コジュリン 小寿林
Kojurin
Emberiza yessoensis
Ochre-rumped bunting

コジュリン スズメ目ホオジロ科 絶滅危惧Ⅱ類 VU
 頭に黒い頭巾をかぶった
 葦原大好きな小鳥

   

コジュリンについて



 コジュリンは関東以北の広い芦原で局部的に繁殖する希少種です。名前の通り、冬の葦原ではポピュラーなオオジュリンと近いホオジロ科の小鳥です。
 夏に霞ヶ浦から利根川あたりの葦原で繁殖しているので、関東民からすれば割と見やすい小鳥と言えます。私も毎年のようにこの地域に観察に出かけていまして、この小鳥を見つづけています。初夏から夏にかけて、葦原を望む場所に陣取ると、草の中からホオジロっぽい高めのさえずりが聞こえてきます。この声の主は ♂ なので、毎度声を目印として見つけられるのは ♂ ばかり、という結果になります。
 図鑑によると冬は本州中部以西の草地に移動するとありますが、私は福山時代には見たことがありませんでした。また前述の関東の繁殖地でも冬は姿を見ていません。「冬は鳴かないので見つけにくいということなのかな?」と思ったりしましたが、仲間のオオジュリンは鳴き声なくても同じ場所でたくさん見つけています。「ならコジュリンも潜んでいるにしても数打てば当たる(?)くらいには観察機会があってもよいのにな」と、私的には七不思議のひとつになっています。冬はいったいどこに行っているのでしょうか。。





「コジュリン ♂ 夏羽 さえずり」 クリックで拡大します。

コジュリン ♂ 夏羽 さえずり

茨城県稲敷市
1024×682 px
2016/05/02
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3


 夏羽の ♂ です。天に向かって元気よくさえずる姿はホオジロと同じですね。
 



「コジュリン ♂ 夏羽 黒頭巾」 クリックで拡大します。

コジュリン ♂ 黒頭巾

茨城県稲敷市
1024×682 px
2016/05/02
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3


 コジュリンの夏羽はのどまですっぽりと黒頭巾姿です。ちなみに ♀ はホオジロ的な色目だそうですが、私は未見です。「♀ は鳴かないから見つけにくいのだろう」と思うものの、いくら探しても一向に現れてくれず、これも七不思議ですね。。
 



「オオジュリン ♂ 夏羽 コジュリン公園 1」 クリックで拡大します。

オオジュリン ♂ 夏羽 コジュリン公園 1

オオジュリン ♂ 夏羽 コジュリン公園 2

千葉県東庄町
1024×682 px
2018/05/05、2020/08/15
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3


 千葉県の東庄町にはその名も「コジュリン公園(**)」という名のついた河川敷公園があります。この絵はそこで撮りました。
 ここは「公園」とは名づけられていますが、葦原と側道に沿った土手がきれいに整備されているだけのいわゆる「河川敷」です。東端の駐車場から始まって西方向にすごく縦長な施設で、途中に陽を遮る樹木などもありませんので、天気の良い日に訪れるなら熱射病対策が必須です。お出かけされる方はお気を付けください。
**コジュリンは希少種ではありますが、公園名は町公認で名づけられていて書物等でも紹介されていますし、訪れる度に人影もなく閑散としているので敢えて紹介させてもらいました。なお、コジュリンはフレンドリーな種ではありませんので、葦原に近づいても、人に驚いて遠くに逃げてしまうだけです。繁殖時期に観察する場合は、土手のあたりからそっと観察してあげてください。**
 



「コジュリン 飛翔」 クリックで拡大します。

コジュリン ♂ 飛翔

千葉県東庄町
1024×682 px
2018/05/05
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3


 葦の間を飛ぶコジュリンです。
 飛び回る小鳥ではないので、ソングポストの移動で少し飛ぶのを見るくらいですね。
 



観察データ

場所と回数:千葉県 3、茨城県 4、計7回。関東では千葉、栃木、茨城などの大きな葦原で繁殖しています。他は青森や熊本にも繁殖地があるそうです。

観察月と回数:
1月0
2月0
3月0
4月1 〇
5月3 〇〇〇
6月0
7月0
8月3 〇〇〇
9月0
10月0
11月0
12月0
計7回
私の観察時期は4/28~8/22の間ですが、不思議と6~7月の間が抜けています。子育て時期は観察しにくい時期なのかもしれません。出会いのうち4/7の確率でGWの記録になっています。この後、陽射しからくる暑さの苦行を考えても、GWくらいの陽射しが本格的に強まる前に観察することをお勧めします。なお、8月のお盆を過ぎてもまださえずっていたりします。姿もまだ黒頭巾なので、初夏を見逃してもまだチャンスはあると思います。



 (トップ画像 コジュリン♂ D7100 150-600mm/F5.6-6.3 2016/05/02 茨城県稲敷市)

 初出:2016/05/02
 改訂:2018/05/05 トップ絵と静止画を差し替え、飛翔絵を追加
 改訂:2021/08/01 観察データ、ホオジロ科へのリンクを追加
 改訂:2024/04/21 全面改訂