ミミカイツブリ 耳鳰
Mimikaitsuburi
Podiceps auritus
Horned Grebe

ミミカイツブリ カイツブリ目カイツブリ科
 ハジロカイツブリによく似て
 ちょっとスマートな数の少ないカイツブリ

   

宮城県亘理町鳥の海周辺での観察


ミミカイツブリに関わるエピソード

 恥ずかしい告白です。弊Webページに野鳥のコーナーを立ち上げた2007年頃、野鳥の登録種はおそらく30種くらいからのスタートだったと思います。実はその中にミミカイツブリが混じっていました。
 2006年10月14日に芦田川で撮った何かカイツブリらしい鳥は、鳥見を始めて間もない私には判別が不能な姿をしていました。色は薄いグレー系ですからカイツブリ類の冬羽の姿ににています。クチバシが細いのでカモではなく、水に浮かんでいて時折潜っていたことからカイツブリ類であることは間違いありません。そこまではすぐに分かりましたが、ではなんというカイツブリなのか。実は今もまだはっきりとは判断できていません。当時はいくつかの図鑑を見て、なんとなくスマートであって頭に尖がりもないことから、図鑑の中で一番フィットしたミミカイツブリだろうと一旦判断して、メニューに登録しました。しかし半年か1年経ったくらいに私も少し知恵が付いて、ミミカイツブリはかなりレアな鳥であって、近所の芦田川にひょっこり現れる可能性は非常に低いことを知り、姿も微妙に違ってそうなので登録から消したという黒歴史があります。
 その見誤った絵が左の絵です。D200にサンヨンで撮っていた時代のもので、しかも逆光気味で撮ったためよけいに分かりずらい絵ですが、どうも素のカイツブリには見えません。かなり身体が沈んでいるし、見た目スマートなのでカンムリカイツブリのようにも見えます。しかし頭のとんがりがありませんし、カンムリカイツブリならもっと大きいでしょう。そこで当時はミミさんと間違えたわけです。しかし色々調べていくうち、ミミさんが芦田川にやってくる可能性はかなり低いことが分かって来ました。0ではありませんが他の可能性を考えた方が建設的に思えます。今にして考えるとやっぱりカイツブリかのでしょうか。もしかするとシマウマ柄を脱したカイツブリの若鳥なのかもしれません。結局のところ今も何かは断言できない微妙な記録です。

 左「ミミカイツブリと間違った??カイツブリの記録」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。当時のカメラ環境のためサイズはちょっと小さく800x530pxです。皆さんは「何カイツブリ」だと思われますか?


ミミカイツブリの動画

 それから13年経ってやっと間違いのないミミカイツブリに出会えました。特に狙っていたわけでもなく、宮城県鳥の海の突端の防波堤を歩いていて見つけました。周りにはカンムリカイツブリが多数と一羽のハジロカイツブリ、そしてこのミミカイツブリも一羽だけでした。遠目ではハジロカイツブリと似ていますが、最近疑い深くなったのかこの日はすぐに「ハジロでない」ことに気づくことができまして、しっかり絵に残すことができました。

 動画を置いておきます。カイツブリの動画は浮かんでいるのと潜るところくらいしか絵に残りません。せめて夏羽姿を追加したいところですね。左「ミミカイツブリの動画」のサムネイルをクリックしてご覧ください。ファイルは20MBありますのでDL環境にご注意ください。


ミミカイツブリ 冬羽

 ミミカイツブリはハジロカイツブリによく似ているといわれます。特に冬羽の場合は色目がよく似ていて区別しにくいと思います。ミミカイツブリとハジロカイツブリの見分け方ですが、冬羽の場合として
 1.ハジロはクチバシがやや上反り気味。ミミさんはストレート
 2.ハジロは目の下まで頭の黒い頭巾が降りているが、ミミさんは目のラインで止まる
 3.ハジロくんの方が頭からくちばしにかけてが少しチンチクリンな感じミミさんのほうがしゅっとしている
 といったあたりでしょうか。一番分かり易いのは2.の黒色頭巾の範囲でしょうね。夏羽の場合は私はミミさんの夏羽を見たことがないのでなんとも言えませんが、図鑑などで見る限りはやはりミミさんの方がシュッとしている感じがします。ハジロの夏羽は頭が三角おにぎりみたいでチンチクリンです。耳の後ろに金色をした派手な飾り羽があるのは両者同じです。この飾りもハジロくんの方はぱっと三角に広がった感じで、ミミさんの方は後ろへシュッと伸びたような感じで少し差が見えます。

 左「ミミカイツブリ 冬羽」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。



観察データ

場所と回数:宮城県亘理郡の鳥の海、海に近い水道口にて1、九十九里浜1、都合2回。これまで九州から関東まで広く海を見てきましたが、初見は宮城の海でした。すぐそのあと、九十九里浜の外海でもみつけました。ただし近くに防波堤があったので、なにかしら波をさえぎるものがある方が居付きが良いようです。

観察月と回数:
 1月1 〇
 2月0
 3月0
 4月0
 5月0
 6月0
 7月0
 8月0
 9月0
10月0
11月0
12月1 〇
北海道以外では冬鳥です。数が少ない中、北国の方が多少なりとも会える確率が上がるようです。




 トップ画像 ミミカイツブリ 2019/12/23 D500 500mm/4.0 + 1.4x 宮城県鳥の海にて撮影)

 初出:2019/12/23
 改訂:2020/1/23 観察データを更新