Sakanaya's Graphic Works 横浜市、福山市の野鳥、自然を写す
Japanese Wild Birds in yokohama,Fukuyama
Japanese Wild Birds in yokohama,Fukuyama
オオセッカ 大雪加
Oosekka
Locustella pryeri
Japanese Swamp Warbler
オオセッカ スズメ目センニュウ科 絶滅危惧ⅠB類 EN
葦原の中から
ブーメランのように飛び出ては戻る
茶色い夏の小鳥
葦原の中から
ブーメランのように飛び出ては戻る
茶色い夏の小鳥
茨城県霞ヶ浦、千葉県利根川河川敷での観察
オオセッカの動画
見た目ウグイスに似た仲間はとても多く、昔はウグイス科として一まとめになっていました。ここで紹介するオオセッカは、私の持つちょっと古い図鑑(2011年)では名前の似たセッカとともにウグイス科でありました。ところがもっと前、1986年のものではヒタキ科であったようです。種の分類は時代とともに常に動くもので、最新の図鑑(2013年)ではまた違う結果になっています。DNAの分析などという新しいテクノロジーが導入されると、今まで見えなかったものが見えてくるのでしょうね。でも、いにしえの学者さんたちの業績は今に続いて生きていると思いますし、古い分類には確かにその当時なりの価値があったと思います。
長い枕でしたが、名前からわかるとおり、オオセッカはセッカとよく似ています。しかしながら上で紹介した最新の分類によれば、それまでともにウグイス科で収まっていた両者が、セッカはセッカ科に、オオセッカはセンニュウ科に分類されました。
では、両者の似ているところと違うところを簡単に書きしるしてみましょう。
*似ているところ*
葦原大好き
葦原から飛び出して、飛びながらさえずる
ぱっと見て姿が瓜二つ
夏の鳥
*違っているところ*
セッカは波状的な羽ばたきで、地面に対して水平に飛び回る。オオセッカは地面に対して垂直に円を描いて飛んで戻る
セッカは上昇下降でさえずりを2音色使い分ける。ヒッヒッヒ/チャッチャッチャ。オオセッカはジュリジュリジュリとずっと1音色でさえずるのみ
こうやって比べてみると、似ているところは大局的な見方であって、違っていることはより詳細なことであることがわかりますね。鳥類の分類学が今ほど詳細に分岐していなかった中世以前の時代ではもっと見た目等大局的な判断が主になったことと思います。オオセッカがそんな時代に名づけられたのだとすれば、やはり「オオセッカ」でいいよな!と思うのです。
動画を置いておきます。前半、虫みたいに飛びながらジュリジュリいってるのがオオセッカです。霞ヶ浦の広い広い葦原で撮りました。続けて比較的アップの絵は利根川の河川敷で撮ったものです。こちらは近過ぎて、飛んでるところを追うのは無理でした。ちなみに鳴いているので皆♂くんですね。♀さんは鳴かないのだそうです。広い葦原にしかいないわけだから、鳴かなくて飛ばなければまず見つけるのは無理だな。。。
左「オオセッカの動画」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。ファイルサイズは19MBありますので、DL環境にご注意ください。
オオセッカ♂
2019年8月のお盆、霞ヶ浦から九十九里浜の水辺の鳥観察コースにでかけました。過去の経験で言えば、霞ヶ浦浮島湿原のオオセッカはたいてい湿原の奥深くにしかみられません。ところが今回は駐車場についた途端、近くから「ジュリジュリジュリ」というオオセッカのさえずりが聞こえてきます。ついでに(!?)コジュリンも元気にないています。
私などはこの両者のさえずりに最近すっかり慣れっこになってしまいますが、日本津々浦々にいる多くの鳥見大好き人達からすれば、この2種のレアな鳥たちが目の前で騒々しくしている風景って、およそ悶絶物の光景なのだろうと思います。そう思うと、この光景に感謝せざるを得ません。
この日は残念ながら風が強くて、葦原が右へ左へ踊り続けておりましたので、写真を撮る環境としてはもうひとつでした。それでもオオセッカとはっきりわかる絵が残せたので良い一日となりました。
左「オオセッカ♂ 茨城県霞ヶ浦周辺にて」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。
オオセッカの飛翔
大きな空間に小さな小鳥でちょっとしょぼいなと思いつつ、自分が体験した臨場感はなんとなく感じられるので置いておくこととしました。同じ日に撮った他の飛翔絵もみな大きな口を開けている絵ばかりです。ずっと鳴いているのですぐに疲れて葦原の中に戻るのかしら。
左「オオセッカの飛翔 霞ヶ浦周辺にて」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。
観察データ
場所と回数:千葉県2、茨城県2、都合4回。千葉利根川から茨城霞ヶ浦沿いの広い芦原に局地的にいます。
観察月と回数:
1月0
2月0
3月0
4月1 〇
5月2 〇〇
6月0
7月0
8月1 〇
9月0
10月0
11月0
12月0
都合4日回
周年いる留鳥です。ただし普段葦原の奥に潜んでいるので、さえずりながら飛翔する夏場しか見つけるのが難しい小鳥です。
オオセッカは国内で絶滅危惧IB類に分類される希少種です。広い葦原がなければ生きていけない小鳥です。現在の生息数はわずか1千羽台とのこと。これって実はマナヅルとかよりずっと少ないんですよね。皆で葦原を大事にしていきましょう。
(トップ画像 オオセッカ♂ D500 500mm/F4.0+1.4xテレコン 2018/05/05 利根川河川敷にて撮影)
初出:2017/07/23
初出:2018/04/10 分類の変更に伴う文章の校正
初出:2018/05/05 千葉県利根川河川敷の絵を追加
初出:2019/08/12 静止画を差し替え、観察記録を更新