メボソムシクイ 目細虫食
Mebosomushikui
Phylloscopus borealis
Arctic warbler
 
メボソムシクイ スズメ目ムシクイ科
 虫のような鳴き声をした
 高山帯にいるムシクイさん
 

   

富士山吉田ルート五合目付近、宮ヶ瀬湖周辺での観察


メボソムシクイの動画
 
 ムシクイ類はウグイスの近縁です。体は全身オリーブ色をしていて、目の上に白っぽい筋がでているのが特徴です。「それって特徴と言えるのか?」という突っ込みも入りそうですが、確かに特徴に乏しい鳥(種)です。そもそもウグイス自体に目立った特徴はありませんし、福山でよく見かけたセンダイムシクイも、初見ではウグイスと見分けが付きませんでした。では、どうやってこれらを見分けるのかと言いますと、さえずりが決めてとなるわけです。ウグイスはご存じのことく「法法華経」センダイムシクイは「焼酎一杯グイー」そしてこのメボソくんは、なんといいますか秋の夜長のバッタ系の虫の声のような、「シリシリシリシリ」という少々か細い鳴き声が続くのであります。
 このメボソムシクイはセンダイムシクイと同じく日本では夏鳥で。ただしセンダイムシクイとは違って標高1500m以上の高山帯で見られる小鳥です。夏に富士山に登りますと、少々高度が上がって来た頃に、周りの森から秋の虫のような鳴き声が聞こえてきます。これがメボソムシクイの囀りです。ただ、ウグイスの仲間ですから簡単には姿を見せてくれません。藪の中で忙しく動き回り、そこかしこで鳴くものですから、観察者としては忍者に遊ばれているような気分になります。
 宮ヶ瀬に秋も深まり始めた10月の末に出かけたときのこと、春先に見たセンダイムシクイらしき小鳥を見かけました。「この時期にセンダイムシクイってまだいるのか」と、とりあえず記録して家に帰ってから色々本を読んでみたところ、どうやらセンダイムシクイが南に帰るのはもっと早いまだ暑い夏の時期だとか。一方でメボソムシクイは5月から10月まで日本にいるようです。どうやら私が10月に出会った個体は、山から下りて来て南へ帰る途中のメボソくんだった可能性が大とのことがわかりました。もっともあくまで可能性の話ですからメボソくんだったとの確証はありません。ただムシクイ類はそもそも外見がそっくりさんでして、鳴き声を聞いてはじめて種を同定できる小鳥ですから、鳴かない個体を見つけても同定はほぼ不可能です。ですので、とりあえず可能性の高いものとして私の中ではメボソくんだったと思うことにしました。当たり確率70%くらいの自信かな。。。
 
 動画を紹介します。最初の水浴びシーンは富士山五合目の某水飲み場にて。メボソくんは確定です。続いて緑の中で忙しく動き回るのは宮ヶ瀬でみたメボソくんと思しき小鳥。最後は鳴き声があるので、間違いなくメボソくん。もし「これはメボソとは違うぞ」という方がおられましたなら、是非お教えください。
 
 左「メボソムシクイの動画」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。動画は10MBありますので、DL環境にご注意ください。
 
 

富士山のメボソムシクイ
 
 この絵は2016年6月に富士山五合目に近い水飲み場で撮ったメボソくんです。「せっかく関東に来たんだし、まず富士山観光を押さえておこうよ」と嫁さんと富士山見物を計画しました。6月初旬には富士宮側から上って、宝永火口を見物しルリビタキとビンズイの囀りを堪能しました。続けて6月後半に今度は吉田ルートで5合目に上がりました。「7月に入って山開きが始まると人も一杯になって鳥見どころではなくなるかも」と思ったので、6月に集中して出かけた次第。幸い人は少な目でした。その際たまたま通りがかった場所に何故か大砲が並んでいまして、「???なんだ?」と驚いた私。砲列の先には小さな池(水たまり)があります。とりあえず端っこの方に陣取ってその小さな水辺を凝視していたところ、次々と小鳥達が来るわ来るわ。「これがうわさにきく水飲み場というものか」ととても驚きました。ウソ、コガラ、メボソ、ヒガラ、ルリビタキ、等々。あと私は逢えませんでしたが朝にはホシガラスも来ていたとか。小鳥たちとカメラマンの間はほんの数mの距離しかなく、お互いが遮蔽物で隠れているわけでもありません。なのにどうしてこんなにフレンドリーに小鳥たちが現れてくるのか、非常に不思議な光景でした。ちなみに嫁さんと一緒だったのでそこにばかりあまり長居もできなかったため、「後日、夏休みにでも一人で再チャレンジしよう」と予定していましたが、夏休みが仕事の都合でタイ出張となって予定がつぶれてしまい、とうとう再チャレンジはできませんでした。2017年こそはゆっくり見物してみたいと希望しています。
 

八ヶ岳のメボソムシクイ
 
 2018年8月の夏休み。わが社の夏休みは一般の盆休みより半月早い夏休みです。関東のお盆休みって少し遠目の外に出たら渋滞で帰ってこれないイメージがありまして、そういう意味では渋滞開始より少し早めの夏休みはとてもありがたいことであります。
 この日8月4日はとても良い天気・・・いえ超猛暑でありました。家にいても一日クーラーの部屋に引きこもるしかありません。ならば涼しい場所に鳥見に行くべし。そこで脳裏に浮かんだのが、同じ年の4月下旬にまだ雪が深く積もっていた八ヶ岳の白駒池です。標高2,100mの白駒池はこの8月の猛暑の中でも涼しいはず。と嫁さんと一緒に避暑ついでに出かけました。
 人気スポットですから駐車場が満員になる前に行こうと、朝5時過ぎには長津田を出発。相模湖まで下道1.5時間、そこから高速に乗って途中朝飯休憩などしながら現地到着は8時半頃でした。時間的には予定通り。。。ところが白駒池の手前でホシガラス狙いで寄ろうと思っていた麦草峠はすでに駐車場が満杯。そこはあきらめて白駒池の駐車場にはなんとか入れましたが、こちらもあまり余裕はなかったような。皆考えることは同じなのですね。ちなみに池のほとりは気温20℃。涼しい!空は晴天。予想通り申し分ない気候条件でした。ただ8月というのは、小鳥たちの営巣も一息ついたころとなります。4月にはあれだけサービスしてくれたコマドリも森の奥で時折さえずるだけです。でもメボソムシクイだけは元気いっぱいそこいら中で「チョリチョリチョリ」とバッタのようなさえずりを聞かせてくれます(失礼)。やがてそのうちの一羽が目の前の木の枝に降りてきてくれました。あっという間に現れて、あっという間に去っていったのでちょっとぶれぶれになってしまいましたが、普段目の前に現れることはあまりない小鳥なのでラッキーでありました。  
 
 左「メボソムシクイ 長野県八ヶ岳白駒池付近にて」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。
 

 
 (トップ画像 メボソムシクイ 2016/10/30 D500 150-600mm /5.6-6.3 宮ヶ瀬湖周辺にて撮影)
 
 初出:2017/02/20
 改訂:2018/08/06 八ヶ岳白駒池周辺での絵を追加