チュウシャクシギ 中杓鷸
Chushakushigi
Numenius phaeopus
Whimbrel

チュウシャクシギ チドリ目シギ科
 下向きに湾曲した長い嘴が特徴的な中型のシギ

   

広島県福山市と佐賀県有明海での観察


チュウシャクシギについて、動画の紹介

 私が干潟の水鳥を観察し始めたのは、小鳥を見始めてから5年くらい経ってからでした。山にいるのが好きだったこともあって、水鳥にはまだあまり興味がわきませんでした。やがて鳥の多様な種も意識し始めるようになり、初めて福山市の干潟にシギチ観察に出かけたのは2013年のGW中のことでした。その日は今考えるととてもラッキーな一日でした。シギ・チドリとしては、ハマシギの数十(百?)の群れ、ダイゼンの小さな群れ、数羽のチュウシャクシギと一羽のキョウジョシギの4種多数なシギ・チドリに出会えたのです。  
 そしてこの中で最も目立っていたのが、弓のように長く曲がったクチバシを持つチュウシャクシギでありました。確かにシギと言えば「長いクチバシ」が代名詞です。それでもやはりこの長く曲がったクチバシを間近で見ると、「一体何の役に立つの?」と目が点になりました。同じシギでもキョウジョシギのクチバシは鳥としては普通の長さだし、ハマシギは多少長くて少しだけ下に曲がったくちばしを持っています。この日は見られませんでしたが、ソリハシシギなどは反対に上向きに反っています。オオハシシギなどは超長くてまっすぐです。たぶん干潟でエサを捕るといっても、水中専門だったり、泥の中でも浅かったり深かったり、エサ自体もゴカイ好き、ハゼ好き、カニ好き、貝好き等、色々微妙に食の好みが違うのでしょうね。ちなみにチュウシャクシギはあまり深くまで差し込みませんでしたが、穴に潜むカニやアナシャコ類を捕っていたように思います。穴の入り口付近にいるエサから自分の姿を見られないように、真上からでなく少し手前から一気に穴に「ズコ!」っと行く感じなのでしょうか。  
 私、自身のメルアドに"sakanaya"とあるように、昔は釣り専門の人間だったので、この福山・尾道周辺の干潟はエサ堀り目的で一通り耕した経験があります。結構多いのがアナシャコとパチンエビ、あとハゼとイソガニでしょうか。ゴカイ類も紐みたいのが多くいます。場所を見つければイワイソメやユムシも調達できますし、ごく稀にタイムシというオレンジ色で1mくらいある超巨大なゴカイ(イソメ)類も出てきます。このタイムシ、タイ釣りでは特効薬みたいなエサなのですが、品薄で高価なためエサ代払うより魚屋さんでさっさとタイを買って来る方がずっと安かったりします。鵜飼でアユ採りならぬ鷸飼でタイムシ採りなんてできればいい商売になるかも。。。

 左「チュウシャクシギ 福山市 干潟の動画」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。


カニ食いチュウシャクシギ

 チュウシャクシギの絵を置いておきます。この日は福山市の干潟にて長時間一羽を追いかけることができました。エサにしていたのは絵の通り主にカニさんです。動画も撮りながらずっと眺めていたのですが、小さいカニなら彼らの足元にたくさんいたように見えたのに、捕るのは大きなカニばかりに見えました(欲張りさん?)。それだけエサが豊富ということなのでしょうか。また、カニを飲み込む前に何度もクチバシの先で挟みなおしたり、落として拾いなおしたりしていましたので、たぶん手足を取って胴だけにして飲み込んでいたのだと思います。ホウロクシギも同じことをしていたような記憶があります。

 左「カニ食いチュウシャクシギ 福山市にて」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。


チュウシャクシギの群れ

 初めてチュウシャクシギを見てから丁度2年後のGWのこと、同じ場所でチュウシャクシギの10数羽の群れを見つけました。ここに写っているのは15羽ですが、あとから参加があったのでもう少しいたと思います。過去の飛来は多くても数羽レベルでしたので、今年はたくさん来てくれてとても嬉しく感じました。一緒にキアシシギとソリハシシギが飛んできましたが、チュウシャクシギとは少し離れて集まっていました。仲が良いような悪いような。。。
 この頃はズームレンズ(Tamron A011)を使っていたので、今回ように少し広角目で撮りたいときは便利ですね。Exif情報を見ると210mmで撮ったと記録されていました。カメラがAPS-C 1/1.5倍の撮像素子なのでフルサイズ換算330mm程度の画角となります。私は所持していませんがフルサイズのデジカメにサンヨンを付けるとこんな感じになるのか。。。同じサンヨンでも逆にV1とか小さい撮像素子で画角インフレーションに慣れてしまっているので、この程度の望遠効果だとやっぱりやや寂しく感じますね。どのみち対象物が小さくて周囲は不要なことが多いため、この絵を撮った頃は望遠端600mm換算900mmor2倍クロップで換算1200mmで使うことが多かったです。最近は飛ぶ鳥を追いかけることが増えて、画面からはみ出しにくくするためにクロップは使わないようにしています。ちなみにこのレンズ、噂では400mmくらいのレンズ設定が一番きれいに写ると聞いています。鳥を追いかけていると咄嗟の場面が多いため、なかなか使うレンジではないですが。。。

 左「チュウシャクシギの群れ 松永湾周辺にて」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。


チュウシャクシギの飛翔

 最後の絵は、飛翔絵です。私は横浜に引っ越してからは毎年GWに一日取って霞ヶ浦と九十九里浜を回るようにしています。そこで出会える夏の葦原の鳥と、水辺のシギチドリ、夏カモメ(アジサシ類)が豊富で行くたびに新たな発見があるからです。九十九里浜では毎年コアジサシとミユビシギを見ています。今年はそれに加え、キョウジョシギとチュウシャクシギを見つけました。キョウジョシギは2羽。チュウシャクシギは6羽くらいでしたか。チュウシャクシギは時折沖に向けて群れで飛んではまた浜に帰ることを繰り返していました。ちなみにこの日初めてD500のオートエリア+AF開始という機能をカメラ背中のファンクションボタンに設定して飛ぶ鳥に向けてみたところ、めっちゃ楽。。。ただし群れで飛んでいるときなどはどれにフォーカスが当たるかカメラ任せになります。でも「フォーカス当てる暇なく抜けた!」みたいな確率は少なかったです。その分自分の技量は上がらないのでちょっと悩むところではありますが、便利な世の中になったもんですね。「買ってから2年たって気づくなよ!」ってツッコミ入れないように。。

 カモメやタカ類などより足が長いので、飛ぶときは足が羽毛に隠れず尾羽のあたりまで伸びていますね。つま先までピンと伸びて飛ぶ姿がきれいです。左「チュウシャクシギの飛翔 千葉県匝瑳市九十九里浜にて」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。



観察データ

場所と回数:佐賀県有明海 2、広島瀬戸内海 6、神奈川相模湾 1、千葉東京湾 1、千葉九十九里浜 1、千葉の田んぼ 2、計13回。干潟だけでなく、磯や大きな川沿いの田んぼなどでも見られます。

観察月と回数:
1月0
2月0
3月0
4月4  〇〇〇〇
5月5  〇〇〇〇〇
6月0
7月0
8月2  〇〇
9月2  〇〇
10月0
11月0
12月0
都合13回

 旅鳥です。春と晩夏に見ています。具体的には4月22日~5月10日までと8月13日~9月7日の間と、それぞれ1月足らずの限られた季節に観察記録が集まっています。




  (トップ画像 チュウシャクシギ 2014/08/13 D200 150-600mm F5.6-6.3 佐賀県有明海にて撮影)

 初出:2014/09
 改訂:2015/05/10 絵を変更
 改訂:2018/05/05 飛翔絵を差し替え
改訂:2021/09/12 シギ科へのリンクを追加。観察データの追加