ホオアカ 頬赤
Hoaka
Emberiza fucata
Chestnut-eared bunting

ホオアカ スズメ目ホオジロ科
 夏の高原で天にさえずる
 頬が赤い小鳥

   

長野県美ヶ原高原での観察について


ホオアカとの出会い/動画の紹介

 長く住んでいた広島県福山市では、ホオジロが最も身近な野鳥として里山や河原で通年よく見られました。そして冬になれば、更にホオジロの仲間達がたくさんやってきます。私が福山近辺で見られたホオジロ科の小鳥たちは、アオジ、カシラダカ、オオジュリン、ミヤマホオジロ、クロジなどが主でした。
 今回紹介するホオアカは、残念ながら福山近辺では見られなかった種です。手持ちの本によると、夏に本州中部以北の高原で見られ、冬は日本西南部、四国、九州などで見られるとあります。もしも中国地方を越えて冬を越すのであれば、渡りの季節などは福山でも見られたはずですが、それも記憶(記録)にありません。単に見逃しただけか、ルートが逸れていたのかどちらなのでしょう。遠目ではホオジロとあまり変わらないので、気づかずに見逃していただけかもしれませんね。。。これが正解かも。
 2017年の初夏から7月にかけて、長野県や山梨県の山の方へ何度か出かけました。せっかく関東に移って来たので、日帰りで行って帰られる夏の高原を楽しもうと、標高1,500m前後の山をいくつか登ってみました。その中の一つ、長野県の美ヶ原高原は、八ヶ岳から西北の方面に通るビーナスラインを走って一番奥手にある亜高山です。非常に広い牧場公園が目玉でとても人気のある観光地となっています。車さえあれば道も良いので、軽装でも手軽に行ける高原ですが、やはり1,500m級ともなるといつも出かけている近場の低山とはかなり環境が違います。
 この日は7月初旬で天気もよく完全に夏の様相でした。しかしつい今しがたまで全方位に青空が広がっていて、「とても暑い!」とか思っていたら、突然周囲から霧が襲ってきて周りがホワイトアウトし、気が付くと「肌寒くて上着が欲しい!」と感じるようなことがありました。思えば直射日光を受け続けて、カメラレンズが熱を籠らせて当日の記録が皆ボケ加減になってしまう!などという致命的なトラブルがあったにもかかわらず、当日の印象としては肌寒くて長袖を手放せなかったという正反対の記憶が残っています。そんな環境だからこそ、普段平地で見られない夏のノビタキやホオアカのさえずりを楽しむことができるのでしょうね。関東に引っ越してきてまた新たな発見が続きます。季節毎のドライブ/鳥見がとても楽しいです。

 さて、ホオアカは頬っぺたの色以外はホオジロととてもよく似ています。サイズも背中の雰囲気もさえずるシルエットもホオジロのそっくりさんです。あえて違いを探すなら、まず前述のとおり頭の模様が違います。次に背中の模様のコントラストが少し強く、さえずりはホオジロより少し短く、といった感じでしょうか。普段から鳥見をしていてホオジロを見続けている方なら、ホオアカに出会えば直感的に違和感を感じるだろうと思います。しかしそれはよほどホオジロを知っている人間にとってのことであって、初見の印象としては一般の方々にははたぶん判別不能だろうと思うくらいの近い種だと感じました。ちなみにこの日、付近で普通にホオジロのさえずりも聞こえました。似たもの同士の近縁種が同じ場所で繁殖しているのって、いつも不思議に思います。実際出会うと仲が悪いんだろうか。。ちょっと気になる。。。
 ホオアカの動画を紹介します。2017年7月8日に長野県美ヶ原で撮ったものです。ホオアカでさえずるのは♂くんのみです。動画の個体は皆さえずっているので、すべて♂くんということになります。というかさえずりをもとに見つけているので、鳴かない♀さんは見つけるのはかなり難易度が上がりますね。最初の場面と次の場面でさえずりが微妙に違っているので、ぱっと見同じですが、別の個体なんだろうと思います。左サムネイルをクリックすると動画にリンクしています。動画は11MBありますのでDL環境にご注意ください。


美ヶ原のホオアカ ♂ その1、その2

 ホオアカの英名は"Chestnut-eared bunting"ですから、栗色の耳をしたホオジロ類みたいな感じです。実際真っ赤な赤ではなくて赤茶色的な赤ですね。その赤く見える部位も日本では頬ですが、欧米では耳と、微妙に場所が違っていて面白いです。私的には頬の方がしっくりくるなぁ。鳥の耳って、小さな穴だけなのでほとんど見えませんから。。動画の紹介のところでも書きましたが、この日直射日光が厳しくてカメラとレンズが熱をもってしまい、特にレンズ内で空気の対流が起きたことで絵が皆ボケてしまうという事件がありました。(もしくは陽が強すぎて被写体との間に空気の揺らぎがあった?)この日たくさん動画を撮っておりまして、よく見ると短いサイクルで絵がぼわっともやったりしています。その場で気づけばよかったのですが、現場ではなかなか気づかず、そのまま大量の記録を撮ってきてしまい、大失敗の巻、後の祭りとなりました。レンズの熱対策が大事だとあらためて思った次第です。そんなわけで、当日撮った絵は皆すっきり感がありません。来年もう一度出かけて、今度こそはすっきりしたいと思います。
 PS:もしくは陽が強すぎて被写体との間に空気の揺らぎがあったのかもしれません。これだと防ぐのは難しいことになりますね。できるだけ近くで撮るのがよいのかな?よけいと難しいか。。  
 左「美ヶ原のホオアカ ♂ その1、その2」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。



観察データ

場所と回数:長野県 3、都合3回。全て長野県の高原地域で撮っています。標高1,500mほどの開けた草原を探すのがよいと思います。

観察月と回数:
1月0
2月0
3月0
4月0
5月1 〇
6月2 〇〇
7月0
8月0
9月0
10月0
11月0
12月0
都合3回
図鑑では日本国内で留鳥もしくは漂鳥とされています。しかし私は秋冬の低地でホオアカを見たことがないので、自分的には強く夏鳥の印象があります。そんな私としては、冬季の道の封鎖が解けるのを待って初夏の亜高山へ登ることをお勧めします。この時期のホオアカは繁殖目的で高地にきているので、さえずりも頻繁に聞け、とても見つけやすいと思います。



 (Top画像 ホオアカ 2017/07/08 D500 500mm/F4 + 1.4xテレコン 長野県美ヶ原周辺にて撮影)


 初出:2017/08/12
 改訂:2021/08/01 観察データ、ホオジロ科へのリンクを追加