ハシボソミズナギドリ 嘴細水薙鳥
Hashibosomizunagidori
Puffinus tenuirostris
Short-tailed Shearwater

ハシボソミズナギドリ ミズナギドリ目ミズナギドリ科

黒っぽくて翼が細く見える
やや小型のミズナギドリ

   

ハシボソミズナギドリ



 私は横浜に来てから8回(4往復)、乗船時間が1h以上あるフェリーに乗っています。その中の4回(2往復)が5月中の乗船でして、うち昼間3回の船上観察全てでハシボソミズナギドリと出会うことができました。
 ハシボソミズナギドリは、秋や冬は環太平洋の他の地域を回っているので、実際、初夏の時期が観察のチャンスです。5月のフェリーでのみ出会ったというのは、たまたまの出会いではなかったということですね。
 陸から観察できるミズナギドリはオオミズナギドリが定番ですが、ハシボソミズナギドリも運がよければ初夏に太平洋側の浜から、夏の道東では浜や岬から見られることがあるそうです。もちろん近くからはっきりと見られるわけではなく、沖の黒い点のような感じらしいです。ただ、見られるときは万を超える群れで観察できるのだとか。今のところ私は残念ながら陸からこの鳥を観察できたことがありませんが、また初夏に太平洋岸を通るときはチャレンジに寄ってみたいと思います。



「ハシボソミズナギドリ」 クリックで拡大します。

ハシボソミズナギドリ

函館大間航路
1024×682 px
2022/05/06
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E
FL ED VR

 函館から大間に向かう帰りのフェリーで、出港後最初に見た鳥がこの群れでした。手前二羽がウミネコ(中)、そのすぐ後ろの一羽がオオセグロカモメ(大)、そして一番奥の黒いのがハシボソミズナギドリです。ミズナギドリは中々浮かんでいるところを見られないので、大きくは撮れまていせんが私としては貴重な一枚です。



「八丈航路のハシボソミズナギドリ 1」 クリックで拡大します。

八丈航路のハシボソミズナギドリ 1

八丈航路帰路
1024×682 px
2021/05/16
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E
FL ED VR

 こちらはハシボソミズナギドリを初めて見た八丈航路での一枚です。当日はオオミズナギドリとハシボソミズナギドリ、そしてハイイロミズナギドリの3種が見られましたが、ハイイロミズナギドリは少数で、黒いミズナギドリは大半がこのハシボソミズナギドリだったと思います。ただ初めての観察でこの二種をライブで判定するのは至難の業、というか無理です。。私はお隣にいらっしゃった海鳥に詳しい方にその場でお教えていただきつつ、あとから自分でも図鑑とにらめっこして違いを学びました。
 首が短めで額がたち気味、など微妙な違いです。海鳥をよくご存じな方が両方いるとはおっしゃっていたので、私が両方を観察できていたのはまず間違いないですが、この絵の鳥が本当にハシボソミズナギドリであるかどうかは、正直なところ、自信のほどは75%くらいでしょうか。。



「八丈航路のハシボソミズナギドリ 2」 クリックで拡大します。

八丈航路のハシボソミズナギドリ 2

八丈航路帰路
1024×682 px
2021/05/16
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E
FL ED VR

 こちらも八丈航路のハシボソミズナギドリ。左手に一緒に写っている白い腹をした鳥はオオミズナギドリ。右下の灰色をしたやや小ぶりなのがハシボソミズナギドリ。オオミズナギドリと比べると、ぱっと見「身体が短く翼が細長く」で、アスペクト比がかなり横長なのが特徴ですね。



「函館航路のハシボソミズナギドリ 飛び立ち」 クリックで拡大します。

オオミズナギドリ 背

函館大間航路帰路
1024×682 px
2021/05/06
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E
FL ED VR

 ミズナギドリの仲間は飛ぶのはもの凄く得意ですが、飛び立ちはかなりの助走を必要とします。潜水タイプの海鳥、水鳥は皆助走して飛び立ちます。一方マガモやカルガモなどの水面採餌種はその場から一発で飛び立ちます。素人目には潜るのが得意な方が脚力が強くてジャンプ力も高いように思えるのですが、何故でこうなったのでしょうか。個人的にはとても不思議で気になるところです。





「函館航路のハシボソミズナギドリ 群れ」 クリックで拡大します。

函館航路のハシボソミズナギドリ 群れ

函館大間航路往路
1024×682 px
2021/05/01
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E
FL ED VR

 最後は大間から函館に向かう往路で見かけたハシボソミズナギドリの群れです。まだ時期的に初期のため、当地の群れは比較的まばらでしたが、函館に近づいてきたあたりの10分くらいは観察が続きましたので、全体では結構な数がいただろうと思います。




観察データ

場所と回数:八丈航路(東京都) 1、函館-大間航路(北海道~青森)2、計3回。太平洋の外海にいます。観察は太平洋を走るフェリーに乗るのがお勧めです。

観察月と回数:
1月0
2月0
3月0
4月0
5月3 〇〇〇
6月0
7月0
8月0
9月0
10月0
11月0
12月0
計3回
夏鳥です。オーストラリア南東部の島で繁殖してからは、一年かけて環太平洋を時計回りで回って戻るを繰り返すそうです。まだ繁殖に至らない若鳥は日本近海で通年見られたりするそうですが、基本は夏鳥ですので、それ以外の時期に観察するのは難しいと思われます。



 (トップ画像 ハシボソミズナギドリ 2022/05/06 D500 500mm/F4 八丈島航路の客船デッキから撮影。)


 初出:2022/11/20