カンムリカイツブリ 冠鳰
Kanmurikaitsuburi
Podiceps cristatus
Great Crested Grebe

カンムリカイツブリ カイツブリ目カイツブリ科
 長い首をした
 白っぽい大柄なカイツブリ
 

   

カンムリカイツブリについて



 私が本格的に鳥見を始めた2000年代後半の頃、カンムリカイツブリはあまり見かけない水鳥だったように記憶しています。私は2007年頃から鳥見の記録があり、年間の日数や枚数が増え始めたのは2010年頃からなのですが、カンムリカイツブリの初記録は2013年でした。よく鳥見の現場でお会いする方に「今〇〇に行けばカンムリカイツブリがいるよ」と教えてもらって見に行ったのが最初だったので、当時は福山近辺でもまだ珍しめ鳥の一つだったように思います。
 その後も一冬に片手で余る程度の回数をぽつぽつと見かける程度だったのが、2020年くらいから一気にカウントが増え始め、今では冬の水辺では見ないことの方が珍しいといった感じになっています。特に東京湾では数が増えていて、2023年暮れの葛西臨海公園では沖に数えきれないほどの大群が浮かんでいるのを見ました。このことは多くの方が同じように感じてらっしゃるようなのですが、原因は誰も分かっていないようです。もしかすると、どこか海外の有力な越冬地がなくなってしまった、とかなのでしょうか?






「カンムリカイツブリ 生殖羽」 クリックで拡大します。

カンムリカイツブリ 生殖羽


秋田県八郎潟
1024x682 px
2017/03/19
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3


 カンムリカイツブリは冬羽姿と春からの生殖羽姿の差が非常に大きい水鳥です。
 上の絵は3月下旬に秋田県の平地で撮った絵です。国内でも北国では繁殖していて、このように平地でも夏羽を楽しめます。なお、私の記録では4月初旬に山梨県の標高が少し高い湖でカンムリカイツブリの夏羽をしっかり見ています。なので、もし春先に山梨の大きな湖に行くことがあったなら、是非「夏の冠」を探してみましょう。一見の価値あり!とお勧めさせていただきます。
 



「カンムリカイツブリ 冬羽」 クリックで拡大します。

カンムリカイツブリ 冬羽


茨城県
1024x682 px
2024/01/05
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR


 皆になじみの冬羽姿。遠くから見るとこの顔から首にかけての白がとても目立ちます。
 地味であっさりな感じなんですけど、スマートでしゅっとしていて、上品な感じですね。
 



「カンムリカイツブリ クロダイを食う」 クリックで拡大します。

カンムリカイツブリ クロダイを食う


宮城県亘理町
1024x682 px
2019/12/23
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3

 宮城の鳥の海の水道でカンムリカイツブリを観察していたときのこと。潜水の後、浮かんできたカンムリの口には、大きくはみ出たクロダイが咥えられていました。「さすがにこれは飲み込めそうなサイズではないぞ。。」とどうするのか見ていたら、なんとそのまま上を向いて一気に飲み込んでしまいました。。
 鳥ってクチバシが細いと口も細いのかと思いがちですが、確かにアオサギとかもの凄く口が開きますもんね。それにしても小さい顔したカンムリカイツブリが、そこそこ大きなクロダイ(たぶん20cm以上はありそうだった)を目の前で一気飲みするのですから、このときは本当に驚かされました。
 



「カンムリカイツブリ 若」 クリックで拡大します。

カンムリカイツブリ 若


宮城県栗原市
1024x682 px
2021/12/10
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3

 伊豆沼でガンとハクチョウの飛び立ちを観察していたところ、見慣れぬ水鳥が見えました。姿はカンムリカイツブリですが、見慣れぬ模様をしています。どうやら大人になりかけの若のようです。
 このカンムリカイツブリは単独でいました。もともと冬場のカンムリカイツブリは単体で行動しているところを見ることがほとんどですが、若もすぐにぼっちで活動するのですね。頼もしい。
 



「カンムリカイツブリ 飛翔」 クリックで拡大します。

カンムリカイツブリ 飛翔


千葉県銚子市
1024x682 px
2024/02/11
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR

 銚子でカモメの観察をしているとき、やけに羽ばたきのピッチの早い白黒の鳥が見えました。かなり遠くで飛んでいて、何の鳥かすぐにはわかりません。ファインダーで見ると首が長いことがわかったので「もしかしてカンムリカイツブリでは?」と期待を込めて連射してみました。
 撮った絵を再生して確かめると、確かにカンムリカイツブリで間違いありませんでした。ちなみに飛翔自体は海面近くを一直線に飛ぶ感じです。飛ぶ高さは結構低めで、海面から5m以内くらいでしょうか。あと、尾の後ろ側に見える黒いところは尾羽ではなく足です。
 カモ類も割と羽ばたきが早くバタバタした印象ですが、カンムリカイツブリは更に早い印象を持ちました。私自身カイツブリ類の飛翔姿は出会いが少ないのて、今回の絵は結構貴重なショットです。(過去一度だけ、カイツブリの飛翔・・しかも逃げる背中・・を撮れたきりです)普段グレー一色の背中に収まっている隠れた翼は、思いのほか白黒のコントラストがあってきれいでした。
 



 
観察データ

場所と回数:広島県 6、岡山県 1、滋賀 5、山梨 1、新潟 1、神奈川 2、東京 4、千葉 15、茨城 7、宮城 4、秋田 1、青森 1、 計48回。私の記録では本州以北となっています。私が広島在住の頃はまだ数が多くなかったので、九州四国では見かけませんでした。今はたぶん見られるのでは?と思いますがどうでしょう。
 今まで見てきた中では湖沼と内湾・港湾が一番観察回数が多いです。このうち海水域へ飛来するのは越冬の場合に限られるようです。ちなみに川の記録はほとんどありません。よく散歩する近所の浅い川(コガモ・カルガモ・カワウなどはいる)などではまず見ませんので、生息するためには、餌捕りに潜れる程度の水深や、飛び立ちの助走ができるくらい開けた空が必要なのだろうと思います。(と言っても似たような生活をしているカワウはごく浅い川にも現れますが。。彼らは生きる力が強いですね。。)

観察月と回数:

1月13 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
2月7  〇〇〇〇〇〇〇
3月5  〇〇〇〇〇
4月2  〇〇
5月0
6月0
7月0
8月0
9月0
10月1  〇
11月4  〇〇〇〇
12月16 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
計48回

本州中南部では基本的に冬鳥です。夏の繁殖時には北国に移動します。しかし最近は琵琶湖など本州中部でも繁殖しているものがいるとのこと。私は山梨県の湖で4月に夏羽姿のペアを見ているので、これらももしかすると繁殖するペアだったのかもしれませんね。
 冬羽姿のカンムリカイツブリに限りますと、私の撮影記録は関東以西の地域で11/21~3/20の間にあります。飛来は割と遅くて、桜が咲く前にはいなくなる印象です。



 (トップ画像 カンムリカイツブリ 夏羽 2017/03/19 D500 500mm/F4×1.4テレコン 八郎潟にて撮影。

 親子5人、一台の車で横浜~青森~新潟~横浜と2泊3日の旅をしたときに、戻り行程は日本海側をひたすら走り、途中八郎潟に寄りました。もう春というのに、当地ではまだところどころで雪が残り、北上中にお休みしているオオハクチョウやマガンも見られました。中でも印象的だったのがこちらのカンムリカイツブリ(夏羽)でした。
 子が皆成人となった頃なので、「こんな家族旅行ももう最後だろうな」と、とても思い出深い旅行となりました。

 初出:2015/12/30
 改訂:2016/04/10 動画に夏羽個体を追加
 改訂:2017/03/28 トップ画像と夏羽の画像を差し替え
 全面改訂:2024/01/24
 改訂:2024/02/12 飛翔絵を追加