カヤクグリ 茅潜
Kayakuguri
Prunella rubida
Japanese accento

カヤクグリ スズメ目イワヒバリ科
  鈴の音のような澄んだ声色をした
  藪が好きな地味な小鳥

   

福山市、神奈川県宮ヶ瀬湖での観察について


カヤクグリの動画

 2015年の正月が明けた頃だったと思います。福山市ふれ愛ランドでよくお会いする鳥見の方から「見慣れない小鳥を撮ったよ」と、カメラのモニターでその謎の姿を見せてもらいました。地味な小鳥が写っています。私もよくわからず、「ウグイスでもないし、ホオジロ系でもないしなんでしょうね」と話をしていてその場を去りましたが、後日それがカヤクグリだったと教えてもらいました。
 「カヤクグリ=茅潜」という名前からして、藪の中にいて普段見ることが難しい小鳥だという感じがします。ヤブサメなんかもその典型で、たぶん何度も接近遭遇しているはずなのにまだ姿を見たことがありません。「こういう鳥と出会うのは運が必要だよな」と、敢えて狙って撮る小鳥ではないと悟りました。
 それから一月くらいして、福山市の山野峡を川沿いに散策しているとき、「チリリリリリー」というものすごくきれいな小鳥の声を耳にしました。普段聞きなれないさえずりです。しかも近い。頭上の藪を覗いてみると茶色い小鳥が鳴いているようです。これがカヤクグリとの初の接近遭遇でした。ただ撮れた絵は枝かぶりでぼけており、同定するのがやっとのもの。動画を撮る暇も余裕もありませんでした。
 そうこうする間に私は横浜に居を移しまして、やがて宮ヶ瀬に通うようになると、ここでカヤクグリが見られると噂話をきくようになりました。中には「さっきそこにいたよ」などと心躍る嬉しい瞬間もありました。しかし話はそう簡単にはいきません。結局一年目の冬はついにカヤさんの姿は見られず、そのまま夏も過ぎてゆきました。それでも通っていればいつかチャンスはくるものです。「やっぱりカヤクグリとは運や縁がないのかな」とあきらめかけていた2度目の冬、2016年12月に念願かなってついにカヤクグリと正面から出会うことができました。しかもラッキーなことに藪などの遮るものもなく、真正面からアップで撮れたので絵的には大満足でした。一方で残念ながらあのきれいな鳴き声は聞けませんでした。鈴の音のようなさえずりがもう一度聞きたいですね。気長にチャンスを待とうと思います。

  左「カヤクグリの動画 神奈川県宮ヶ瀬湖周辺にて」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。後半にバックできれいなさえずりが聞こえますが、これはルリビタキの囀りです。。。


カヤクグリ

 2016年12月に撮ったカヤクグリのアップ絵です。最初シロハラのごとく地面の枯葉をごそごそしてエサを探していて、そのうちもっと前、私から5m以内の遮るもののない場所まで出て来てくれました。こちらには気づいていると思うのですが平気なようです。私の緑色基調の迷彩ファッションがよかったのでしょうか。。。

 左「カヤクグリ 神奈川県宮ヶ瀬湖周辺にて」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。




観察データ

場所と回数:福山山野狭1、宮ケ瀬5、立山室堂1、都合7回

観察月と回数:
 1月2 〇〇
 2月1 〇
 3月1 〇
 4月1 〇
 5月1 〇
 6月0
 7月0
 8月0
 9月0
10月0
11月0
12月1 〇
12月~4月は低山で、ちょっと湿っぽいような水に近い山際、斜面でよく見ます。色が地味で、地面や藪の中にいることが多いし、サイズもスズメサイズなのでかなり見つけにくい小鳥です。5月(GW)は高山のハイマツの周りで見ています。鳴き声を聞くなら初夏に山登りするのが確実かと思います。




 宮ケ瀬での出会いから2年半経って、立山室堂で出会った高山のカヤクグリは隠れる藪もなく、ハイマツの枝の上で鈴音のようなきれいな声を聞かせてくれました。ビデオで撮ろうと思ったところ逃げられましたが、どのみち風の音が強くてうまく撮れなかったかもしれません。長く心に留めておきたいと思います。
 (トップ画像 カヤクグリ 2019/5/3 D500 150-600mm/F5.6-6.3 立山室堂周辺にて撮影 )

 初出:2016/12/04
 改訂:2016/12/05 文章校正、トップ画像を差し替え
 改訂:2019/05/03 トップ画像を差し替え、観察データを追加