ホオジロガモ 頬白鴨
Hohjirogamo
Bucephala clangula
Common Goldeneye

ホオジロガモ カモ目カモ科 
 頬っぺたに白いお餅が付いたような
 中型の潜水ガモ
 

   

琵琶湖周辺での観察について


ホオジロガモの動画

 2017年12月末、大阪へ年末の墓参りにでかけたとき、せっかくなので帰りに琵琶湖湖北水鳥公園に寄って帰ることとしました。水鳥公園があるくらいなので、近辺では野鳥観察が盛んです。ことに有名なのはオオワシと白鳥。また他にヒシクイやマガンなどレア且つ大型の水鳥たちもいます。これら少数の種に、多数を占めるカモ類も絡めて、多彩な観察ができればと思い、朝早めから車を走らせ、琵琶湖の東北岸に立ち寄りました。
 大阪からの道中は、目的地少し手前の彦根で高速を降り、琵琶湖の岸辺に沿った県道2号で琵琶湖東岸を北上するコースです。途中の岸辺を観察しつつ、8時過ぎには湖北水鳥公園に到着。そこでまずは湖に浮かぶ水鳥を一通り観察してから、一旦、最大の目的であるオオワシ観察のために近くの山手に移動。無事オオワシを見つけますが、そのオオワシはいくら待っても飛んでくれず、だんだん欲求不満となっていきます。
 30分も我慢したものの、観察継続はリスクが高いとここを去ることに決断しました。とりあえずもう一度湖畔に戻って、先程ちらっと姿を見たカワアイサを観察(キープ)することとしました。情報によると運が良ければトモエガモも見られるかも!そうやって湖を観察していると、少し沖に浮かぶ白黒のはっきりとしたカモを発見。カワアイサでもありません。。。レンズ越しに覗いたところ、頬におおきな白丸があります。初見のカモのようです。これがホオジロガモとの最初の出会いでした。
 福山時代も近くの海辺にはよく出かけ、色々と観察はしていましたが、当時はホオジロガモを見る機会はありませんでした。この紹介文を書いている2020年1月、ネット検索をしてみると、今となれば広島市や福山市でもホオジロガモは観察対象のようです。私がいた2015年まではまず噂話くらいしか聞かなかったので、この5年間で飛来事情が変わったのかもしれません。
 さて、2017年からは我が家の次男が大津市で働き始めており、2019年にはそちらで結婚する運びとなったため、2018年末は挨拶やら準備やらで大津へ出かけることが何度かありました。一気に琵琶湖との関係が深まります。その度に琵琶湖周りで鳥見をしたところ、この周辺では割とどこででもホオジロガモが見られることがわかってきました。

 動画を紹介します。最初は琵琶湖湖北のもので♂、次に瀬田洗堰近くの瀬田川で飛んでいるのは3羽目まで皆 ♀。最初に飛んだ ♀ が着水してから首を後ろに曲げてから上にきゅっと伸ばすしぐさをしています。これは求愛行動とのこと。♂ は同じような動きをした後、ウミアイサみたいに「ザザザ!」っと突進するディスプレイをします。(といいつつ動画は撮れませんでしたごめんなさい。下にショボい静止画を紹介しています。)一瞬で分かりにくいですが4番目に飛ぶのが ♂ です。

瀬田側は流れがかなり急で、ホオジロガモ達は川に浮かんでいるとすぐに下流に流され、仲間と離れるとまた上流に飛んで戻る、ということを繰り返していました。「大変だなあ」とか思いつつ、よく見ると川の中ほどに淀みがあって、そこでは皆が休憩できていたようです。湖北や宮城で見たホオジロガモは皆単体に近い少数でしたが、瀬田川では10羽を超える小群が見えました。

 左「ホオジロガモの動画」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。


ホオジロガモ ♂

 2018年12月15日に琵琶湖湖北水鳥公園で撮った絵です。オスは名前の通り頬っぺたに大きな白丸があります。とてもかわいい感じです。喉から上は金属光沢のある黒で目は金色。羽模様は白黒コントラストがはっきりしていてきれいです。身体の背中側は黒色が主で、首から腹側は白色だけれど、遠目に見ると白色がよく目立って、明るい印象が強い水鳥です。
 潜水系のカモなので、カメラを向けたら水中に潜ってちょっと遠くにポコッと現れる憎いやつ。当日はお天気がもう一つで、絵もぱっとしません。距離も結構あったので証拠写真に毛が生えた程度ですがお許しを。

 左「ホオジロガモ ♂」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。


ホオジロガモ ♂ のディスプレイ

 2018年12月29日に琵琶湖から流れる瀬田川の洗堰あたりで撮った絵です。宿の近く、朝8時に近くで散歩がてら鳥見に出かけ、V1に300mmZoomをつけて手持ち撮影で撮った記録です。日が浅く、V1のため絵も少々荒く、しかもバリバリに枝被りでまともな絵ではありません。ただ ♂ 2羽の求愛ディスプレイ競争が写っていたので、参考記録として置いておくことにしました。
 オジロガモは
1.首を後ろ側に折って、
2.天に向かって首をピン!と伸ばし、
3.バタ足のようにバシャバシャ!と波しぶきを上げながら前方にダッシュ!!
という求愛ディスプレイをします。
 ♀ の周りはで多数の ♂ が競うようにディスプレイを続けます。ちなみにバシャバシャこそしませんが、♀ も首を上にきゅっと伸ばしたりしているので、これは「気に入ったよ(ハート)」的な合図なのでしょうか。ちなみに芦田川の河口で見たウミアイサなどもよく似た求愛ディスプレイをしていました。求愛というよりお相撲さんの仕切りというか、ラグビー選手のルーティンというか、まぁ意味がありそうでなさそうな。。。どちらも真冬の時期に見ていますので、恋の成就である巣作りの時期よりはかなり早い時期の求婚ですね。カモたちのカップリングは繁殖場所に戻るよりずっと早くから行われているようです。渡りの時によく離れ離れにならないものだと感心します。

 左「ホオジロガモ ♂ のディスプレイ」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。サイズはちょっと小さく640×426です


ホオジロガモ ♀

 ホオジロガモの ♀ は頬っぺたの白丸はありません。喉から上は濃い茶色で、背中は薄めの灰茶系です。喉のみやや白く首輪のように見えます。姿は同じ潜水系のスズガモ、キンクロ系とはかなり違い、アイサ系とも違います。どちらかというと色目はアイサの ♀ 系な気がしますが、後ろ頭がのっぺりしていて地味です。遠目で見ても白い首輪が目立つので、見分けは割と簡単です。

 左「ホオジロガモ ♀」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。


ホオジロガモ ♀ 飛翔

 ホオジロガモは ♂ も ♀ も翼の付け根に近いあたりに大きな白色分があり、飛ぶととてもめだちます。左の絵は元がちょっとショボい絵なためここではサムネールだけの紹介です。ちなみにこの個体は白色分が一つにみえるため、まだ若い1年目の ♀ のようです。成熟すると白色部に黒い仕切りができて3つに分かれて見えるのだそうな。


 左「ホオジロガモ ♀ 飛翔」はサムネイルのみです。拡大写真はありません



観察データ

場所と回数:滋賀県琵琶湖 2、滋賀県の川 2、栃木県の湖 1、宮城県の湾内 2、計7回。池や内湾のように穏やかなところが好きなのかと思っていましたが、瀬田川のように流れが速い荒い水のところにもいます。しかし経験的にはどこででも見られるわけでなく、越冬地は割と局地的な気がします。

観察月と回数:

1月0
2月1 〇
3月0
4月0
5月0
6月0
7月0
8月0
9月0
10月0
11月0
12月6 〇〇〇〇〇〇〇
計7回

観察が12月に固まっているのは、年末にホオジロガモが見られる場所に行くことがたまたま多かったただけだと思います。実際は11月頃から3月位まで見られるようです。



 (トップ画像 ホオジロガモの羽ばたき 2018/12/15 D500 500mm/F4 + 1.4xテレコン 滋賀県長浜市にて撮影)

 初出:2020/1/31
 改訂:文章の校正 2020/10/1
改訂:2021/08/11 カモ科(潜水採餌型種)へのリンクを追加、観察データを更新