オオヨシキリ 大葦切
Ooyoshikiri
Acrocephalus arundinaceus
Great reed warbler

オオヨシキリ スズメ目ヨシキリ科
 夏の葦原で ダミ声で歌う
少々暑苦しい(!?)小鳥

   



オオヨシキリについて

 GWを過ぎる頃、川原の土手に上がってみると川筋から「ギョシギョシゲレゲレ」とやたら大きなダミ声で鳴く鳥らしき声が聞こえます。「鳥らしき」と書くのは、これほどのダミ声で鳴く鳥は他にあまり記憶にないからで、知らない人にはカエルの鳴き声だと思われても仕方ないほど「変な声」をした鳥です。
 以前私はこのHP内でオオヨシキリのことをウグイスの仲間と紹介していました。確かに一昔前はウグイス科に入れられていたのですが、今は個別の科としてヨシキリ科に属しています。
 見た目は以前ウグイス科に一まとめにされていたムシクイやセンニュウなどと同じで、全体的に薄茶色なとても地味な色目をしています。薄茶色に大きな模様もなく、腹側は白っぽいのでこれといった特徴がありません。ただ、繁殖期はこれでもかというくらいに、頻繁にさえずるので判別するのはすごく簡単だと思います。またよく葦原のてっぺんまで出てきて鳴いたりするので、姿も見つけやすい鳥だと思います。





「オオヨシキリ さえずりの姿 1、2」 クリックで拡大します。

オオヨシキリ さえずりの姿 1


オオヨシキリ さえずりの姿 2

茨城県稲敷市
1024×682 px
2018/05/05
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3


 霞ヶ浦周辺の葦原で撮ったオオヨシキリです。一枚目は背中側が見える絵、2枚目は腹側が見える絵です。
 私は葦原の風景が好きで、初夏になれば必ず一度は霞ヶ浦~利根川の葦原に出かけるようにしています。この地は葦原のシンボルであるオオセッカとコジュリンの生息地で、両者の声もよく響いてくるのですが、それ以上に主張してくるのがこのオオヨシキリです。鳴くときはのどを膨らませて、首を伸び縮みさせながらダイナミックに歌います。また口の中が赤いので割と遠くからでもよく目立ちます。
 



「オオヨシキリ さえずりの姿 3」 クリックで拡大します。

オオヨシキリ さえずりの姿 3

岡山県笠岡市
1024×682 px
2015/06/14
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011
150-600mm / F5.6-6.3


 こちらは岡山県の笠岡干拓で撮ったオオヨシキリです。霞ヶ浦ほど深い芦原はありませんが、干拓地内に流れる川近辺のところどころに葦原や草原があるという感じの場所で録りました。
 季節がら、梅雨時期は鳥見に出る回数が減ります。雨後の山は足元が汚れますし、海は絵が灰色一色になったりして今一つテンションが上がりません。その点、緑に萌えた葦原や草原は水滴も飾りになって絵になり易く、この時期に一番お勧めな観察場所です。(トンボなどもこの時期が一番きれいな絵が撮れます)そして主役となるのは、このオオヨシキリとセッカの大小コンビでしょうか。どちらもさえずりが盛んなので見つけるのも容易く、観察に出かければきっと楽しい時間が過ごせるのではと思います。
 



「オオヨシキリ 飛翔」 クリックで拡大します。

オオヨシキリ 飛翔

茨城県稲敷市
1024×682 px
2018/05/05
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3


 オオヨシキリはホオジロより少し大きい感じの鳥です。しかし腹側はほぼ白で、背中側は無地の薄茶色のため、飛んでもほとんど目立ちません。飛ぶときもあまり高くは上がらず、近い距離を移動する感じです。




観察データ

場所と回数:広島県 4、岡山県 3、神奈川県 1、茨城県5、宮城県 1、計14回。葦原の小鳥です。神奈川でのカウントは、うちのすぐ近くにある遊水地での記録です。コロナで遠出できないときに、カメラをぶら下げて家の近所を散歩していたら、元気なダミ声が聞こえてきて気づくことができました。
 先に紹介している通り、観察場所は葦原が基本です。ただ福山では、家の近所の草っ原でも見ているので、そこそこ背竹の高い草っ原があれば見られる可能性はあると思います。また探すなら川の中流域より下流側がよいと思います。今のところ山深い場所で見たり声を聞いたりしたことはありません。

観察月と回数:
1月0
2月0
3月0
4月2 〇〇
5月7 〇〇〇〇〇〇〇
6月5 〇〇〇〇〇
7月0
8月0
9月0
10月0
11月0
12月0
計14回

 夏鳥です。特徴的な声は4月後半から6月くらいまで聞くことができます。一方、梅雨が明けてからはあまり声を聞いた記憶がありません。繁殖前に鳴いて、子育て中から以降はおとなしくなるのかなと思います。
 私の記録は4月28日~6月28日の間です。特に5~6月に集中しているので、オオヨシキリを観察するなら、この時期は逃せません。逆にこの時期に葦原に行きさえすれば、観察自体は容易な部類だと思います。

 
 (トップ画像 オオヨシキリ 2018/05/05 茨城県稲敷市)
 
 初出:2015/07/20
 改訂:2018/05/05 静止画を差し替え
 改訂:2018/05/10 飛翔絵を差し替え
 全面改訂:2024/03/04