アオサギ 蒼鷺
Aosagi
Ardea cinerea
Grey heron

アオサギ ペリカン目サギ科アオサギ属
 たいてい単独で立ちんぼしている
 大型で灰色のサギ

   

福山市近辺での観察について


アオサギについて、動画の紹介

 鳥の名前に「アオ」が使われる場合、日常の使い方とは少し違う用法・意味があります。まず「アオ○○」と呼ばれる鳥の場合の多くは「アオ」に漢字として「緑」が当てられ、色もまた緑=Greenを指します。鳥の名前で言えば「アオバト」は「緑鳩」、アオゲラは「緑啄木鳥」です。何故こんなことになるかと言うと、少しややこしい話になりますが、元々中国での「青」は日本で言う「青色」ではなく「緑色」を指す字なのだそうです。そういえば日本でも「青々と茂った草原」は「緑の草原」です。また青信号が実際は「緑」だったりします。ならそれ(アオ=緑)で通してもらうとまだ分かり易いのですが、「アオアシシギ」の場合は漢字も「青足鷸」と書くのに、実際の足の色は緑です。また「アオジ」も「青鵐」と書いて、実際の体色は緑色です。つまり「アオ○○」と言う名の鳥は漢字が「緑」であっても「青」であっても色は緑=Greenな訳です。では日本で普通指すところの「青=Blue」は漢字でどう書かれるの?と言う話ですが、そう、これは「瑠璃」が当てられているわけです。「オオルリ」「ルリビタキ」「コルリ」が日本的な色表現で言うところの「青い鳥=Blue Bird」となります。
 閉話休題。アオサギの話に戻りましょう。「アオサギ」の「アオ」は「緑」でもなく「青」でもなく「蒼」です。「蒼」の意味を辞書等で調べてみると「深い青」「つやの無いくすんだ青」として使われることが多いようです。実際のアオサギは確かに半分グレーで半分青というか紺色ですね。英名ではGrey=灰色です。
 アオサギは大型の水辺の鳥としては人にもっとも親しみのある鳥です。住宅地近辺の川や池、田んぼなど人に身近なところから、波が穏やかであれば海にもいますし、結構な山奥の渓流にもいます。人が近づくと早いうちに察して飛んで逃げますが、車に乗っていればすぐ真横を通り過ぎても逃げません。人の足元を見て動くというかちょっと小憎たらしいというか。。足元で泳いでいる魚を観察しつつ我慢して我慢して「とりゃぁ!」と魚を突くところなんかを見ても、実際とても賢い鳥なのだろうなと思います。ただ、顔を見ると少々悪人顔なように見えますね。。これは偏見かでしょうか。。。
 アオサギの動画を置いておきます。良くあることですが、いつでもどこでも好きなように撮れる鳥って、いざファイルを探して見てもろくなものが見つかりません。鳥見をしている中でアオサギが目に入ればもちろんレンズを向けているのですが、記録はピントがはずれていたり、バックが汚かったり散々です。出会いの少ない鳥のようなドキドキ感が無い=緊張感が無いのが一番良くないのでしょうね。

 左「アオサギの動画」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。


休憩中のアオサギ

 ヤマセミを探しに福山市の隣町府中市の清流に出かけてみました。結果、今回も空振り。でもカワセミはいましたので、きっとそのうちヤマセミも現れてくれるでしょう。それはさておき、川沿いを歩いていたらアオサギが川沿いのごろ石上に佇んでいました。「そういえばTamronA011ではアオサギを撮っていなかったなぁ」とレンズを向けてみると、絵にするにはまだ少し距離が遠かった。で、もう少し近づこうとしたら、早速察知されて逃げられた。。しかも今私がやって来た後ろの方向の木の上に逃げやがった。。。「別におまえなんか撮らんでも痛ぁも痒ぃも無いわ」とか強がりを言いながら、前を向いて鳥見を続けましたが、結局何も見つからず。。。しょぼしょぼとUターンして戻ってみると、さっきのアオサギが横を向いてまだ同じ木に止まっていました。「今がチャンス」とそおっと歩を進め、シャッターを切り始めると今度はやがてこっちとにらめっこになりました。しかし今回は高い位置にいるからか、やつも強気で逃げません。更にそおっと歩を進めパチリ、また少し進みパチリ。で、ここまで近づくことができました。「もうこれでええわ。今日のとこは許したる」と捨てぜりふを吐いて、三脚を肩に担いですぐ横を通り過ぎる時、やつもゆっくりと飛び去りました。今回は結構ドキドキ感があって楽しかった。絵も深みのある色が出ていて満足です。

 左「休憩中のアオサギ」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。


アオサギの飛翔 1

 アオサギは身体も大きくて跳ぶ姿も優雅です。特に大きな翼を広げて滑空する様は丁度パラグライダーの帆が風を受けて空に浮かんでいるかのようで、いかにも気持ち良さそうに見えます。トビやノスリなどの猛禽類が上昇気流に乗って空高く浮き上がっていくのも優雅ですが、アオサギの場合は低空でしかも直線飛行なのにとてもゆっくりと飛ぶところが一興ですね。だから着地する時の姿も大らかで優雅に見えます。

 左「アオサギの飛翔 1」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。


アオサギの飛翔 2

 もう一枚アオサギの飛翔絵を置いておきます。こちらは2017年12月に宮城の伊豆沼にマガンを観察に行ったときにたまたま飛んできたアオサギです。このサギは首を半分伸ばしているので、あまり本気の飛翔ではないですね。実際このあとの絵も残っていまして、すぐに木のてっぺんに止まりました。サギ類って長距離飛ぶときは首をしっかりたたんで飛びます。図鑑によるとそこがツルやコウノトリとの違いところとのことです。

 左「アオサギの飛翔 2」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。


観察データ


 トップ画像のアオサギも川の流れの真ん中にある石の上にいたからか、近い岸からレンズを向ける私を気にするそぶりも見せず、無防備に羽繕いを続けていました。まるで「どうせここまで来れんだろう。ざまぁ」とでも言うつぶやきが聞こえてきそうな感じでした。本当に小憎たらしいやつです。


観察データ

場所と回数:九州の海3、中国地方の淡水域26、中国地方の海13、近畿の淡水1、中部地方の淡水2、海4、関東の淡水 12、海 6、東北の淡水 2、海1、計70回。九州から東北まで海でも川でも池でもどこででも見られます。

観察月と回数:

1月5  〇〇〇〇〇
2月1  〇
3月4  〇〇〇〇
4月3  〇〇〇
5月3  〇〇〇
6月3  〇〇〇
7月4  〇〇〇〇
8月7  〇〇〇〇〇〇〇
9月8  〇〇〇〇〇〇〇〇
10月14 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
11月7  〇〇〇〇〇〇〇
12月11 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
都合70回

年中見られる鳥です。5月頃の写真を見ると、目先が緑色になっていて、足の色が赤っぽくなっているので、婚姻色であることがわかります。私はあまり意識したことがありませんでしたが、きれいなアオサギを撮るなら5月なのかもしれません。ただ写真によってはこの頃羽のボリュームが乏しくてみすぼらしい姿も見受けられます。私的には全体的に羽模様がきれいなのは晩秋から初冬のような気がします。ただ私自身「これだ!」といった絵が未だ残せていないので、説得力のあるお話はできませんね。残念。。



  (トップ画像 アオサギ 2007/12/29 D200 300mmF4 芦田川中流 府中市にて撮影)

 初出:2014/10/20
 改訂:2018/8/11 観察データの追加
 改訂:2020/10/12 観察データの更新
 改訂:2021/08/16 サギ科へのリンクを追加、観察データを更新