用して、岩手県一周旅行に出かけました。早朝横浜を出てその日は小岩井農場と田沢湖を見学し雫石温泉で一泊。翌日は盛岡を通り過ぎて龍泉洞、宮古、釜石、遠野を経て花巻温泉で一泊、最終日は平泉の中尊寺金色堂をお参りして走行距離1,600kmの旅となりました。ちなみに我がゴルフ号の総燃費は20Km/Lを確保。半分弱はオートクルーズで楽に運転できました。最近評判が悪いVWですが、社用車で乗る同サイズの車などと比べても、明らかに車体も堅くて運転しやすいし、車自体はいいと思うのですが。。。国産車よりカタログ燃費との開きも少ないのだから、もうくだらない不正はしないでいただきたいですね。。。
 それはさておき、鳥見の収穫はあまりなく、ちょっと興奮したのは田沢湖周辺でアカショウビンのキョロロロローンという鳴き声を聞いたくらいでしょうか。あと、ここで紹介する宮古の浜のウミネコたちですね。分かり易く言うと、街中の公園のドバト状態でした。。。おまけに観光客は平気でウミネコにカッパエビセンをエサに投げるし、あまり自然を愛でる雰囲気ではありませんでしたが、間近でウミネコの乱舞や生まれたてのお子様をじっくり観察できたのはよかったです。
 撮った季節や顔回りの白さから成鳥夏羽と判断できます。

  左「ウミネコのアップ」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。


ウミネコの飛翔 佐渡航路

 2020年10月、佐渡島へトキを観察しに行きました。当然行き帰りは佐渡航路のフェリーに乗ります。新潟港を出発してから、「海鳥でも見られないかな」と船のデッキに出ますと、ウミネコの応援団が付いてきてくれて船尾付近で乱舞していました。島に着くまで珍しめの海鳥は全く姿を見せてくれませんでしたが、ウミネコたちのおかげで楽しい船旅を過ごすことができました。

  左「ウミネコの飛翔 佐渡航路」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。


ウミネコの飛翔(冬羽)

 こちらの絵も上の絵と同じく、2010年に佐渡に行ったときのフェリー上で撮ったものです。ただ上のものとは逆で、帰りの航路で撮っています。行きは静止画主体で撮ったため、帰りは動画を撮ることを主目的にしていました。この絵は動画を撮りやすいミラーレスのV1 + 30-110mmズームのコンビで動画の合間に撮っています。V1専用レンズなので、AFも本来の性能が出せるようになり、不規則に飛ぶウミネコもまずまずきれいに撮ることができました。何より足元がふらふらするデッキ上ですから、小さいカメラが使いやすいですね。
 後ろ頭から首周りの褐色斑から成鳥冬羽と判断できます。


  左「ウミネコの飛翔」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。



ウミネコ幼鳥

 「カモメ図鑑」によるとどうやら今年巣立ったばかりの幼鳥のようです。カモメ類は幼鳥の頃皆茶色くて見分けが難しいのですが、季節と場所からして、ここにはウミネコしかいません。クチバシがまだ柔らかそうですね。

  左「ウミネコ幼鳥」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。



ウミネコの羽

 宮古の浜でまるで公園のドバト状態のウミネコの群れを見かけたとき、真っ先に思いつく一番の楽しみは羽ひろいでありました。他には鳥がおらず、拾った大きな羽は間違いなく皆ウミネコのものです。風切から雨覆、羽毛などたくさん拾うことができ、とても満足できたのですが、家に帰ってから羽図鑑と照らしてよく見ると、一番特徴的な白黒尾羽が拾えていないことがわかり、ちょっと残念。もう少し捜し歩いたら一枚くらい拾えたかもしれません。千葉以北の海に行けばまたいつか尾羽との出会いがあるかしら。

  左「ウミネコの羽」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。初列風切の先端が段になって削れていますが、本来トップは白い色になっています。白色部分は擦り切れやすく、このように段付きになるようです。あと、上側は大雨覆、下側は小雨覆だと思います。他に3列風切やお子様の初列風切なども拾いました。家紋の違い鷹の羽など思い浮かべながら、少し羽を組んで遊んでみました。


観察データ

場所と回数:佐賀 1、山口県 1、愛媛県 1、広島県 7、岡山県 1、静岡県 6、新潟県 2、神奈川県 9、東京都 2、千葉県 28、茨城県 2、宮城県 3、岩手県 1、青森県 1、計65回。九州から東北までの海ならどこにでもいる感じですが、比較的穏やかな内湾や漁港で見かけることが多いです。

観察月と回数:
1月6  〇〇〇〇〇〇
2月8  〇〇〇〇〇〇〇〇
3月4  〇〇〇〇
4月5  〇〇〇〇〇
5月2  〇〇
6月2  〇〇
7月3  〇〇〇
8月5  〇〇〇〇〇
9月2  〇〇
10月16 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
11月7  〇〇〇〇〇〇〇
12月5  〇〇〇〇〇
計65回

年中見られます。秋にカウントが多いのは、この時期に山の小鳥が夏冬入れ替わりで不調なために海に出かける回数が多いだけのことだと思います。




 (トップ画像 ウミネコ 2016/07/17 岩手県宮古市にて撮影)

 初出:2016/05/22
 改訂:2016/07/20 羽の画像を追加
 改訂:2019/01/05 観察データを追加
 改訂:2022/02/20 飛翔絵を2枚追加、観察データを更新