ハマシギ 浜鷸
Hamashigi
Calidris alpina
Dunlin

ハマシギ チドリ目シギ科 準絶滅危惧種 NT
 夏は腹黒!?
 冬は地味にシロチドリと同化する小さなシギ

   

ハマシギの紹介



 ハマシギは日本の干潟の鳥を代表する小型のシギです。レッドリストでNT指定されてい鳥ですが、秋から春の間に干潟に出かければ、たいていその姿を観察できるくらいにポピュラーな種です。これは私の想像ですが、ハマシギのNT指定は干潟の保護とセットになっているのかなと思っています。たぶん干潟がなくなればハマシギが日本を訪れることはほぼなくなるのでは、と思わされるほど干潟が似合う鳥です。
 ハマシギは夏と冬で羽模様がかなり変わります。派手な夏羽になるのは4月中旬以降なので、GW前くらい、まだ渡りの群れが残っている間に干潟で見つけられれば、夏羽のハマシギも観察できる可能性が大です。
 私は干潟のシギチ観察が大好きな人間なので、ハマシギはとても大事な遊び相手です。干潟さえあればいつもそこにいるため、バーダーからの人気のほどは今一つな鳥ですが、私は会う度に一生懸命写真に撮らせてもらっているため、写真記録がどんどん増えてきています。せっかくなのでここでは少し多めに絵を紹介させてもらおうと思います。






「ハマシギ 冬羽」 クリックで拡大します。

ハマシギ 冬羽

千葉県船橋市
1024×682 px
2023/12/02
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR


 夕方の干潟で撮った絵です。当日は見事な快晴の一日だったため、水面が青い鏡のようになって面白い絵になりました。
 



「ハマシギ 駆ける」 クリックで拡大します。

ハマシギ 駆ける

千葉県九十九里浜
1024×682 px
2021/01/30
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3


 珍しく九十九里浜の波打ち際を走っていたハマシギ。少々波が近づいてきてもあまり慌てません。
 



「ハマシギ 冬羽」 クリックで拡大します。

ハマシギ 冬羽

千葉県九十九里浜
1024×682 px
2023/12/02
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR


 九十九里浜から突き出た防波堤の突端でお休み中のハマシギたち。実はすぐ近くには相当数のミユビシギ軍団がいて、ハマシギはかなりの少数派でした。上の絵の紹介で「珍しく」と書いたとおり、ハマシギは基本干潟が好きで東京湾派、ミユビシギはどちらかというと砂浜が好きで久里浜派な印象があります。まあ、どちらの場所でも両者は至極仲良しなので見ていてほっこりしますね。
 



「ハマシギ 冬の夕暮れ」 クリックで拡大します。

ハマシギ 冬の夕暮れ

千葉県船橋市
1024×682 px
2022/01/15
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 300mm
f/4E PF ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3


 夕暮れの干潟に寄ったときの記録です。夕方早目にたっぷり腹ごしらえして、この後は朝までさっさとお休みでしょうか。
 



「ハマシギ 夏羽」 クリックで拡大します。

ハマシギ 夏羽

千葉県船橋市
1024×682 px
2020/10/03
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR


 この個体、実は撮った時期は10月初旬でした。他の皆はもう冬羽に衣替えしているのに、この鳥だけはまだ腹黒い姿をしていました。だからと言ったわけではないと思いますが、ちょっとばかりぽつんとしていたのが印象的です。
 



「ハマシギ 夏羽の群れ」 クリックで拡大します。

ハマシギ 夏羽の群れ

広島県福山市
1024×682 px
2015/04/19
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3


 瀬戸内海の干潟で撮ったハマシギです。ここは千葉の干潟と比べると随分小さい干潟ですが、ハマシギは毎年季節ごと(夏を除く)に数十羽がやってきてくれました。他にも色々なシギチが見られる有り難い干潟で、私はここでたくさんの勉強をさせてもらいました。千葉の干潟とほぼ被るようなたくさんのシギチが見れたのですが、ミユビシギだけは見ることがありませんでした。そんなものでハマシギは干潟の鳥で、ミユビシギは波打つ砂浜の鳥みたいなイメージになっているのかもしれません。
 



「ハマシギ 飛翔 1」 クリックで拡大します。

ハマシギ 飛翔 1

千葉県船橋市
1024×682 px
2021/04/11
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR


 4月に入るとハマシギも衣替えの季節になります。この群れの絵は下から見上げた飛翔姿ですが、1/3くらいの割合で既に腹黒姿が混じって見えます。GW頃には大半が腹黒軍団になることでしょう。
 



「ハマシギ 飛翔 2」 クリックで拡大します。

ハマシギ 飛翔 2

茨城県稲敷市
1024×682 px
2023/01/21
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR


 真冬に稲敷の蓮田に寄ったところ、めずらしくハマシギの小群れがいました。丁度となりの蓮田から飛んできたところを、近くから撮ることができました。
 



「ハマシギ 飛翔 パニック!」 クリックで拡大します。

ハマシギ 飛翔 パニック!

茨城県稲敷市
1024×682 px
2023/01/21
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR


 上の飛翔絵の群れが田んぼに降りたところを写真に撮っていたら、いきなりハマシギたちが「バババッ!」と飛び立ちました。しかもその飛び立ち様がちょっと泡食ったような、いつもとはちょっと違う感じでした。実はこのとき、ハヤブサが彼らを襲っていたのです。私のレンズ内にはその様子が入らなかったのですが、横にいた妻が教えてくれてやっと目の前で何が起こっているのかに気づいた次第。もちろんこの後、私のレンズは慌ててハヤブサに向かいました。。。
 ちなみにこのときのハヤブサの狩りは失敗の巻に終わりました。ギャラリーの私としては「ハヤブサも撮れたし、ハマシギたちも皆無事で、よかったよかった」でありましたが、ハマシギたちにしたらきっと生きた心地はしなかったでしょうね。絵を見ても、いつもは一糸乱れず整然と飛ぶ群れがあちこち向いてバラバラだったり、飛び立ちで泥が派手に飛び散っているのが写っているので、ハヤブサの空襲に対して緊急発進したことがよくわかります。




観察データ

場所と回数:佐賀県 有明海 2、瀬戸内の干潟 15、鳥取県 米子水鳥公園 1、千葉県 東京湾 24、千葉県 九十九里浜 2、茨城の蓮田 2、宮城県の干潟 1、計47回。九州から東北まで、43/47が干潟での記録です。外海の砂浜ではよく似たミユビシギの方が多く、ハマシギはあまりみかけません。

観察月と回数:
1月11 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
2月1  〇
3月5  〇〇〇〇〇
4月8  〇〇〇〇〇〇〇〇
5月2  〇〇
6月0
7月0
8月1  〇
9月1  〇
10月4  〇〇〇〇
11月6  〇〇〇〇〇〇
12月8  〇〇〇〇〇〇〇〇
計47回
東京湾での記録を見ると5月~9月のカウントが抜けています。この時期暑くてあまり出かけていないということもありますが、7月や8月に観察に行った記録を見ても姿を見ていません。上の5月の記録は米子市、福山市にて、8月は佐賀での記録です。東京湾の群れは秋から春までの滞在で、夏は繁殖のために北に渡っているのかな?一方で8月に九州で見られたりするのは、また違う動きをするグループがいるということなのでしょうか。



(トップ画像 ハマシギ 2014/08/13 D200 Tamron 150-600mm 佐賀県有明海の干潟にて撮影)
 ずっと昔、日本の海岸に干潟がたくさんあった頃は、もっともっと多くのハマシギがいたのでしょうね。日本では既に残り少なくなった干潟を、これからもなんとか守っていきたいものです。

 初出:2014/11/07
 改訂:2016/12/11 アップ絵を差し替え
 改訂:2019/2/4 足跡の絵を追加
 改訂:2020/1/1 動画、アップ絵の差し替えと追加、観察データの追加
 改訂:2021/7/18 観察データの更新、文章の見直し
 改訂:2022/1/16 静止画を差し替え。観察データの更新、文章の見直し
 全面改訂:2023/03/20 全面書き直し