ダイゼン 大膳
Daizen
Pluvialis squatarola
Black-bellied plover

ダイゼン チドリ目チドリ科
 夏は顔から腹にかけて黒に染まる干潟最大級のチドリ

   

福山市瀬戸内海、佐賀県有明海、千葉県東京湾での観察


ダイゼンのこと、動画の紹介

 ダイゼンは干潟で見られるチドリの中では最も大きな種です。 全長は30cm近く、よく一緒にみかけるハマシギやイソシギ、ソリハシシギなどより全長で1.5倍、シロチドリなどと比べると倍近い差があります。(見た目・・体積で言えば倍以上です) ところで「ダイゼン」とはよく考えると「一体どこから出てきたの?」という聞きなれない名前ですが、元々は食膳に供されていたからとの話しがあるそうです。 またその頃は「ダイゼンシギ」とシギの仲間として扱われていたそうです。

 ***ここで豆知識です。***

豆 1 餌の捕り方
   目で餌を追うのがチドリ
   クチバシの触感で餌を探すのがシギ

 以上から餌捕りの際、鳥と鳥の間が狭いのがシギ、広いのがチドリという傾向があるそうです。チドリの方が獲物目掛けて走り回る訳ですね。

豆 2 足で首を掻く際
   羽を下げ、羽を跨ぎ上げて足を伸ばし首を掻くのがチドリ
   羽の下から普通に足を伸ばし首を掻くのがシギ

 このことを知らされてから自分で撮った動画を見てみると、確かにダイゼンもシロチドリも羽の上に足を上げて首をカキカキしていました。
左メニュー一番上の「ダイゼン 干潟の動画」15秒あたりで首をカキカキしているところが出るので見てやってください。
私は「この違いを初めて見つけた観察者は偉い!」と思いました。

  ***豆知識終わり***

  ダイゼンは夏と冬で見た目が全く変わります。 特に夏羽は特徴的で、目から頬の下、首、胸から腰までが真っ黒な羽毛で覆われます。 干潟でじっとしていても目立ちますが、Top画像のように飛ぶ姿を見上げると、尾は白くそれ以外の体と腋羽までが黒いのでこれまた一目でわかります。 一方冬羽は薄茶色の頭や背中に白い腹と、ごく普通のチドリ風な姿となります。 それでもチドリでこのサイズは他にはおらず、まず見間違えることはありません。

 左「ダイゼン 干潟の動画」をご覧ください。


ダイゼン冬羽の小群

  福山市では瀬戸内海の干潟で普通に見ることができます。関東では千葉県の東京湾の干潟で普通に見られます。 私は真夏のくそ暑い時期に海辺へ撮影に出るのが苦手なもので、果たして年中見られるのかは今のところ経験がなく不明です。一応、過去6月に夏羽でいたのはしっかり確認しています。 福山では冬になっての12月や、年が明けてから撮った記録もありますので、おそらくここで越冬しているのだろうと思います。
 有明海を除き、私が見るダイゼンは大抵数羽から十羽程度の小群れです。 またハマシギと一緒に見ることが多いように思います。 観察は岸辺が現れ始めた満潮からの下げ始めか、逆に寄せる波に浜が沈む寸前、満潮前が鳥の姿を陸から近い位置で観察できてお得だと思います。

 左「ダイゼン冬羽の小群 福山市にて」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。


ダイゼン冬羽

 こちらは千葉県東京湾の干潟で撮ったダイゼンの冬羽です。三番瀬では10月くらいで早くもダイゼンを見られます。この頃はまだ夏羽からの生え替わり途中で、顔から胸のあたりに黒っぽいまだら模様が残っています。11月で風も冷たくなり始めると喉周りも白っぽくなって完全に冬支度が終わるようです。冬羽の頃は寒さから身を守るためかいつも丸く膨らんでいて、太って見えます。身体の大きなダイゼンでもなんとなく可愛げに見えます。

 左「ダイゼン 冬羽 千葉県東京湾にて」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。



ダイゼン夏羽、飛翔絵

 2014年のお盆、佐賀県の有明海北部にある大大きな干潟公園へ立ち寄ることができました。 今回メインは嫁さんと二人で水入らずの長崎縦断旅行でしたので、ここにはあくまで「 つ い で 」の立ち寄りです。そんなもので時間はあまり取れません。満潮過ぎに時間が合ったのはきっと偶然です。。。

 私は不勉強でこの旅行前まではこの干潟の存在を知りませんでした。ところが調べるうちこのあたりは有明海の中で、というより日本中で最も有名な水鳥のメッカだということがわかりました。 本州住まいの私としてはこのような場所へ足を運べる機会はまず滅多とないので、もう暑いだ寒いだの文句を言っている場合ではありません。 当日はそれこそ「熱射病で倒れるんじゃないの?」というくらいに真夏の陽射しが照りつける猛暑の中での撮影でした。それでも滅多にない機会なので、暑さでふらふらになりながらも小一時間堤防の上で粘ってカメラと格闘しました。
 実際そこに立ってみると驚くような光景の連続です。真夏のこの時期なのに、ざっと百羽はいるかというダイゼンの群れが、当たり一面を飛び回っています。 中には冬羽っぽい姿のダイゼンも混じっています。もしかすると若鳥だったのでしょうか。 無数の水鳥と水辺の景色を見ながら久しぶりにワクワク感で胸が一杯となりました。ただ残念ながら身体もカメラレンズも暑さにやられてしまい、撮影にも余裕がなくなって、たくさん撮った割にはあまり良い絵は残せませんでした。まだまだ修行が足りません。

  真夏の真昼間でもこれだけ数がいるのだから、冬や渡りの時期はそれこそもの凄い数なのでしょうね。有明海の干潟は福山市近辺の瀬戸内海の干潟とは全くもってスケールが違いました。いつかまた行ってみたいです。できれば真夏以外に。。

 左「ダイゼン 夏羽 佐賀県有明海の干潟にて」「ダイゼン 飛翔 にて」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。



観察データ

場所と回数:佐賀県有明海 3、広島県福山市の瀬戸内海 10、千葉県東京湾 12、計25回。海の干潟でしか見たことがありません。波が荒い砂浜では見ることがなく、穏やかな干潟が好みのようです。

観察月と回数:

1月2 〇〇
2月0
3月4 〇〇〇〇
4月5 〇〇〇〇〇
5月1 〇
6月0
7月0
8月3 〇〇〇
9月0
10月3 〇〇〇
11月2 〇〇
12月5 〇〇〇〇〇
計25回
旅鳥もしくは冬鳥です。8月の記録は皆お盆の頃。少し早めの渡りなのでしょうか。



  (トップ画像 ダイゼン 2014/08/13 佐賀県佐賀市(有明海)にて撮影)

 初出:2014/08/21
 改訂:2019/09/08 文章の校正
 改訂:2021/08/30 文章の見直し。チドリ科へのリンクを追加、観察データを追加