ゴジュウカラ 五十雀
Gojukara
Sitta europaea
Eurasian nuthatch

ゴジュウカラ スズメ目ゴジュウカラ科
 木の幹を歩き回る
 ブルーグレーの尖がった小鳥

   

南アルプス邑、長野県戸隠、北海道苫小牧での観察について


ゴジュウカラとの出会い、短い動画
 これからゴジュウカラを紹介するわけですが、よく似た名前の鳥としてシジュウカラがいます。シジュウカラは誰もが知る最も身近で小ぎれいな小鳥の代表格です。漢字で書けば四十雀。いつもジージーガラガラと鳴き続けることから始終鳴く小鳥(雀)としてシジュウカラと名づけられた説。他には美しさからくる価値がスズメ40羽分あるから四十雀と名づけられた、等、名前の由来には所説色々あります。一方、今回紹介するゴジュウカラ=五十雀。ゴジュウカラがシジュウカラのようにずっと鳴き続ける小鳥かというとそうではありません。。。もとい、五十は始終の洒落ではありませんでしたか。。。ではシジュウカラより更に美しくてスズメの五十倍の価値があるのかというと、私が見る限り両者の美しさは似たり寄ったりで、どちらかというと薄いグリーンの混じったシジュウカラの方が綺麗な気もします。結局のところ、ゴジュウカラは遠目にみてシジュウカラに似ていることと、シジュウカラより数が少なくて多少希少価値が感じられる程度の意味合いで適当に付けられた名前のようです。
 ゴジュウカラは名前の語尾に「カラ」が付きますし、カラ類の混群に混じることもありますが、そもそもカラ類の仲間ではありません。どちらかというとキバシリやミソサザイに近い分類となります。特徴として木の幹を自由自在に歩き回ることで有名です。特に木の幹に逆さに止まり、下に向かって降りていくのは、実はこのゴジュウカラしかできない動きなのだとか。確かにキツツキなどは下から上に上がって天辺に行きつけば、いったん隣の木の低い位置に飛び降りて下に戻る動きをしますし、コガラなどは多少羽ばたきながら木の幹を移動していきます。
 ゴジュウカラは低地ではあまり見かけない小鳥です。図鑑などをみると低地から亜高山で見られると書かれていますが、私は1,000mを越えるような高い山でしか出会ったことがありません。少なくとも福山近辺では見たことがありませんでしたし、横浜に来てからも宮ケ瀬や城山湖あたりの山では見たことがありません。だから私にとってゴジュウカラは結構貴重さを感じる小鳥であります。

 左サムネイルをクリックすると動画にリンクしています。


北海道の亜種シロハラゴジュウカラ

 ゴジュウカラは割と人の目が平気なようで、近くから観察し易い小鳥だと思います。標高が高いところによくある地域自治体の森林公園など、普段から人がたくさん行き来しているような場所では完全に人間慣れしていて、10m以内(うまく行けば5mくらい)の間近から観察できることも多いと感じます。
 図鑑によると、ゴジュウカラはサイズが14cmくらいとありますから、およそスズメサイズです。しかし尾羽が短いので全体的にずんぐりした体形で、長さ以上に大きく(立派に?)思えます。以前餌場で見たときには、コガラやヤマガラと喧嘩して負けなしでしたので、やはり体形的に勝っているのでしょう。また木に止まったとき、くちばしから尾羽の先まで背中側で一直線にする姿勢(ちょっとばかりツンと反り返ったイメージ)でいることが多いのが特徴です。他ではあまり見ない不思議な姿勢をとる小鳥です。私は長年このポーズをした良い絵が撮れませんで、結構モヤモヤしておりましたところ、北海道でやっと念願を叶えることができました。(ここに至るまで5年かかってしまいました)

 この絵のゴジュウカラは北海道に棲む亜種でシロハラゴジュウカラというそうです。確かにお腹全体が白いです。一枚下の山梨のものは、わき腹あたりがオレンジ色っぽいので違いがわかるかと思います。
 ちなみにこの個体は苫小牧周辺の森林公園で撮りました。距離は5m前後だったように思います。(ただハシブトガラなどはもっとフレンドリーで、マジでぶつかりそうになりました。。。)シロハラゴジュウカラは屈斜路湖周辺や音更町の公園でも撮っているので、本州に比べればかなり見つけやすいと思います。

 左「北海道の亜種シロハラゴジュウカラ」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。


山梨のゴジュウカラ

 こちらは山梨県甲州市で出会ったゴジュウカラです。標高1,400mほどの亜高山にある林道に赤い小鳥を探しにでかけました。しかし赤い鳥は出てこず、代わりに相手してくれたのがこのゴジュウカラくんでした。この日はまだ11月であったのに既に雪景色をしていて、とても寒い朝でした。しかしゴジュウカラはとても元気で、枝に積もった雪を蹴散らしてあちこちの枝を飛び回っていました。

 左「山梨のゴジュウカラ」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。



観察データ

場所と回数:南アルプス邑1(標高500m・・但し周囲に3,000m級の山あり)、戸隠植物園1(1,200m)、白樺峠3(1,600m)、野辺山1(1,500m)、柳沢峠2(1,500m)、嵯峨塩林道1(1,400m)、埼玉県民の森1(1,000m)、中禅寺湖1(1,200m)、北海道道東1、道南1、計13回。本州ではおよそ1,000m以上の標高に行けば会える確率は随分と上がると思います。上で挙げた以外でも、例えば上高地(1,500m)などカメラに記録できなかったものの声で確認できた場所があり、やはり会うには高いところに登るのが一番かと思います。なお、北海道では平地の林や公園でも普通にいるようでした。

観察月と回数:
1月1 〇
2月2 〇〇
3月1 〇
4月1 〇
5月4 〇〇〇〇
6月0
7月0
8月0
9月3 〇〇〇
10月0
11月1 〇
12月0

計13回

通年山にいる小鳥です。5月ごろは小さな体とは思えない、びっくりするような大きな声のさえずりが聞こえるので見つけやすくなります。





 (Top画像 逆さゴジュウカラ 2018/06/10 D500 500mm/F4 戸隠森林植物園周辺にて撮影)


 初出:2018/06/10
 改訂:2019/05/06 観察データ、静止画の追加、動画に鳴き声の場面を追加
 改訂:2020/1/1 観察データ、静止画の差し替え
 改訂:2021/4/15 文の見直し、観察データの更新
 改訂:2022/5/10 静止画の差し替え(亜種シロハラゴジュウカラ)、観察データの更新