カイツブリ 鳰
kaitsuburi
Tachybaptus ruficollis
Little grebe
 
カイツブリ カイツブリ目カイツブリ科
 たくさんのカモの中にこっそりと混じっている
 小さくて丸っこい潜水屋さん

   

福山市の池や海、笠岡干拓、琵琶湖湖北公園、裏磐梯五色沼での観察について
 


カイツブリの紹介と動画
 
 広島県福山市は田んぼが多いので、たくさんの池があります。どこの池にも大抵カイツブリが浮かんでいて、水面を泳いだり潜ったりといつも忙しくしています。冬は全体の色が薄くなってかなり地味。夏は赤色が強くなってコントラストが上がり、やや派手になります。特に夏は濃い目の顔の色の中、口元に黄色っぽい直線状のすじ模様が目立つ顔をしているので、カモなどと見間違うことはまずありません。
 カイツブリはキョロロロローと周囲に良く響く大きな声で鳴きます。この声はぱっと聴いてもあまり鳥の鳴き声っぽくない、どちらかというとカエルみたいな声色です。でも慣れてくるとこの声の響きが涼し気に聞こえてくるから不思議です。
 
 左カイツブリの動画を紹介します。最初は笠岡干拓で珍しく群れでいるところ。続いては琵琶湖の湖北水鳥公園でであったぼっちのカイツブリ。次の鳴き声が聞こえる場面と、潜ったり浮かんだりを繰り返す場面は季節は少し違うもののどちらも福山市神村町の池で見かけたカップルさんです。カイツブリはどちらかというと濁ったような水辺でよく見かけるので、あまりきれいな絵にならないですね。左「カイツブリの動画」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。サイズは20MBありますのでDL環境にご注意ください。
 

カイツブリ夏羽
 
 福山市神村町の池で撮った夏羽のカイツブリくん。「くん」と言いましたが雌雄同色なので「さん」かもしれません。でも見ての通り丸っこくて可愛いので呼び名は「くん」の方が似合う気がします。仲間のハジロカイツブリやカンムリカイツブリは夏羽になると頭部に派手な飾り羽が出て超びっくりな変身をしますが、カイツブリはコントラストが上がるくらいで仲間の中では地味ですね。でも丸っこくて見た目は一番可愛いと思います。(精一杯のフォロー)
 
 左「カイツブリ夏羽」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。
 

陸に上がったカイツブリ
 
 この絵は福山市の松永湾で撮ったものです。足をみてもらうとなんと大きな足かとびっくりすると思います。この足は弁足というもので、オオバンなんかも同じタイプの足をしています。カモやカモメのような水かきのヒレではなくて、木の葉みたいに広がった指で泳ぎます。果たして潜水ガモとカイツブリはどっちが泳ぎが得意なんでしょう。。一番泳ぐのが上手そうなペンギンはヒレ足なので、弁足を持つ理由がもう一つわかりません。あと、この絵を見て分かる通り、足がお尻から生えています。歩く姿も自然と立ち姿ですね。。。およそ鳥らしくない。。マガモの仲間は泳ぐときも陸で歩くときも身体は水平です。ただ潜水ガモであるアイサなどはかなりお尻側から足が生えていて、陸の上を歩く場面をほとんど見ません。ま、人(鳥)それぞれということでしょうか。。
 
 左「陸に上がったカイツブリ」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。
 

カイツブリ冬羽
 
 長野県安曇野市の御宝田遊水地で撮ったカイツブリくんです。このときもたくさんのカモの中、カイツブリはひとつふたつと数えるばかり。でも小さいことが逆に目立って、池での存在感はかなりあります。
 カイツブリの目は黄色く、黒目は小さいです。ハジロカイツブリは目が真っ赤ですが、やはり黒目は小さい。なぜ黒目が小さいのかは不明です。水の上は反射がきつくて目が眩しいのかな?
 
 左「カイツブリ冬羽」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。
 

カイツブリの若鳥
 
 次の一枚は裏磐梯の五色池で撮ったカイツブリの若鳥です。若鳥は顔に縞模様があります。
 このとき大きなザリガニらしき獲物をくわえていますが、頑張って飲み込もうとしたものの大きすぎて飲み込めず、散々粘って結局池の中に落としてしまいました。。。残念。なんともおちゃめなカイツブリくんでありました。
 
 左「カイツブリの若鳥」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。
 

カイツブリの群
 
 最後の一枚は群れの写真です。カイツブリは大抵は一度にみる数が1~2羽で、単独かカップルか程度で見ることが多いです。福山でも関東でも、カイツブリの仲間はカイツブリの他、冬場にハジロカイツブリやカンムリカイツブリをよくみかけます。しかしこれらも一か所で見かける数は同じように1羽2羽です。ところがこの写真で分かるとおり、かなりの数で群れることもあります。(群の向こう側にいる黒っぽくて大きい鳥はキンクロハジロです)
 この絵は岡山県笠岡市の笠岡干拓にある調整池観察所から撮ったものです。多いときは数百のカイツブリの群れが見られます。そういえば以前茨城県の涸沼でハジロカイツブリの百を超えるような群れをみたことがありますし、いつもいつも「ぼっち」が好きなわけでもなさそうです。図鑑をみると、若鳥のうちは冬に集まったりするのだとか。もしかしてカップルの相手を探しているのかな?集団の合コンみたいなものなのかな?
 ちなみにこの調整池、たまにオオタカがカモなどを狙って上空から襲い掛かります。カイツブリは危険を察知すると一斉に水中に潜ります。その消えようは見事なものです。
 
 左「カイツブリの尾羽」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。
 

観察データ

場所と回数:福山市の池9、海2、笠岡干拓4、米子2、琵琶湖湖北2、安曇野1、神奈川の淡水2、東京湾の海2、裏磐梯1、都合25回。一番多いのは池や湖です。川や海でもいますが川なら淀み、海は内湾なのでたぶん穏やかな場所が好きなのでしょうね。

観察月と回数:
 1月5 〇〇〇〇〇
 2月3 〇〇〇
 3月2 〇〇
 4月1 〇
 5月1 〇
 6月0
 7月0
 8月0
 9月2 〇〇
10月3 〇〇〇
11月4 〇〇〇〇
12月4 〇〇〇〇
都合25回
基本的には通年いる鳥です。6,7月に記録がないのはその時期あまり水鳥を追ってでかけないことや、この時期繁殖期のため見る機会が減るのが理由かと思います。

 

 
 トップ絵を見てもらうと分かるとおり、カイツブリはおよそ尾羽がありません。そんなものでよけいに可愛らしい姿に見えるのですね(トップ画像 カイツブリ 2016/1/3 D7100 150-600mm/5.6-6.3 千葉件谷津干潟にて撮影)
 
 初出:2019/10/15