タゲリ 田鳧
Tageri
Vanellus vanellus
Northern lapwing

タゲリ チドリ目チドリ科
 後ろ頭の長いアンテナ?
 が特徴の大型チドリ

   

タゲリについて



 タゲリは見ていてとても不思議な気持ちにさせられる鳥です。まず後ろ頭から後ろ側斜め上にピンと伸びる2本のアンテナのような飾り羽根がユニークです。
 次に比較的大きい鳥なのに、図鑑でみるとチドリの仲間に入っていることに驚かされます。確かにダイゼンやケリのように大きなチドリ類もいますが、タゲリを初見で見て「これはチドリの仲間だ」と当てられる人はまずいないのではと思うのです。
 そしてもう一つ不思議さを醸し出しているのがその飛翔姿です。なんというかふわふわと優雅に飛ぶのですよね。翼が非常に大きくてて、ちょっとコミミズク的な先が丸く広がったような翼をしています。チドリ類はどちらかというと、細長い羽で直線的に飛ぶイメージがありますが、タゲリはゆっくりしたはばたきで、田畑の上空を群れでクルクル周りながら移動します。

 タゲリは冬の田畑にやってきて越冬する渡り鳥です。このタゲリを見つけるお勧めの方法としては。主に二つの方法があります。
 一つ目は広い田畑のある場所で、空を眺めて群れで飛ぶタゲリたちを探す方法。これは私が知り合いの方に教えてもらった方法で、広い干拓地では理にかなった探索方法だと思います。高さ的にはあまり高いところまでは上がらず、せいぜい10数mくらい(3~5階くらい?)までの高さでしょうか。私のタゲリ初ゲットはこの方法によりました。
 二つ目は地道ですが、広い田畑の順々に探して歩く方法。このとき、トラクターなどで耕されて、草もあまり生えていないような土の上にいることが多いので、優先的に探します。草地にもいますが、10cm以下くらいの短い草地を好むように思います。また畔にいることも多いので、忘れずに探してみてください。畔はたいてい見通しが良いので、いれば見つけやすいと思います。最近の私は「タゲリはこういうところ好きだよなぁ」的な感が働くようになってきたので、もっぱらこの方法で探すことが多いです。






「タゲリ」 クリックで拡大します。

タゲリ

茨城県稲敷市
1024×682 px
2024/01/06
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR


 タゲリをみる典型的な風景です。朝日を浴びてメタリックな翼が怪し気に光ります。
 



「タゲリ 正面」 クリックで拡大します。

タゲリ 正面

茨城県稲敷市
1024×682 px
2023/01/21
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR


 正面から見たタゲリ。頭のアンテナが目立ちます。
 サイズはおよそハトサイズです。足が長いハト的な。
 



「タゲリ アップ」 クリックで拡大します。

タゲリ アップ

岡山県笠岡市
1024×682 px
2020/12/12
Nikon D500 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3


 タゲリは大きくて優しい目をしています。近い仲間のケリは赤い目でちょっと怖い感じなので対照的です。ただ、胸の黒くて太い帯は両者ともよく似ています。
 



「タゲリ 群れ」 クリックで拡大します。

タゲリ 群れ

岡山県笠岡市
1024×682 px
2014/12/14
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3


 タゲリの群れを眺めていると、大半はじっとしていて、うち一羽がツツツーとゆっくり移動して、ぴたっと止まる、「だるまさんがころんだ」みたいなことを交互にしていきます。なんというかロボットが動いているみたいにちょっと無機質な感じがして、見ていてとても面白いです。このあたりも「不思議ちゃん」の面目躍如という感じですね。
 



「タゲリ 飛翔」 クリックで拡大します。

タゲリ 飛翔

岡山県笠岡市
1024×682 px
2014/12/14
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3


 タゲリは幅が広い翼をしています。他のチドリ類は皆スマートな翼をしているのに、なぜタゲリのみがこのように幅広い翼をしてふわふわ飛ぶのか、私的には七不思議のひとつになっています。
 



「タゲリ 飛翔 上空」 クリックで拡大します。

タゲリ 飛翔 上空

茨城県稲敷市
1024×682 px
2020/01/14
Nikon V1 MoovieMode S
1 NIKKOR VR 70-300mm f/4.5-5.6


 タゲリが私の頭の上をぐるぐる回っているところを動画で撮っていましたところ、動画時間は約40秒にもなりました。そのぐるぐる飛翔を動画から切り取ってみました。
 



「タゲリ 飛翔 低空」 クリックで拡大します。

タゲリ 飛翔 低空

岡山県笠岡市
1024×682 px
2014/12/14
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3


 この絵はタゲリがカラスのモビングを受けていた様子の一場面です。そもそもタゲリは、カラスに比べてずっと飛翔が上手いので、そのカラスはタゲリたちに完全にあしらわれていました。その飛翔は正に「余裕」な感じがして、ギャラリーだった私はタゲリたちに思わず拍手しそうになったことを今も思い出します。
 




観察データ

場所と回数:岡山県笠岡市の畑 4、茨城県の畑 10、宮城県の沼周辺 2、計16回。広い農耕地。どちらかというと乾いた畑の土の上でよく見かけます。ただ宮城県では沼の縁でも見たので、あくまで確率の話です。基本、広い農耕地でふわふわとした飛翔をする白黒で中型の鳥を探すのが一番良いと思います。

観察月と回数:

1月5 〇〇〇〇〇
2月3 〇〇〇
3月1 〇
4月0
5月0
6月0
7月0
8月0
9月0
10月0
11月2 〇〇
12月5 〇〇〇〇〇
計16回
冬鳥です。私の記録では11月14日~3月2日の間で見ています。出会いの確率的には真冬の時期にでかけるのが良いと思います。



 トップ画像 タゲリ 2014/12/14 D7100 150-600mm/F5.6-6.3 岡山県笠岡市)


 初出:2014/12/14
 改訂:2020/11/18
 改訂:2020/12/15
 改訂:2021/08/30 チドリ科へのリンクを追加、観察データを更新
 全面改訂:2024/04/30 全面書き直し