ヤマガラ 山雀
Yamagara
Parus varius
Varied tit

ヤマガラ スズメ目シジュウカラ科シジュウカラ属
 最も身近な野鳥なのに、何度見ても飽きることのない愛らしい小鳥

   

ヤマガラについて



 ヤマガラは昔から人が慣れ親しんできた小鳥です。では街に近いところで普通に見られるのか?というとそうではありません。例えば同じ仲間のシジュウカラは街中の公園でも普通に見られたりしますが、ヤマガラはそれなりの深い森や林がないとまず見ることがありません。ところが一転、人とのフレンドリーさ(距離)でいうと、これは圧倒的にヤマガラだったりします。
 例えば、日本では野鳥観察館が各地にあって、観察館の前には餌台が置かれて、小鳥たちが寄せられていることがよくあります。このとき餌台に来る鳥の観察には、「部屋の中からガラス越しで行う」場合と、「野外で遮るものなく、至近距離から観察できる」場合の二パターンがあります。後者の場合、人慣れしたヤマガラは、手のひらから直接餌を与えることができたりします。いわゆる「手乗りヤマガラ」が体験できるわけです。
 およそ餌台でよくみかけるのは、シジュウカラ、コガラ、カワラヒワ、アトリ、ゴジュウカラなどですが、この中で手の平まで餌をもらいに来てくれるのはヤマガラのみです。なのでヤマガラは古来より日本で飼い鳥としても知られた存在でした。(現在は野鳥を飼うことは例外を除いて禁じられています)





「地元のヤマガラ 1、地元のヤマガラ 2」 クリックで拡大します。

地元のヤマガラ 1



「地元のヤマガラ 2」 クリックで拡大します。

地元のヤマガラ 2

神奈川県横浜市
2015/12/20
2022/01/01
1024×682 px
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011
150-600mm / F5.6-6.3
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR


 地元横浜の里山公園で撮ったヤマガラ。人との距離が近い場所で見るヤマガラは本当に愛嬌たっぷりで、可愛さにあふれています。
 



「雪の上のヤマガラ」 クリックで拡大します。

雪の上のヤマガラ

山梨県南都留郡
2022/02/12
1024×682 px
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR


 前日に雪が降った富士山周辺に「これチャンス」と鳥見に出かけました。雪をバックに色々な鳥が撮れましたが、一番可愛いく撮れたのはいつも身近で見ているヤマガラでした。
 



「福山のヤマガラ」 クリックで拡大します。

福山のヤマガラ


広島県福山市
2009/08/29
1024×682 px
Nikon D200 Mode A
Nikkor AiAF ED 300mm/F4s


 福山のホームグラウンドにはエゴノキが生えていました。夏から秋にはエゴノキが真ん丸な実をたくさん生らせます。その実をヤマガラが一つずつちぎって咥え、どこかに飛び去り、少しするとまた戻ってきて・・・を延々と繰り返すのですね。なんとも健気な姿を何度も観察しました。
 こちらの絵は鳥見を始めてまだ間もない昔の記録ですが、今もお気に入りな一枚です。
 



「ヤマガラ 若」 クリックで拡大します。

ヤマガラ 若


静岡県
2023/08/29
1024×682 px
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR


 偶然か、すぐ上の一枚と同じ8月29日の絵。ただし上の絵からは14年経っています。自分の記録を見ていると、結構そのようなことがあって面白いなと思います。データは積み重ねが大事なので、毎年同じ時期に観察をすることで何かしら見えてくるものがあると感じます。
 この絵は富士山周辺の水場で撮ったヤマガラの若です。このあと水浴びをしてずぶ濡れ姿になっていました。まだ色が薄く、口元も黄色みが残っていて、いかにも幼い顔がとても可愛いです。
 



「三宅島のオーストンヤマガラ」 クリックで拡大します。

三宅島のオーストンヤマガラ


東京都三宅島
2021/05/15
1024×682 px
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR


 三宅島は野鳥の宝庫として有名な島で、珍しい種の他にも特産亜種が数種類ほど観察できます。このヤマガラはオーストンヤマガラという伊豆諸島でしか見られない亜種で、EN=絶滅危惧種IB類という希少種に指定されています。本土のヤマガラより明らかに顔の色が濃いので、普通と違うことはすぐに分かります。
 私としては「いくら絶滅危惧種でもヤマガラの仲間だし、島にさえ上がれば簡単に見られるんじゃないの?」「先にアカコッコとか探していたらついでに見つかるでしょう」とか安易に構えていたら、結局一度しか出会いがありませんでした。。。いつもながらの反省です。しかも結構遠くからたまたま見つけた感じだったので、証拠写真しか持って帰ることができませんでした。次また島にいくことがあれば、今度はメインに格上げして観察したいと思います。
 



「ベンケイヤマガラ、ベンケイヤマガラの飛翔」 クリックで拡大します。

ベンケイヤマガラ



ベンケイヤマガラの飛翔


東京都
2023/12/23
1024×682 px
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR


 この一見してオーストンヤマガラに似た濃い色のヤマガラ風の小鳥、喉が黒くないのでオーストンヤマガラとは少し違います。調べてみると他の亜種でもなく、いわゆる色変異種なのだそうです。普通の姿より色が濃いパターンなのでアルビノーでもなく、でも国内でこれまでもたまに見られたことのある結構な変わり種なのだとか。
 観察の向きが暗がりの中の逆光だったので証拠写真レベルしか撮れませんでしたが、全体姿と飛翔姿の2枚を貼っておきます。
 





観察データ

場所と回数:広島県 42、岡山県 1、大阪市 1、静岡県 3、山梨県 12、神奈川県 14、東京都 3、埼玉県 2、新潟県 3、茨城県 1、北海道 1、計83回。中国地方から北海道までで見ています。私の場合、九州での鳥見は海辺と平地でしかできていないため記録がありませんが、たぶん普通に見られると思います。少し深くて暗い感じの森や林があれば都市部の公園でも見られます。逆にスカスカの木々しかない公園だとまず見られないといった感じでしょうか。

観察月と回数:
1月17 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
2月4  〇〇〇〇
3月7  〇〇〇〇〇〇〇
4月6  〇〇〇〇〇〇
5月10 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
6月1  〇
7月4  〇〇〇〇
8月5  〇〇〇〇〇
9月2  〇〇
10月10 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
11月6  〇〇〇〇〇〇
12月10 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
計83回
留鳥もしくは漂鳥です。6,7月の記録が比較的少ないのはたぶん繁殖期で忙しいためにあまり見られないのではと思います。ただ6,7月はいずれも少し涼しめの場所で見ているため、多少場所を移動しているような気もします。もう少し観察数を増やせばもっとはっきりしてくるのでしょうね。「またヤマガラかー!」とか思わずに、しっかりと観察を重ねようと思います。



 (トップ画像 ヤマガラ D200+300mmf/4.0 2010/10/02 広島県福山市)

 初出:2014/09
 改訂:2015/12
 改訂:2017/04/25 横浜で撮ったアップ画像を差し替え
 全面改訂:2023/12/29