ベニバト 紅鳩
Benibato
Streptopelia tranquebarica
Red Turtle Dove

ベニバト ハト目ハト科
 ピンク色をした
 南国の小柄なハト

   

タイ・パトゥムターニー県での観察


ベニバトの観察と動画の紹介

 タイの街中でよくみるハトと言えば日本でもお馴染みのカワラバトの他、日本ではみないカノコバトやチョウショウバトがあげられます。これらは最近訪れたハワイのオアフ島でも同じように見られました。遠く離れた暑い場所でこれらのハトたちが同じように見られることは、環太平洋の熱帯地域、かつ人が住む町環境のデフォルトみたいなものなんだろうか、などと思えてしまいます。
 今回紹介するベニバトはバンコクから少し離れたパトゥムターニー県という場所で見ることができました。このベニバト、日本の図鑑では国産種として記載があります。ただし南西諸島など場所は限られていて、主に大陸(繁殖地)からの冬季の飛来によるようです。迷って本州に飛来することもあるようですが、基本的に南国の鳥なのだと思います。国内で見られる鳥を海外で先に見てしまったのはオアフのムナグロとバンコクのササゴイに次いでこれで3種目となります。
 過去の私の渡航での経験ですが、バンコクやオアフではベニバトを見ることがありませんでした。調べてみると確かにハワイの図鑑には名前が載っていません。前述のハト達のようにハワイにエイリアンとして入ることはなかったようです。では、移入がなかったということは、他のハトより人との関わりが少ないハトなのでしょうか。確かにタイでもバンコク市内では見たことがありません。先に申した通り今回このベニバトを見かけたのは、バンコク市内から車で1時間弱北に上がったパトゥムターニー県という場所でのことでした。
 このパトゥムターニー県という場所が日本で言うとどんな場所かといいますと、例えばバンコクのルンピニー公園が東京都心の新宿御苑や明治神宮みたいな場所だとすれば、そこから40kmほど内陸側に離れた郊外となります。ただパトゥムターニーには周囲に山がないので、東京から見た場合、八王子や青梅的な場所ではなく、どちらかというと東京と埼玉県の久喜市みたいな位置関係かなと思います。都会とは言えないかもしれませんが、田舎というほど自然豊かな場所でもありません。そんな仕事で向かったバンコク郊外の町の周辺では、スズメに混じってチョウショウバトとこのベニバトが人の目の前をひょこひょこと歩いていました。普通に人が多い建物の周囲で(人の足元でも)うろついていて、電線にもたくさん止まっていることから、雰囲気的にはカワラバト的な存在に思えます。ただ、バンコク市内にはいなくて、少し離れた住宅地っぽい町には普通にいるところが不思議です。
 そういえば埼玉の越谷市は日本で唯一この地域に棲むシラコバトがいることで有名です。昔外国から移入されたとか、元々ここにいたとか、地域限定である理由はよくわからないそうですが、実はこのシラコバトとベニバトは種も近くて姿形もとてもよく似ています。しいて言えばベニバトの方が朱っぽい。名前の通りですね。。。それくらいの違いです。ちなみにシラコバトは県の鳥であるだけでなく、天然記念物に指定されています。私はまだ見たことがありません。いつか探しに出かけてみたい場所のひとつです。

 動画を置いておきます。場所は半屋台の食べ物屋さんの前の路地です。水を撒いたのかスコールの後かはさだかでありませんが、水たまりがあってそこでベニバトは水をごくごく飲んでいました。他の鳥と違ってハトさんはうつむいたまま水を連続して飲むことができます。昔飼っていたインコなんかは水の器に頭を突っ込んでから、飲み干すときはいちいち顔を上に向けてごっくんしていました。その姿が可愛かったので今でもよく覚えています。それに比べてハトは、なんか犬が水飲んでいるみたいで、ちょっとかわいげが足りませんね。

 左「ベニバトの動画」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。動画は16MBありますので、DL環境にご注意ください。


路地上のベニバト

 動画と同じ場所で撮ったベニバトです。ベニバトのサイズはキジバトより二回り小さく、チョウショウバトよりは一回り大きいといったところでしょうか。英名はRed Turtle Doveです。種としてはキジバト属でして、そのキジバトには亀の甲羅みたいな模様が背中の羽にあるためにOriental Turtle Doveという名がついています。仲間の縁でベニバトにも似た名前がついているのかな? ベニバトの背中にはそのような亀の甲羅模様はありませんが。。。

 左「路地上のベニバト」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。




 (トップ画像 ベニバト 2019/07/12 Nikon V1 30-110mm F3.8-5.6 タイ・パトゥムターニー県の路地にて撮影)

 初出:2019/08/04