センダイムシクイ 仙台虫喰
Sendaimushikui
Phylloscopus coronatus
Eastern crowned willow warbler

センダイムシクイ スズメ目ムシクイ科
  焼酎一杯グイーッ!
一度声を聞けば忘れられない
ウグイスによく似た姿の小鳥

   



センダイムシクイについて

 桜が散って新緑が萌え始めるころ、山の小鳥たちが合唱を始めます。すると、ウグイス、キビタキ、オオルリのような有名どころな美声派に混じって、「チョッチョ・ビー!」という少々濁り気味な声が聞こえてきます。これがここで紹介するセンダイムシクイの鳴き声です。昔の人はこの鳴き声を「焼酎一杯ぐいー!」と聞きなししたそうです。





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センダイムシクイ さえずりの姿

神奈川県清川村
1024×682 px
2016/05/05
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3


 地元神奈川でGWに撮ったセンダイムシクイです。さえずっていたので ♂ くんですね。
 福山でもセンダイムシクイの声は毎年初夏に聞いていましたが、当地ではウグイスが圧倒的でセンダイムシクイの声はそれほど多くは聞いていません。ちなみに春の福山はウグイスとホオジロのさえずりが圧倒的な地位を占めていました。一方神奈川など東日本ではセンダイムシクイの占める割合が結構多いように思えます。こちらの山ではウグイス、キビタキ、オオルリ、センダイムシクイが均等に頑張っているな、といった感じでしょうか。
 



「センダイムシクイ」 クリックで拡大します。

センダイムシクイ

北海道苫小牧市
1024×682 px
2022/05/05
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR


 センダイムシクイは雌雄同色です。さえずっているところから見つければ雄だとわかりますが、この個体は撮影時に鳴いていなかったため雌雄は不明です。
 センダイムシクイは同じムシクイ科の仲間でメボソムシクイやエゾムシクイと姿が似ています。違いを探すとすれば、メボソムシクイは眼の上の眉線が紐状に細く、エゾムシクイは身体の黄色みが乏しいあたりが特徴となります。ただその違いは微妙な差でしかありません。羽色は光加減で見え方も変わるため、実際のところ現場で見分けするのは難しく、一番簡単なのはやはり鳴き声による判断となります。他に富士山や長野のアルプスあたりですと、センダイムシクイは低山で、メボソムシクイは亜高山以上でと棲み分けがなされているので、観察地の標高がある程度の判断材料になると思います。

 撮影地である北海道のセンダイムシクイは、「チョッチョ・ビー」というさえずりの”締め”を鳴く前に発せられる「チヨチヨチヨチヨ」という振りが非常に長くて、ときには前振りのみで終わることもありました。本州のセンダイムシクイとはさえずり方が少し違ったという印象が残っています。小鳥もかように方言があるのはよく知られていますし、色んな地で普段見慣れた鳥を観察してみるのも面白いですね。(「またお前かよー!」とか、つい言いたくはなりますが。。)
 



「センダイムシクイ 水浴び」 クリックで拡大します。

センダイムシクイ 水浴び

山梨県
1024×682 px
2020/06/20
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR


 富士山周辺の水場で小鳥の水浴びを観察していたところ、センダイムシクイがやってきました。
 私は同じ水場では4/6の割合でセンダイムシクイを撮影しているので、水場でセンダイムシクイを見られる確率は結構高そうです。ただたくさんある富士山周辺の水場全てで数を読み直してみると、5/19回と出現率はかなり落ちることがわかりました。もしも水場でじっくりセンダイムシクイを観察したいという方がいらっしゃいましたら、当たり前ではありますが到着時に周囲で「チョッチョ・ビー!」という声が聞こえているか、を確認されるのがよいと思います。頻繁にさえずりが聞こえる場所であれば、高い確率でセンダイムシクイも水を浴びに現れてくれるだろうと思います。
 



「センダイムシクイ 飛翔」 クリックで拡大します。

センダイムシクイ 飛翔

北海道苫小牧市
1024×682 px
2022/05/05
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR


 当HPではよくありますが、「飛翔」というよりは「飛び出し」の絵ですね。
 ムシクイの仲間は皆オリーブ色をしていて、飛んだ姿も変わらず地味な印象です。




観察データ

場所と回数:広島県 4、神奈川県 2、長野 1、山梨・静岡の富士山周辺 5、北海道 2、計14回。山の小鳥です。街の公園では見たこと聞いたことがありません。ただし標高は低くても、多少山深い場所なら大抵見られると思います。
 普段は木の枝の奥でちょこまか動いているのでなかなか姿を捉えにくい小鳥です。鳴きながらも移動するのでウグイスみたいな感じですが、ウグイスは草藪にもいるのに対して、センダイムシクイは森の木専門みたいなイメージです。

観察月と回数:
1月0
2月0
3月0
4月2 〇〇
5月8 〇〇〇〇〇〇〇〇
6月2 〇〇
7月1 〇
8月1 〇
9月0
10月0
11月0
12月0
計14回

 夏鳥です。特徴的な声は4月から8月までずっと聞くことができます。もっとも、絵になるバックが欲しいなら新緑が美しい4~5月が一番よいと思います。自分の経験で言うとGWは特にお勧めですね。この頃はまた虫も多く湧く季節なので、動きもさえずりも活発で、一番見つけやすい時期でもあると思います。
 一方繁殖を終えて南に帰るのはムシクイ類の中で最も早いそうで、8月のうちには姿が見えなくなります。なので春夏にセンダイムシクイを観察していた低山で、秋になってから見たムシクイは、もはやセンダイムシクイではなく、遅れて山から降りてきたメボソムシクイの可能性が大です。忍法変わり身の術みたいな。。

 
 (トップ画像 センダイムシクイ 2009/05/05 広島県福山市)
 
 初出:2016/05/05
 改訂:2020/08/13 動画を更新、静止画を一枚追加、観察データを追加
 全面改訂:2024/02/25