カラス科カラス属 烏属
Karasu-zoku
Corvus -
- jackdaw,Rook,Crows
 
スズメ目カラス科カラス属
 黒いカラス5種の紹介

   

カラス属



 カラスは黒い。黒いはカラス。日本にいて大きく黒い鳥は基本カラスと考えて間違いありません。
 日本で年中みるカラスは、主にハシブトガラスとハシボソガラスの2種がいて、それ以外に季節や地域によりニシコクマルガラス、コクマルガラス、ミヤマガラス、ワタリガラスなども見られます。
 今回紹介するのはそのうちの4種と、タイでみたハシブトガラスによく似るイースタン・ジャングル・クローという種の5種です。



「コクマルガラス」 クリックで拡大します。

コクマルガラス

岡山県笠岡市
1024×682 px
2014/11/12
Nikon V1 Mode A
Nion AiAF ED 300mm/F4s

 岡山の農耕地で見たコクマルガラス。コクマルガラスは白黒パンダな色の個体と、このように黒い個体、また少し灰色が入った中間個体とさまざまですが、私の見たのはこの黒いものだったので、撮った当初はハシブトガラスと見間違っていました。最近、カラスの写真を見直していて、コクマルガラスだったことに気づきました。他のカラスより小さく丸っこくてかわいい感じですね。



「ミヤマガラス」 クリックで拡大します。

ミヤマガラス

鹿児島県出水市
1024×682 px
2014/12/29
Nikon D200 Mode A
Tamron A011
150-600mm / F5.6-6.3

 出水市でみかけたミヤマガラス。前日に続いての二度目の貴重な出会いであったのですが、カラスなものであまり真剣に撮る気もなく、「姿さえわかれば電線の絵でよし」としてしまいました。今となればもったいない。。
 頭の形が特徴的なので、判別し易いカラスだと思います。



「ミヤマガラス 群れ」 クリックで拡大します。

ミヤマガラス 群れ

鹿児島県出水市
1024×682 px
2014/12/28
Nikon V1 Mode A
Nion AiAF ED 300mm/F4s

 出水市にツルを観察しにいったときの記録です。左上の方にマナヅルのものらしき大きな羽が一本落ちています。ミヤマガラスたちはツルの給餌のおこぼれをいただいていたようです。



「ハシボソガラス」 クリックで拡大します。

ハシボソガラス

広島県福山市
1024×682 px
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011
150-600mm / F5.6-6.3

 福山時代の家の裏の田んぼにいたハシボソガラスです。ハシボソガラスは身体が大きいからか、割と水の張った田んぼ干潟でもよく見ます。クチバシから額あたりがストレートっぽく見えるのがハシボソガラスの特徴です。



「ハシボソガラス 白い羽混じり」 拡大は無しです。

ハシボソガラス 白い羽混じり

福井県坂井市
1024×682 px
2020/11/22
Nikon V1 Mode A
1 NIKKOR VR 70-300mm f/4.5-5.6

 福井県の観光地に出かけたとき、道を歩いているカラスを見て、少々違和感が。。羽の一部が白くなっています。飛んだところなども観察していると、どうやら両側の翼の一部が白化した個体のようです。日本ではたまにこのようなカラスが報告されているようですが、いずれもハシボソガラスのようで、不思議とハシブトガラスでは同じような話を聞きません。



「ハシボソガラス 群れ」 クリックで拡大します。

ハシボソガラス 群れ

岡山県笠岡市
1024×682 px
2015/01/03
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011
150-600mm / F5.6-6.3

 広い農耕地のそばにある公園で見かけたハシボソガラスの群れです。カラスもあまりに数が多いとヒッチコックの「鳥」ではないですが、ちょっと怖い感じがしますね。



「ハシブトガラス」 クリックで拡大します。

ハシブトガラス

神奈川県横浜市
1024×682 px
2020/12/19
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E
FL ED VR

 市内の公園で近くに来てくれたハシブトガラス。私、正直言いますと、普段カラスを見てもほとんどレンズを向けません。カラスってでかくて真っ黒で見栄えがよくないですし、声も可愛げないし、家の近所でゴミあさりしてちらかすし、集団で他の鳥に襲い掛かったりするし。。と、あまりいい印象がないからでしょうか(ひどい言いようだ)。ただ、このときはゴーヨンからはみ出すくらいの距離で面と向かって出会いましたので、たまにはアップでも撮ってみるかとシャッターを切りました。
 結構くたびれた羽姿をしている個体が多いカラスですが、この個体は思いのほかきれいだったので、ここに飾らせてもらうこととしました。羽の艶がどこかマウンテンゴリラを思い出させます。



「タイ-バンコクのイースタン・ジャングル・クロー」 クリックで拡大します。

タイ-バンコクのイースタンジャングルクロー

タイ国バンコク市
1024×682 px
2016/08/04
Nikon V1 Mode A
1 NIKKOR VR 70-300mm f/4.5-5.6

 ハシブトガラスとハシボソガラスのあいの子みたいなタイのカラスを紹介します。
 タイの(黒くて大きな)カラス事情を色々と調べましたところ、ハシブトガラス(Large-billed Crow)とイエガラス(House Crow)、そして日本名が不明なイースタン・ジャングル・クロー(Eastern Jungle Crow)などが出てきます。ネットなどでみるとハシブトガラスとイースタン・ジャングル・クローが混同されていたり、「Birds of Southeast Asia」という図鑑では、地域をひっくるめてハシブトガラスしか紹介されていなかったりしていて、情報が定まりません。ただ、2種所持しているタイの野鳥図鑑をさらに詳しく読んでみたところ、どうやらイースタン・ジャングル・クローこそがタイの代表的なカラスとして紹介されていることを知りました。
 今回の個体は、図鑑の絵と私の撮った写真の両方で頭の出っ張り方などが一致しているので、イースタン・ジャングル・クローという種であると同定した次第。なお、ここでは紹介しませんが、普通に頭がこんもりと出っ張っている日本で見るハシブトガラス同様のカラスも2019年に同じ公園で記録していますので、日本の「ハシボソ・ハシブト」コンビが「イースタン・ハシブト」コンビになったような感じでしょうか。
 ネットの声ではタイのカラスは全般的に人家近くにはほとんどいないそうです。ただ、バンコク市内だけ例外でカラスが普通に見られるとのこと。確かに私はタイで滞在中、バンコク市内以外でカラスを見た記憶がありません。ちなみに2019年にバンコクを訪れたときは、2016年に比べて同じ公園内でカラスの密度が相当数上がっていました。というかカラスだらけの公園になっていた。。。他の小鳥の繁殖が心配なくらいの数でした。あれから3年、もっと増えているのか、減ってきているのか、気になるところです。



観察データ

場所と回数: ハシボソガラス、ハシブトガラスは全国くまなくみかけます。あえてカウントは入れません。ミヤマガラスは鹿児島 2。コクマルガラスは岡山 1。イースタン・ジャングル・クローはタイ・バンコク 2。
 ハシブトガラスなどは、富士5合目にいたときにはるか頭上を飛ぶ姿を見ているので、かなり環境にも強い鳥(というか最強かも)だと思います。

観察月と回数:
1月0
2月0
3月0
4月0
5月0
6月0
7月1 〇 E-J-Crow
8月1 〇 E-J-Crow
9月0
10月0
11月1 〇 コクマル
12月2 〇〇 ミヤマ
計23回

コクマルガラスとミヤマガラスは冬鳥。それ以外は留鳥。



 
 
 (Top画像 ハシブトガラス 2014/11/02 D200 150-600mm/F5.6-6.3 岡山県笠岡市)
 
 
 初出:2022/10/16