アオアシシギ 青足鷸
Aoashishigi
Tringa nebularia
Greenshank

アオアシシギ チドリ目シギ科クサシギ属
 典型的なシギらしい体型をしたシギ

   

アオアシシギについて



 アオアシシギはスマートな体形をした中型サイズのシギです。名前の由来は足の色が「あおい」ことを指していますが、この「あお」はBlueの青ではなくGreenの緑(あお)を指します。古来では草の緑のことをあおと表現していました。昔は青も緑もあまり区別されていなかったようで、「あおあおと茂った草原」のような言葉は当時の名残りかと思います。この表現は鳥の命名ではよくあることで、アオゲラやアオバト、アオジなんかも同じですね。ちなみにアオサギの「あお」だけは「蒼」の字があてられます。こちらは青味のあるグレーを指しています。
 アオアシシギは穏やかな水辺が好みだと感じます。瀬戸内地方では海や汽水で見られるシギとしてはもっともポピュラーな部類に入っていました。関東でも東京湾の湾岸にある公園などで見かけています。一方、九十九里浜のような外海では見たことがありません。
 一つ話題を。これは私の七不思議のひとつでもありますが、シギチが数多く現れることで有名な東京湾の船橋三番瀬干潟で、私はこのアオアシシギを見たことがありません。例えば九州有明の大きな大きな東よか干潟や福山市の小さな干潟では、飛来時期こそズレはあっても、アオアシシギ、ハマシギ、キアシシギ、ソリハシシギなどを同じ浜で見ていました。ところが東京湾の三番瀬においてのみ、他は皆いるのにアオアシシギだけとんと見ないのです。そもそも三番瀬からごく近い場所では見ているので、アオアシシギもシギチでにぎわう三番瀬に気づかないわけないはず。おそらくアオアシシギにとっては、三番瀬の環境が何かしら好みではないのでしょうね。一度本人に「何が気に入らないの?」と聞いてみたい気がします。






「アオアシシギ 冬羽」 クリックで拡大します。

アオアシシギ 冬羽

岡山県笠岡市
1024×682 px
2014/09/21
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3


 雪の降った翌日の朝、川も冷たいと思うのに平気に佇むアオアシシギがいました。冬の早朝なので陽が浅く、柔らかい逆光がアオアシシギを浮かび上がらせてくれました。
 



「アオアシシギ 幼鳥」 クリックで拡大します。

アオアシシギ 幼鳥

広島県福山市
1024×682 px
2015/08/26
2014/09/21
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3


 どちらも雨覆いが茶色くて模様も平坦なため、幼鳥だと思われます。ここから第一回の冬羽になって、大人っぽくなるのでしょうか。
 



「アオアシシギ 冬羽の群れ」 クリックで拡大します。

アオアシシギ 冬羽の群れ

岡山県笠岡市
1024×682 px
2015/09/21
 Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3


 2015年9月21日は私が福山を去って横浜に移り住む直前の記録です。当時は「ここで鳥見するのももうこれが最後かな」と傷心に浸っていた記憶があります。
 この日の群れは18羽を数えることができました。それまでは片手で足りるほどの小群れしか見たことがなかったので、ちょっと驚いた記憶があります。
 



「アオアシシギ 夏羽の群れ」 クリックで拡大します。

アオアシシギ 冬羽の群れ

岡山県笠岡市
1024×682 px
2022/08/21
 Nikon D500 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3


 2020年から年に何度か仕事で福山方面に出張しています。このときの出張は半月以上の滞在となったため、現地の足が欲しくて横浜からバイクで出かけておきました。作戦が実って7年ぶりに笠岡でアオアシシギを観察することができました。群れをよく見ると親と幼鳥が混じっているようですね。
 



「アオアシシギ 飛翔」 クリックで拡大します。

アオアシシギ 飛翔

岡山県笠岡市
1024×682 px
2022/08/21
 Nikon D500 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3


 アオアシシギは飛ぶと腰から尾羽にかけてが真っ白でとてもきれいです。この日はアオアシシギ以外にもイソシギやイカルチドリがおり、たくさんのツクシガモも見られたのでとても満足な一日となりました。
 




観察データ

場所と回数:佐賀県 有明海 1、瀬戸内の干潟や汽水の水辺 11、鳥取県 米子水鳥公園 1、東京湾岸の公園の池 1、計14回。九州から関東まで干潟や海辺近くの池などで見ています。数的には西日本の方が多いように思います。関東では群れを見たことがありません。

観察月と回数:
1月2 〇〇
2月0
3月1 〇
4月0
5月2 〇〇
6月0
7月0
8月3 〇〇〇
9月2 〇〇
10月1 〇
11月2 〇〇
12月1 〇
計14回
旅鳥もしくは冬鳥です。西日本では6,7月を覗いては夏から春までぽつぽつと見かけていました。ただ同じ場所にずっといるのではなく、行く度にいたりいなかったりと移動していたようです。関東では観察数が少なくて、今のところ12月の一回のみです。



(トップ画像 アオアシシギ 2014/05/03 D200 Tamron 150-600mm 米子水鳥公園)
 ここも海のすぐそばにある汽水の池だったと思います。アオアシ観察はそういう場所が狙い目な印象です。

 初出:2014/09
 改訂:2015/09/23
 改訂:2018/08/08 観察データを追加
 全面改訂:2024/03/28 全面書き直し