コアジサシ 小鯵刺
Koajisashi
Sterna albifrons
Little Tern
 
コアジサシ チドリ目カモメ科 絶滅危惧Ⅱ類 VU
 夏の砂浜で舞う
 小さなカモメ類

   

千葉県九十九里浜近辺での観察
 


コアジサシの動画
 
 カモメの仲間、特に大型のものはウミネコ以外基本的に冬の鳥です。海に近い場所でよく見かけるユリカモメもセグロカモメも皆、実は冬にしか見られません。そんな中で夏に見られるカモメ類としてアジサシの仲間がいます。夏の海辺や河原で見られる小型のカモメ類です。そう図鑑で知ってから随分と自分のホームタウンに近い海辺を探していましたが、残念ながら福山に住んでいた頃にはとうとうアジサシたちに出会うことはありませんでした。瀬戸内にはいなかったのか、それとも単に私に出会いの運が無かったのか、今もわかっていません。
 2016年のGW、霞ヶ浦から九十九里浜を一周する機会を得ました。午前中に霞ヶ浦を回って淡水系にいるシギチドリを観察し、昼からは九十九里浜を北から南へ下りつつ観察するルートに入りました。旭市から匝瑳市に入り、車を留めるスペースをみつけて、浜辺を観察します。ここは2015年の初夏に訪れてミユビシギを一羽だけ観察できた小さな砂丘です。早速そのミユビシギを探したところ、今回は群れで波打ち際を走回るミユビシギ達に出会うことができました。彼らは物凄いスピードで走りながら、波打ち際をどんどん南へ移動していきます。私は足が沈んで歩きにくい砂浜を必死で追いかけ、なんとか追いついたところでレンズを向けるわけですが、シャッターを切り始めて数十秒もたたないうちに、彼らはもう画面からはみ出て走り去っていくのでありました。
 そうこうして体感で1kmも走ったでしょうか、やがて彼らが走っていく南の方向の空に、なにやら群れで飛ぶ鳥達の姿が見えました。飛ぶ姿はカモメでもなくツバメでもなく、サイズもその中間です。「もしかしてこれが夏に見られるというコアジサシかな?」よくよく観察してみるとコアジサシが半分、アジサシが半分の群れでありました。ただ、ここの浜辺を走リ回るのに、軽装のV1+旧サンヨンのセットしか担いでいなかったので、せっかくの初の出会いであったもののあまりよい絵を残すことはできませんでした。
 2017年のGW5月4日、昨年のリベンジを果たすべく再度九十九里浜にでかけました。今回は満を持してゴーヨンを担ぎ、昨年の出会いの場所にでかけます。実はこの前の少し前の4月23日にも同じ場所へ下見にでかけたのですが、この時はまだ彼らの姿を見つけることはできませんでした。わずか10日ほどの差ですが、彼らの体内時計は正確なのですね。この日はコアジサシ達の群れが空を乱舞する様子を堪能することができました。ただとても残念なことに、昨年見ることができたアジサシの姿は、この日は見かけることができませんでした。この砂浜近辺で繁殖するコアジサシ達と違い、アジサシは旅の途中で日本の浜辺に寄るだけなのだとか。果たしてアジサシはいったいどれくらいの日数をここに滞在しているのかな?来年のGWは前回出会えた5月2日ドンピシャに出かければ出会うことができるのかな。
 
 左「コアジサシの動画」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。動画は14MBありますので、DL環境にご注意ください。
 

コアジサシのアップ
 
 アジサシは波打ち際で群れで休憩しては、群れで飛び立ちまた同じ場所に戻ってきます。ここの海岸はVU(絶滅危惧Ⅱ類)でもあるコアジサシの繁殖地なのだそうで、私のようなカメラを持った人間があまり近づいて彼らの安寧を乱すのはよくないだろうなと、ちょっと引き気味でレンズを向けさせてもらいました。ウミネコさんなら足元でも逃げなかったりするのですが、コアジサシ達はデリケートなようです。
 
 左「コアジサシ 千葉県九十九里浜にて」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。
 

コアジサシの飛翔
 
 コアジサシの飛ぶ姿は美しいです。尾羽はツバメのように二叉に分かれていて翼は細くて長く、鋭利な刃物のような輪郭をしています。そのまま急降下して獲る獲物はどうやら海面に群れるイワシのようでした。アジサシは鯵刺と書きますが、この日は鰯刺であったようです。
 
 左「コアジサシの飛翔 千葉県九十九里浜にて」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。
 

 
コアジサシの群れ
 
 最後はコアジサシの群れの飛翔です。この日見た群れの数は50羽程度だったでしょうか。青い空に舞うコアジサシ達を見上げると、白く羽ばたく姿がパラパラと光り、とてもきれいです。
 
 左「コアジサシの飛翔 千葉県九十九里浜にて」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。
 
 (トップ画像 コアジサシ 2017/05/04 D500 500mm/F4 + 1.4xテレコン 千葉県九十九里浜にて撮影)
 
 初出:2017/05/04