コチドリ 小千鳥
Kochidori
Charadrius dubius
Little ringed plover

コチドリ チドリ目チドリ科
自宅裏の田んぼにも現れる
 日本で一番小柄なチドリ

   

福山市自宅周辺の田んぼと、笠岡市での観察


コチドリとの出会い、動画の紹介
 福山市近辺の干潟でよく見られるチドリ類と言えば、ダイゼンとシロチドリが代表格です。一方このコチドリは干潟から少し内陸に入った河原や田んぼで、主に春頃、その姿をよく見かけます。私が最初にコチドリを見つけた場所は、自宅すぐ近くの田んぼでした。春雨の降るとある早朝、車で出社の際に自宅近くの冬休み中の田んぼの水溜りでちょこまか動く小鳥をちらりと見かけました。その日一日気になって、「では正体を確かめよう」と翌日早速カメラを持って車を田んぼに横付けし、窓からささっと撮って記録しておきました。ただ急いでいたこともありファインダーからぱっと見ただけで「シロチ(ドリ)だったのね。。」と早とちりして出社することとなりました。おかげでその日はちょっとがっかり感で一杯の一日となりました。
 ところが家に帰って「念のため」と今一度画像をよく見直すと、その姿はどうもシロチドリではありません。図鑑とにらめっこして初見のコチドリであったことがわかりました。そこで翌日はもう少しまじめに撮ろうと、もっと朝早く家を出て、三脚も出してしっかり姿を記録しました。動画前半の田んぼ(といってもクワイの田んぼですが)の絵はこの時の動画です。後半はその後、笠岡市の干拓地で見かけた時の動画です。動画中ほどで、足先を震わせながら足元の虫を追い出して捕る様子が覗えます。サギ類がよく見せる追い出し戦法ですが、サギとチドリはやはり同じ水鳥で、どこかで血が繋がっているのでしょうか。

 左「コチドリの動画 自宅周辺、笠岡市にて」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。


コチドリ 夏羽

 田植えの季節に家の近所でコチドリを見つけました。頭上にはツバメが飛び交い、横ではカルガモが泥をほじっています。前から「コチドリの鳴き声ってどこかで聞いたことがあるよな」と思っていたのですが、今日小群れが鳴き合う声を聞いて、「ヒグラシの鳴き声に似ているんだ」と思い出しました。
 私、今までコチドリは春の鳥だと思っていたので、この日コチドリを見つけたことで「結構遅くまで身近にいるんだな」と驚かされたのですが、実際は夏鳥であって繁殖もこの地で行い、秋までは日本にいるようです。ただうちの近所では田植えが終わって稲穂が伸び始めるとコチドリが走り回る場所はなくなります。そんなもので春の鳥だと思っていたのですが、実際は海辺か河原にでも移動しているだけなのでしょうね。また探してみよう。  
 左「コチドリ 夏羽 福山市自宅周辺にて」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。


コチドリ 笠岡市にて

 こちらは笠岡干拓での記録です。河原にいると身体が保護色になっているので、結構近くに寄るまで存在に気付かず、いきなり飛んで逃げられるということが度々ありました。声が特徴的なので、近くで鳥が「ピャーピャー」鳴いているのを聞いたなら、河原に近づく前に何かしら影に隠れて付近を覗き見してみましょう。「ピャーピャー」という鳴き声はコチドリがどこかから飛んできた合図です。もし彼らが付近にいるなら、しばらく根気良く眺めてさえいれば、きっと視野の中でこそこそっと動いてくれるはずです。かくれんぼとだるまさんがころんだを合わせたようなものですね。

 左「コチドリ 笠岡市にて」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。



観察データ

場所と回数:広島県福山市 6、岡山県笠岡市 3、東京湾の干潟 2、計11回。干潟で見ています。日本では見かける数も少なく、結構レアな部類のチドリです。

観察月と回数:
1月0
2月0
3月6 〇〇〇〇〇〇
4月3 〇〇〇
5月2 〇〇
6月0
7月0
8月0
9月0
10月0
11月0
12月0
都合11回

数の少ない旅鳥です。初夏から晩夏の頃、気長に干潟に通うしかないかなと思います。



 初めての出会いがあった日まで、まさか自宅から徒歩2分の距離で、少ないとは言えチドリの群れが観察できるとは思いもよりませんでした。我が家は想像以上に豊かな自然に囲まれているのだと改めて感謝した次第です。
(トップ画像 コチドリ 2014/03/27 自宅周辺にて撮影)

 初出:2014/09
 改訂:2015/05/31
 改訂:2021/09/05 チドリ科へのリンクを追加、観察データを追加