コミミズク 小耳木菟
Komimizuku
Asio flammeus
Short-eared Owl

コミミズク フクロウ目フクロウ科
 樽のように丸くて平らな顔
 芦原をふわふわ飛びまわる人気者

   

コミミズク



 コミミズクはフクロウ科に属する中型サイズの猛禽類です。フクロウの仲間ですから顔が平面的でどことなく愛嬌があります。またフクロウの仲間は皆夜行性なので、独特な飛び方をします。具体的にはふわふわした飛翔で、これは夜間に活動するとき、静寂の中で捕食者が獲物に羽音を察知されないための飛び方なのだそうです。またフクロウ類は羽音を出さないように羽自体の作りも特殊なのだとか。確かに飛ぶのが下手なカラスなどは、頭の上を通る際にかなりはっきりとババサバサ/ヒューヒューいう音が聞こえます。これでは獲物に気づかれてしまい、餌にありつけません。
 ふわふわ飛ぶ鳥と言えば他にタゲリなんかもそうですけど、どことなく優雅な飛翔です。ぱっと見、頭でっかちで流線型ではない体形をしているので飛ぶのが苦手そうに見えますけど、シベリア方面から渡ってくるのですから、見た目に騙されてはいけませんね。



「コミミズク」 クリックで拡大します。

コミミズク

茨城県稲敷市
1280×853 px
2021/02/11
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E
FL ED VR

 コミミズクの観察に訪れる場合、メインの時間帯は夕暮れ時となります。コミミズクは日本では冬鳥なので、この時期の夕暮れ時とはおよそ15時から17時までです。中でも12月から1月の間は日暮れが一番早い時期なので、実際シャッターが切れるのは16時過ぎくらいまでと、ごく短時間の観察しかできません。この絵は2月初旬なので16:44の記録でしたが、それでも陽が射すぎりぎりの時間帯でした。



「コミミズクの飛翔 1」 クリックで拡大します。

コミミズクの飛翔 1

茨城県稲敷市
1280×853 px
2021/02/11
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E
FL ED VR

 上の絵と同じ時間帯で撮った飛翔絵です。コミミズクと言えば地を這うように低空をゆっくり飛ぶ印象がありますが、このときは数十mの高さまで上がって広範囲を見渡しているようでした。



「コミミズクの飛翔 2」 クリックで拡大します。

コミミズクの飛翔 2

茨城県稲敷市
1280×853 px
2023/02/25
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E
FL ED VR

 この日は午後から雲が出てどんよりとした空になったのが幸いしてか、14時頃からコミミが飛び始めました。人間がいる場所から20mくらいの近距離で、また比較的明るい撮影環境で飛び出しを撮ることができました。かなりラッキーだったと思います。(私はコミミが出ていることに気づいておらず、現場で親切な方にお教えいただいてチャンスを得ました。ありがとうございました)
 絵でわかる通り、コミミズクの羽は体と比べて非常に大きいです。図鑑によるとコミミズクの頭から尾羽までの長さは40cm弱、フクロウは50cmほどとサイズ的には二回りくらいの差があるのに、翼を広げた長さはどちらも1mくらいです。基本的に低空を飛ぶ鳥なので、撮る写真も横から見た飛翔絵が多くて翼の長さはなかなかわかりにくいですが、コミミズクは実はアスペクト比がかなり横長な鳥であることがわかります。(トビやオオワシを越えてミサゴと同じくらいのアスペクト比です)


観察データ

場所と回数:茨城県2、計2回。よく聞く観察地は広い芦原や畑がある場所です。野ネズミなどを餌としているため、葦原のある河川敷、大規模な農耕地、干拓地などに行けば見られる可能性が上がると思います。地域で差はあると思いますが、関東や関西近辺では大きな河川沿いの河川敷などへの飛来が多いようです。

観察月と回数:
1月0
2月2 〇〇
3月0
4月0
5月0
6月0
7月0
8月0
9月0
10月0
11月0
12月0
計2回
冬鳥です。基本的には夜行性のために出会いのチャンスは少ない鳥です。厳冬期の朝・夕に出待ちして観察するので、寒さに耐えられる服装で挑みましょう。聞くところによると飛来は割と遅めで年を越えてからの方がやってきている可能性は高いのだとか。ただ関東地域のみで聞いた話なので、確証はありません。これから観察回数を増やして確認していこうと思います。



 (トップ画像 コミミズク 2023/02/25 D500 500mm F4.0 茨城県稲敷市にて撮影)

 初出:2021/05/05
 全面改訂:2023/02/25