トウネン 当年
Tounen
Calidris ruficollis
Red-necked Stint

トウネン チドリ目シギ科
 シロチドリよりも小さい
 小型で可愛いシギ

   

福山市、千葉県での観察


トウネンの動画  
 初めてトウネンと出会ったのは福山市の干潟に通い始めた最初の初秋のことでした。福山では泥質の海辺を「ダベ」と呼びます。そんなあまりきれいでないダベでちょこちょこ動いてエサを探すもの凄く小さなシギに出会いました。もちろん私はその鳥の名前すらわかりません。隣にいた鳥見の方に教えていただき、その鳥が「トウネン」というシギであることを知りました。
 まず名前を聞いて「トウネン??変な名前。。」と思いました。皆さんも「トウネンってどこから出てきた名前?」ととても不思議に思われるのではないかと思います。トウネンは漢字で書くと「当年」です。その年に生まれた赤ちゃんのように小さいから当年と呼ばれるようになったという説があるそうですが、なんともおかしな名前です。姿はハマシギやミユビシギを小さくしたような姿です。くちばしはシギの中では短めですので、そういう意味ではややくちばしが長めのハマシギよりもミユビシギの方が相似的に似ている感じがします。そもそも小さいだけで姿格好は地味な小鳥なだけに、名前の不思議さがよけいに目立ちます。大型チドリの「ダイゼン」も同じように「変な名前」の印象です。昔の人のネーミングセンスってユニークだなあと思います。
 トウネンは基本的に海辺の干潟に現れます。大抵の場合ハマシギやシロチドリなどと一緒に現れることが多いと思います。シギ類って単体では見分けが付きにくいですが、トウネンの場合、まずそのサイズで認識しますので、「ハマシギの中に小さい奴がいたらトウネンかも」と覚えておくのがよいかもしれません。

 左「トウネンの動画」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。


初秋のトウネン

 福山市の岸辺で干潟を耕すトウネンくんです。この日は初秋というより残暑の晩夏という方が印象として近かったと記憶しています。しかし羽の赤みが少しのこるものの、既に夏羽と言うよりは冬羽に近い羽衣をしています。

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夏羽のトウネン

 佐賀県の有明海でみた夏羽のトウネンです。右下のソリハシシギと右側中央にいる腹黒ハマシギの間にいて、顔周りから首にかけてが赤っぽい個体がトウネンです。左中央のダイゼンの右上で首をすくめているのもトウネンだと思います。ちなみにオレンジ色の足をしているのはキアシシギ。ダイゼンの右↓はオオメダイチドリ、左下の腹黒ハマシギのすぐ右隣にいるのはコオバシギだと思います。大授搦ってお盆の頃でもこんなにいろんなシギチドリがいて、本当に凄い場所だったなぁと、今にして思いますね。

 大きな絵で飾るほどの絵でないので、サムネイルのみです。


冬のトウネン

 千葉の三番瀬で撮ったトウネンです。物凄い数のハマシギに混じっていました。体が小さいのとクチバシが短いので判別しました。三番瀬にはトウネンと似た色目をしたミユビシギも混じるので少々紛らわしくなりますが、ミユビシギはサイズがハマシギとあまりかわらないのでやはりサイズで判別します。

 左「冬のトウネン」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。



観察データ

場所と回数:佐賀県有明海 1、広島瀬戸内海 1、千葉東京湾 1、千葉九十九里浜 1、計4回。砂浜の波打ち際での記録もありますが、基本は干潟で探すのが良いと思います。。

観察月と回数:
1月0
2月1  〇
3月0
4月0
5月0
6月0
7月0
8月2  〇〇
9月1  〇
10月0
11月0
12月0
計4回

 旅鳥ですが越冬する個体もいるみたいです。ハマシギやミユビシギの群れに混じっていることがあるので、小さい姿が見つかればしっかり観察してみましょう。




  (トップ画像 トウネン 2017/02/26 D500 500mm/F4+1.4xテレコン 船橋三番瀬にて撮影)

 初出:2017/03/12
改訂:2021/09/14 シギ科へのリンクを追加。観察データの追加