シロチドリ 白千鳥
Shirochidori
Charadrius alexandrinus
Kentish plover

シロチドリ チドリ目チドリ科 絶滅危惧II種 VU
 走りが超早い小さなチドリ

   

福山市、笠岡市、千葉県東京湾の各干潟での観察


シロチドリとの出会い、動画の紹介

 シロチドリはその名の通り全体に白っぽいチドリです。私は普段鳥見の人と話す時に、略して「シロチ」と呼ぶ癖がついてしまっています。そんな愛称が似合う、愛嬌のある可愛いチドリです。体形的にはコチドリに次いで小型のチドリです。ただ長い渡りをする旅鳥なので、体長の割に大きな翼をしており、飛んでいる姿は随分と大きく見えます。
 シロチドリの特徴として、干潟の上を走るスピードがもの凄く早いことがあげられます。しかも何故か斜めに走るのです。斜めに走るということは足が交差するということで、その「素直でない」足跡が「千鳥足」の語源となっています。
 チドリ類はシギと違ってエサを目視で追いかけ捕捉します。これは私の想像なのですが、干潟のエサとなるカニなどは横に逃げますから、「正面で見つけたものの、その後横に逃げるカニを追いかけるために斜め歩きが出来るようになったのでは?」などと思ったりしています。本当かどうかはチドリさんに聞くしかありませんが。。。

 シロチドリの動画を置いておきます。ご覧いただければお分かりかと思いますが、一端走り出すとカメラが置いてけぼりにされてしまうほど爆走します。なんだかゴキ○○・・・失礼。

 左「シロチドリの動画 福山市にて」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。


シロチドリ 夏羽

 シロチドリはコチドリ同様に足先を地面でごそごそ震わせてエサとなる小動物を追い出してから捕捉します。同じようなことはコサギもしますが、コサギはクチバシが長いので水の中で足をごそごそ、チドリはクチバシが短いので地面や泥など表層でごそごそします。
 この絵のシロチドリはもう冬の12月初旬に撮ったものなのに、何故か夏の羽色をしています。冬場もコントラストの高い色を保つのはどうやら ♂ に多いとのこと。
 コチドリはサイズ的にコチドリに似ています。両者の見極めポイントとして
1.シロチドリにはコチドリのような目の周りの黄色いアイリングがない。
2.シロチドリは胸の前で黒い筋模様が途切れており、コチドリは胸の前まで黒い輪となってつながっています。なお、冬羽は黒い筋の色が薄くなり背中と同じ薄い茶色となります。

 左「シロチドリ 夏羽 福山市にて」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。


シロチドリ かけっこ

 上の絵は干潟の上で止まって地面をごそごそしている絵でしたが、こちらは干潟の上を走る絵です。場所は変わって千葉県内の東京湾の干潟です。当日はとても良い天気で水辺に人も多く、また汐も高めだったので主だった水鳥の群れは沖の堤防の上にいました。しかし、このシロチだけは単独で浜にいました。ゆっくり近づいていくと、やがてシロチが走り始めます。この絵は走り始めの絵ですので難易度は低めで比較的スッキリとした絵になりました。しかし逆に言えば、動感があふれるように流れたバックにはなっておらず、絵としては中途半端かも。この後走りが最高速に乗った絵も撮ってあるのですが、そこまでいくと完全にぶれてにじんだ絵になってしまいました。。。残念。もう少しだけシャッタースピードを上げておけば良かったかな。こういう場合はスピード優先で撮らなければなりませんね。判断力を含め、修行が足りていませんでした。次頑張ろう。

 左「シロチドリ かけっこ 千葉県東京湾にて」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。


シロチドリ 冬羽の群れ

 最後は笠岡干拓周辺での小さな群れの記録です。最初は堤防の突堤で皆が肩を寄せ合ってだんごになっているところを見つけたました。しばらく観察していると団体さんでごろ石の浜へ飛び去りました。大半がシロチで少しハマシギが混じっています。面白いもので、両者は飛ぶと背中の見た目がほとんど同じになり、合流した群れは見た目完全に一体化してしまいます。この両者ははたして競合状態にあるのか、共生なのか、共生且つ補完する間柄なのか、とても興味があります。堤防でお休みしている姿を見ていると仲たがいしているようではなさそうなので、競合ではなさそうですね。夏羽の両者の見分けは簡単ですが、冬羽の場合は遠目だと本当に両者の区別が付きません。科が違うのに驚くほどよく似ていて本当に不思議な間柄だなと思います。

 左「シロチドリ 冬羽の群れ 笠岡市にて」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。


観察データ

場所と回数:佐賀県 1、広島県 6、岡山県 3、静岡県 1、千葉県の東京湾(干潟) 11、千葉の九十九里浜(砂浜) 3、宮城県 1 計26回。基本的には日本全国各地の干潟でよく見られます。しかし千葉の九十九里浜で何度か見ているので、太平洋沿いの波打ち際でもいないことはなさそうです。

観察月と回数:
1月4 〇〇〇〇
2月1 〇
3月1 〇
4月3 〇〇〇
5月0
6月1 〇
7月0
8月1 〇
9月1 〇
10月5 〇〇〇〇〇
11月4 〇〇〇〇
12月5 〇〇〇〇〇
都合26回
留鳥です。しかし涼しくなってからの方が見る数は多いと思います。夏羽は3月頃から見られます。



 翼を広げた絵があったのでトップ画像に置いてあります。よければハマシギの翼と見比べてみてやってください。

  (トップ画像 シロチドリ 2014/11/02 D200 150-600mm/F5.6-6.3 笠岡市にて撮影)


 初出:2014/12/11
 改訂:2015/11/01
 改訂:2021/08/23 チドリ科へのリンクを追加、観察データを追加