ヒレンジャク 緋連雀
Hirenjaku
Bombycilla japonica
Japanese Waxwing

ヒレンジャク スズメ目レンジャク科
 冬の終わりに姿を見せる
 美しい放浪の鳥

   

セッカの紹介



 厳しい冬もそろそろ終わろうとする頃、町に近い平地に赤い実を求めてやってくるのがこのレンジャクという小鳥です。全てが赤い実ばかりではありませんで、ヤドリギなどの実を好むのも有名ですが、町の街路樹として植えられたナナカマドやクロガネモチなんかの赤い実に集まってきて、食べつくしては次の場所に移る、みたいな行動をします。小さな木の実だけでなく、冬を越して残っていた柿なども見つけてはあっという間に平らげていきます。実がなくなれば、ウソなどのように、膨らみ始めた桜のつぼみなどもついばむようです。
 私のヒレンジャクの記録は3月ばかりで、毎年この時期になるとヤドリギや赤い実のある場所を重点的に探しに行きます。しかしレンジャクは毎年の飛来数に当たり外れがあって、年によってはほとんど見られないこともあり、安定した観察は難しい鳥です。また木の実を食べ尽くしては次の餌場に移動する放浪者であるので、飛来があってもタイミングが悪いと会えないことも度々です。
 レンジャクは日本ではヒレンジャクとキレンジャクの2種が見られます。日本で見られる割合としてはこのヒレンジャクが多いようですが、世界的な分布を見るとキレンジャクの方がずっと広くて、ヒレンジャクは名前に”Japanese”がつくように、日本と日本海を挟んだ大陸側の北東アジア近辺にしかおらず、世界的(IUCN)にはNT指定されています。(国内レッドブックではLC。キレンジャクはIUCN、国内共にLC)
   




「ヒレンジャク、キレンジャク」 クリックで拡大します。

ヒレンジャク、キレンジャク

広島県福山市
1024×682 px
2009/03/21
Nikon D200 Mode A
Nion AiAF ED 300mm/F4s


 2009年に福山市のホームグラウンドで出会ったレンジャクの群れを撮った一枚です。左上の一羽がヒレンジャク、真ん中と右下はキレンジャクです。
 ここでレンジャクを見たのは8年間でこの一度だけでした。以来14年間ヒレンジャクとの出会いは途切れます。
 



「ヒレンジャク」 クリックで拡大します。

ヒレンジャク

東京都江戸川区
1024×682 px
2023/03/13
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR


 14年ぶりに出会えたヒレンジャク。木のつぼみをついばんでいるようでした。
 尾羽先端の赤い部分が広めなので ♂ ではないかと思われます。
 



「ヒレンジャクの群れ」 クリックで拡大します。

ヒレンジャクの群れ

東京都江戸川区
1024×682 px
2023/03/13
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR


 上と同じ日の群れの様子です。およそ10羽前後で移動していました。もう少し探せばキレンジャクもいたようですが、私はヒレンジャクが見られたので、これで満足してしまい、これ以上探し歩くのは止めました。
 



「ヒレンジャクの飛翔」 クリックで拡大します。

ヒレンジャクの飛翔

東京都江戸川区
1024×682 px
2023/03/13
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR


 飛翔とは言うものの、いつものレンズ固定から飛び出しを撮るパターンです。
 




観察データ

場所と回数:福山市 1、岡山県井原市 1、東京都江戸川区 1、計3回。いずれも平地もしくは低山で見ています。これ以外でも福山市内で通勤時に柿の木に群がっているのを見たことがありますが、これは国道沿いでしたので、餌になる実さえあればどこにでも来る可能性があると思います。ただ、年により飛来数は不定なので、日頃ヤドリギや赤い実のなる木を探しておいて、過去飛来した時期に毎年こまめに見て回るのがよいと思います。

観察月と回数:
1月0
2月0
3月3 〇〇〇
4月0
5月0
6月0
7月0
8月0
9月0
10月0
11月0
12月0
計3回
冬鳥です。私はいずれも3月ばかりになっていますが、もう少し早いころから日本にはやって来ていて、餌を探しながら北(日本海側)からだんだんと南(太平洋・瀬戸内側)に下がってくるようなことを聞いています。

 (トップ画像 ヒレンジャク 2023/03/13 D500 500mm/F4.0 東京都江戸川区にて撮影)

 初出:2023/03/13