ノスリ 鵟
Nosuri
Buteo japonicus
Eastern Buzzard
 
ノスリ タカ目タカ科
 ズングリムックリした
 丸っこい飛翔姿の茶色いタカ

   

ノスリ




ノスリについて

 ノスリは平地では冬に見られる渡り鳥の猛禽類です。夏場は繁殖のため東北以北や亜高山以上の高地に移動します。食性は動物食ですが、昆虫や爬虫類などの小型の獲物を食す場合が多いようです。私の経験でもノスリが勇壮な狩りをする場面は見たことはありません。
 ノスリはトビの次に観察回数が多い猛禽です。一般的には上空を飛んでいると色目やサイズがトビと似ているため、出会っても気づきにくい鳥だと思います。トビとの見分けは尾羽が扇状であることでしょうか。慣れてくれば羽の付け根、脇の当たりに大き目の黒い斑紋が目立つので、そちらの方が分かりやすいかと思います。




「ノスリの飛翔 1」 クリックで拡大します。

ノスリの飛翔 1

長野県松本市
1024×682 px
2022/09/25
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR

 長野県松本市でタカの渡りを観察中に見つけたノスリです。標高が高い山の上なのでここで夏を過ごしていた個体なのか、移動中のものなのかは不明ですが、姿がきれいなのでこの年に生まれたばかりの若鳥な気がします。
 サイズ的にサシバより二回り以上大きいことがわかります。



「ノスリの飛翔 2」 クリックで拡大します。

ノスリの飛翔 2

長野県松本市
1024×682 px
2018/09/23
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR

 撮った年は違いますが、こちらも一つ上の絵と同じ場所で撮ったノスリです。ただ上の絵と違い尾羽がかなり傷んでいることがわかりますので、こちらは親の個体だろうと思います。
 ちなみにノスリの雌雄はほぼ見た目が同じで、猛禽類でよくある尾羽の横縞模様の数や縞幅の太さ違いみたいなのも見えないため、私は雌雄判別ができていません。



「ノスリの飛翔 3」 クリックで拡大します。

ノスリの飛翔 3

滋賀県米原市
1280×853 px
2019/11/02
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR

 崖の上からの観察だったため、珍しくノスリの背面が写った絵を残すことができました。背打ちというほどではなくほぼ側面からですが、腹側の白さに比べて背面がほぼ茶色であることがわかると思います。



「湖畔のノスリ」 クリックで拡大します。

湖畔のノスリ

宮城県登米市市
1280×853 px
2019/12/21
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3

 宮城へガン類を観察に行ったとき、湖畔で見つけたノスリです。真冬になるとそれまでエサにしていた爬虫類も昆虫も皆冬眠してしまうので、変わりにネズミや小鳥などを狙うようになるのかと思います。目の前にたくさんいるよく太ったガンやハクチョウと比べて、ポツンと枝にとまるノスリの背中が寂し気に見えました。
 拡大絵を見てもらうと、ノスリの頭上に点々とした一文字がぼやっと見えると思います。これはおそらく飛び立ったマガンたちの飛行隊だと思います。
 関東の街中に住んでいると、このような絵が撮れる環境にとても憧れを感じます。確かに近場でも探せば面白い絵が撮れるはずで、そこは本人の感性次第だと思います(感性に乏しい自覚有り)。しかし、自然の大きさだけは街中では中々望めませんよね。また登米に行きたいです。



「ノスリ」 クリックで拡大します。

ノスリ

岡山県笠岡市
1024×682 px
2014/11/30
Nikon D200 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3


 カモの観察所に車を停めたとき前方に茶色い猛禽類が見えました。しかし車のドアを開ければ飛び去ることは確実な距離。窓ガラス越しだとぼやぼやに写ることは体験済み。このチャンスを生かすには?と考えても勝負するしか手はありません。運転席の窓を開けて体を半分出して手持ちで撮ることとしました。
 幸いノスリから見ると私の方向は逆光の位置になっていました。ノスリも眩しくてこちらが見えにくかったのかもしれません。逃げる前になんとか連射をすることができました。

 左「ノスリ」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。


観察データ

場所と回数:広島県 9、岡山県 3、岐阜県 1、石川県 1、愛知県 1、長野県 8、新潟県 1、神奈川県 2、栃木県 1、茨城県 3、宮城県4、計34回。私の猛禽類の観察記録ではトビやミサゴの次に出会いの回数が多い種です。確かにレッドリストにも入っていないので、観察し易い鳥の部類だと思います。ノスリを見たいなら、冬場に大きな田畑のある開けた土地、もしあれば干拓地などで探すのが固いと思います。山中や河川敷にも結構いるので頭上を飛ぶトビサイズの猛禽を見かけたら、「またトビかー!」とスルーはせずに尾羽の形をしっかり見極めしてみましょう。

観察月と回数:

1月7 〇〇〇〇〇〇〇
2月5 〇〇〇〇〇
3月4 〇〇〇〇
4月0
5月1 〇
6月1 〇
7月1 〇
8月0
9月4 〇〇〇〇
10月2 〇〇
11月3 〇〇〇
12月6 〇〇〇〇〇〇
計34回
留鳥または漂鳥です。平地では冬鳥。6~8月の記録は全て標高1,300m以上の亜高山での記録です。繁殖期でも少し高めの山に登れば観察できるかもしれません。ただしノスリは夏も冬も姿は同じです。


 
 (トップ画像 ノスリ 2019/09/14 D500 500mm/F4 + 1.4x 長野県松本市にて撮影)
 
 初出:2016/01/11
 改定:2021/7/27 トップ絵の変更、観察データ、タカ科へのリンクを追加
 改定:2023/10/29 全面改訂