アオジ 青鵐
Aoji
Emberiza spodocephala
Black-faced bunting

アオジ スズメ目ホオジロ科
 緑の顔に黄色いお腹をした
 春が似合う小鳥

   

アオジの紹介



 アオジはホオジロの仲間で、冬になれば街の公園でも普通に見られる緑い小鳥です。
 冬に入り組んだ藪や、湿った枯れ葉が積もる場所でごそごそしていることが多く、見つけても絵にしにくい鳥の一つです。場所的にはシロハラと被る感じと言えばわかりやすいでしょうか。
 全体的に地味なためオスとメスの区別が難しいですが、♂は顔全体が灰色交じりの緑色をしていて、特に目先が黒くなるのでそこを見分けに使います。





「アオジ ♂ 春」 クリックで拡大します。

アオジ ♂ 春

北海道厚岸郡
1024×682 px
2022/05/03
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR


 GWに北海道で見たオスです。繁殖時期を目前にした時期なためか、冬場に本州で見るよりは緑や黄色がより鮮やかな気がします。
 この絵とは違う場所ですが、北海道ではアオジのさえずりも初めて聞くことができました。ホオジロ系の声質ですが、もう少し優しい感じで、途中鈴を転がすようなフレーズが入った華麗な感じのさえずりでした。
 



「アオジ ♂ 冬」 クリックで拡大します。

アオジ ♂ 冬

広島県福山市
1024×682 px
2015/02/15
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3


 霜が経つ真冬の朝に山中の里山を散歩していて見つけたアオジ。♂ ♀ の判断が難しい個体ですが、腹の黄色の鮮やかさからおそらく ♂ だと思われます。どちらにしろ優しい色合いをした個体だと思います。
 



「アオジ ♀」 クリックで拡大します。

アオジ ♀

神奈川県横浜市
1024×682 px
2022/01/09
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR


 横浜市内の公園で撮ったアオジの ♀ 。やはり街の公園だと普段から人目に慣れているからか至近距離でレンズを向けても逃げることがありません。ギャラリーを気にせず地面をごそごそしていました。
 



「アオジ カップル」 クリックで拡大します。

アオジ カップル

神奈川県横浜市
1024×682 px
2022/01/09
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR


 上が ♀ 、下が ♂ です。
 地元の里山公園では年中小鳥のエサを給餌されている方がいらっしゃいます。与えられるのは小鳥のエサのアワやヒエなどですから、寄ってくるのはアオジやクロジが多いようです。
 私は餌付けは賛成しない人間ですが、特定の鳥を狙う訳でなく、年中同じ場所で地道に給餌する分には別に違和感を感じません。自宅庭で米やパンを撒いて小鳥を呼ぶ楽しみと同じ感じだし、野鳥センターの裏庭で給餌してヤマガラやカラを呼んでいるのも同じで、動物園感覚で観察に参加させてもらっています。よくよく考えれば出水や釧路のツルも同じスタンスだと思います。ただ、どこかに希少種がやってきたときに、撮影だけの目的で一時的に餌付けするのは賛成できないので、そのような場所には基本的に参加しないようにしています。たまたま出会って記録できたとしても、結局のところあとから満足感が得られないので、次からは自分で見つけようと、二度目はなく足が遠のく感じです。この「給餌」と「餌付け」の感覚(解釈)の違いは、継続性に対する人の責任の有無にあると思っています。
 



観察データ

場所と回数:中国23、関西1、中部2、関東23、東北 1、北海道4、都合54回。ホオジロ科ではホオジロに次ぐ観察数の小鳥ですから、かなりポピュラーな種だと思います。
 観察する場所は開けた山沿いで湿地になった場所が鉄板です。これらをみると生息域はほぼホオジロと被る感じです。中国地方ではホオジロと比べて人家から遠いところにいるイメージでしたが、関東に来ると逆で、アオジは町の中の都市公園でもよく見かけます。逆にホオジロは関東では数が少なくて、近場の公園では一度も見たことがありません。このようにホオジロとの生息域を比べた場合、中国地方と関東とでは印象が逆転している感じです。
 なお、私のホオジロの記録回数は140回を越えていますが、なぜか横浜市内の公園ではまず見たことがありません。一方アオジは横浜市内の多数の公園で計16回の記録があります。
 また、ベニマシコとは出現場所や時期の相関性があるようです。あらためて調べたところアオジとベニマシコが同じ画面内に写っているパターンが何度かありました。更に両者を同じ日同じ場所で見かけた数をカウントしてみたところ、なんとその数12回にものぼりました。ちなみに北海道でも同じ場所で見たので、全国どこでも仲良しコンビなのかもしれません。アオジと出あった記録54回のうち1/5以上の確率でベニさんも一緒に見かけているのですから、偶然ではないと思います。

観察月と回数:

1月 17 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
2月 12 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
3月 1  〇
4月 4  〇〇〇〇
5月 5  〇〇〇〇〇
6月 1  〇
7月 0 
8月 0 
9月 0 
10月 0 
11月 6  〇〇〇〇〇〇
12月 8  〇〇〇〇〇〇〇〇
都合54回
関東以西の平地では冬鳥です。平地だと11月は17日以降、4月はGW前くらいまで記録があるので、秋も遅めにやってきて、新緑の頃までいつく感じでしょうか。なお、5月の4回は北海道と東北で、6月の記録は標高1,000mほどの富士周辺の高原でのものなので、どちらも繁殖地の記録だと思います。



 (トップ画像 アオジ ♂ D7100 150-600mm/F5.6-6.3 2015/02/15 福山市で撮影)

 初出:2015/09/13
 改訂:2018/08/12 観察データを追加
 改訂:2019/01/05 観察データを更新
 改訂:2021/07/03 ♀の静止画を差し替え。観察データを更新
 改訂:2021/08/01 ホオジロ科へのリンクを追加
 全面改訂:2023/12/03