キレンジャク 黄連雀
Kirenjaku
Bombycilla garrulus
Bohemian Waxwing

キレンジャク スズメ目レンジャク科
 花鳥風月の言葉が似合う
 雅な美しさを持つ中型の鳥

   

福山市、長野県野辺山周辺での観察


キレンジャクとの出会い、動画の紹介

 2009年3月21日、忘れもしない土曜日でした。長男の大学進学が未だ決まらず、明日の後期発表を待つにあたり、結果いかんでは最悪京都の予備校に入る準備をしにいかなければなりません。当時は福山に住んでいましたので、取りあえず土曜の午後から発表待ちの大学がある大阪に入って日曜の発表を待ち、もしもだめならそのまま京都の予備校へ、OKなら大阪で下宿先を探すこととなっていました。
 ばたばたしても仕方がないので、私は土曜の朝の出発前に時間を惜しんで近くのふれ愛ランドで鳥見。。。。するとこんな時には試練が訪れるものです。なんと長く待ち焦がれたレンジャクの群れが頭上で舞っているではありませんか。赤と黄が混じっていて、数は数十はいます。でも出発時間も差し迫ってきてゆっくり鳥を撮っている暇もなく、ささっと撮れるだけ撮って後ろ髪を引かれるままその場を去ることとなりました。
 幸い翌日には桜が咲いて、長男の進学先が決まり、下宿先も決めて帰路につくことができました。しかし翌週のふれ愛ランドにはもうレンジャクの姿はありません。合格を運んできてくれたお礼も言うことができませんでした。
 レンジャクは毎年の飛来数の変動が激しい鳥です。今年そこで見られたからといって、来年またそこで同じころに見られる保証は全く持ってありません。だから出会いを確実にものにしなければなりません。ある年など、岡山県井原市にあった会社の駐車場横でヒレンジャクが観察できるラッキーがありましたのに、翌日カメラを持って撮ろうと思ったら、急にインフルエンザにかかってしまい、チャンスを棒に振ってしまったことがあります。私にとってはなかなかチャンスをものにできない難しい鳥さんです。ちなみに英語名にある「ボヘミアン」ですが、「流浪の民」を意味します。確かにレンジャクの印象は、大好きな赤い実、例えばナナカマドであったり、カキの実であったりしますが、これら赤い実を探しては群がり、食べつくしては次の赤い実を探しにどこかへ飛び去って行く、というイメージがあります。3日同じところにいることが珍しい鳥さんです。(早い話赤い実大好きな食いしん坊さんなんですね)
 2018年2月、長野県の野辺山に向かいました。夕方のコミミズクを撮ろうと16時頃現地についたところ、辺りの雪が思ったより深くて、車は広い農場地域の入り口近くまでにしか入れませんでした。そこから雪の中を歩ける範囲で巡って、畑の周囲にある小藪を観察していますとツグミサイズの白っぽい鳥が飛んできました。レンズを覗いてみると、ラッキー!キレンジャクです。2羽いるのでご夫婦さんでしょうか。ただ藪の中、姿を追っても枝被りばかりです。それでも証拠となる動画を残すことができました。2009年から待つこと9年ぶりの再会です。今回はチャンスをものにできました。よかったよかった。でも息子のお礼を言うのを忘れていました。。次ヒレンジャクに出会ったら今度こそありがとうと言おう。

 動画を置いておきます。長野県の野辺山での記録です。雪は20cm以上は積もっていました。

 左「キレンジャクの動画 長野県野辺山周辺にて」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。


春のキレンジャク

 最初に書いたふれ愛ランドで撮った春のキレンジャクです。一番上のはヒレンジャクでその下の2羽がキレンジャクです。ヒレンジャクとキレンジャク、数ではヒレンジャクの方が多いそうです。そういう意味ではキレンジャクが見られたということはラッキーな部類に入るのかな。絵を見てもらえば分かると思いますが尾羽の先が黄色いのがキレンジャク、赤いのがヒレンジャクと見分けします。

 左「春のキレンジャク 福山市ふれ愛ランド周辺にて」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。


冬のキレンジャク

 2018年2月11日、泊まりの安曇野から長野県の善光寺にお参りして、上田城を回って夕方野辺山にやってきました。当日の野辺山は思ったより雪が深く残っていて、畑に交わる細い道は足跡もない新雪が20cm以上の深さでした。そこをぼそぼそと歩いて、畑周囲の小さな藪を見て回ります。上でコミミズクを探していたと書きましたが、入り口付近の周囲を見ると大型猛禽類が飛びそうな感じはありません。そんなもので次のお目当てはもう少し可能性の高いと思われるオオマシコでした。しかしヒワ類の姿もありません。見かけるのはツグミさんくらいです。数百m歩いてちょっと一息していますと、目の前の川筋に中型の鳥が飛んできました。またツグミかな?とレンズを覗いてみると、色が薄い。。しかも頭が尖がっています。レンジャクさんです。2羽います。尾羽は?とみると黄色いので久しぶりのキレンジャクですね。レンジャクは少し実をついばんではすぐに移動していきます。一方私は雪に足を取られて追いかけるのがやっと。。いつしか姿を見失い、車の方にとぼとぼと歩いて戻っていきますと、ラッキーなことに車近くの小藪に先ほどの2羽がいてくれました。枝被りばかりでしたが、奇跡的に一瞬だけ姿を見せてくれてパシャリ。幸せな一日となりました。

 左「キレンジャク 長野県野辺山周辺にて」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。


 (トップ画像 キレンジャク 2009/3/21 福山市ふれ愛ランド周辺にて撮影)

 初出:2018/02/12