タカブシギ 鷹斑鷸
Takabushigi
Tringa glareola
Wood Sandpiper

タカブシギ チドリ目シギ科 絶滅危惧II類 VU
 淡水系で見ることの多い
 小型の地味なシギ

   

笠岡市、茨城県霞ケ浦周辺での観察


タカブシギとの出会い、動画の紹介

 2013年の年末、笠岡市の川にたまにツクシガモがいる(いつもの大きな池で遠目に見るより割と近くで観察できるチャンスになる)という話を聞いて、それらしい場所を車で回ってみました。とある場所で車を降りるとカモでなく川の岸辺にシギが見えました。どうやらクサシギのようです。しかしやつはいつまで経ってもじっとしていて動こうとしません。シギならやっぱり、川の中を歩き回って長いクチバシをツンツンして欲しいところ。。そうこうする間に、どこかから川の真ん中に一羽のシギが飛んで来て、先のクサシギの代わりになってか川の中に首を突っ込み始めました。これもまた見た目クサシギっぽく見えます。でもなにかちょっと違うような気が。。。どちらにしろまだ大分と距離があって、V1と旧サンヨンのコンビではあまりEVFの解像感も高くなくて現場での判別は難しい。とりあえずシャッターを切り、動画も収めながらもっと鮮明に撮ろうと徐々に川辺に近づいて行きました。
 川面は周囲のススキが映りこんで金色に光りとてもきれいです。良い絵が撮れるかも。しかし逆に川岸近くのすすきの背が高くて、どうしてもやつのいる川が覗けません。ちょっと横に移動し、すすきの隙間を見つけてそおっと歩を進めました。ここから首を上げればやつがいるはず。。しかし、「いた!」とレンズを向けた途端、奴に瞬時に感づかれ、万事休す。。。しばらくそこで待ちましたが、やつはとうとう帰って来てくれませんでした。
 帰宅して撮った画像を調べてみると、どうやら動かなかったシギはやはりクサシギで、その後川の真ん中でごそごそしていたのはタカブシギであったらしいことがわかりました。羽模様に茶色と白が混じっていることから「鷹斑のシギ」と名付けられたようです。確かに背中の白い模様がクサシギやイソシギに比べて目立ちます。「タカブ」と言えば、知り合いの高渕さんが「タカブー」さんというあだ名だったのでその印象が強かったのですが、字が違いました。。それはさておき、松永湾などで海辺のシギはよく見るのですが、淡水系のシギ類は割と見る機会が少なく、地味な鳥ながらも観察していて新鮮な気持ちを覚えました。また両者とも、その時点では私にとって初見の鳥でありましたので、すぐに再チャレンジを決心しました。
 翌週早速、同じ場所へ出向き、今度こそもう少しアップの姿を撮ろうと、車を川の沿道に着けた時点から緊張感を持って勝負開始です。川の反対側になる助手席からそおっとドアを開けて外に出ます。川を覗くと、いました。間違いなく先週のタカブーさんです。先週の失敗を繰り返さぬよう、ススキの陰に隠れながら川辺に歩を進めます。しかしやはりススキが超邪魔。。。どうしよう。。。結局他に打開策も無いまま川辺に進みますが、とうとう先週と全く同じパターンに陥り、直接視認できる場所へ立って顔を覗かせた途端、またまた奴に察知され逃げられてしまいました。なんてバカなんでしょう。(というか無能な私。。。)
 それから福山在住の2年間は一度もタカブシギに出会えず終わりました。ところが2016年の2月、茨城県の大洗に日帰り旅行に出かけた道すがら、霞ヶ浦近辺の道沿いの田んぼで運よくタカブシギを見つけることができました。何故かこの時期水が張られた田んぼがあって、シギを見つけるにはとても良い環境だったと思います。福山ではこの時期水が張られた田んぼというと、クワイ畑の跡くらいしかなかったのですが、茨城の地ではいったいどういう理由で水が張られていたのでしょうか。後から考えていてちょっと気になりました。どちらにしろ2年ぶりに至近距離でタカブーさんに出逢え、嬉しい日帰り旅行となりました。

 左「タカブシギの動画」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。近い絵は車中から手持ちで撮っていて少し揺れ揺れですがお許しを。


笠岡干拓のタカブシギ

 上で紹介した最初の出会いで撮ったタカブーさん。ススキが川面に映りこむと、一面に金箔が貼られたようで本当に綺麗です。川にぽつんといるの地味なシギさんもつられて綺麗に見えます(失礼)。V1で撮っているので少しばかりノイジーなのが残念なところですがお許しを。

 左「笠岡のタカブシギ」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。


茨城県稲敷市のタカブシギ

 茨城県稲敷市の冬の休耕田で見つけたタカブシギを2枚紹介します。ここは夏場に蓮田となっていて、冬は水が張られた休耕田となっている場所です。近い場所で春にオオハシシギ、エリマキシギ、冬にはタシギとタカブシギ、冬場の畔ではタゲリなどが見られます。皆地味な色なもので、よくよく眺めないと姿を見落としがちです。私などからすれば宝探しのようで、ドキドキものの秘密の場所です。同行してくれる嫁さんなどは「ふーん」みたいな感じですが。。。

 一枚目は車の中から、二枚目は車をそおっと降りてしゃがみながら撮った絵だったと思います。最近(2019年年末以降)は、車から降りて本格的に撮るのにはD500とゴーヨンを、車中手持ち用にはD7100とTamron A011またはpfサンヨン+1.4xのセットを用意していまして、今回は手持ちセットで撮っています。1枚目はサンヨン+1.4x、2枚目はTamronA011で撮っています。左「茨城県稲敷市のタカブシギ」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。



観察データ

場所と回数:岡山県 1、茨城県 5、計6回。岡山では川で、茨城県ではいずれも稲やハスが植えられていない時期に水が張られたたんぼにて。いる場所にはいますが、全体的には個体数が少なくてVU指定もされている珍しめの淡水系シギです。

観察月と回数:
1月1  〇
2月2  〇〇
3月0
4月2  〇〇
5月0
6月0
7月0
8月0
9月0
10月0
11月0
12月1  〇
計6回

 一般的には旅鳥とされているようですが、冬の間居ついている個体も多いように思います。




(トップ画像 タカブシギ 2016/02/14 D200 300mm F4 岡山県笠岡市にて撮影)

 初出:2016/02/14
 改訂:2020/03/04
改訂:2021/09/12 シギ科へのリンクを追加。観察データの追加
改訂:2022/03/28 静止画を差し替え。観察データの更新