ツミ 雀鷹
Tsumi
Accipiter gularis
Japanese sparrowhawk

ツミ タカ目タカ科
 街中で営巣する
 ハトより小さいタカ

   

ツミ


 ツミは英語名に"Sparrowhawk=スズメ・タカ"とあるように小型の猛禽類です。日本のタカの仲間では最小サイズ。ハトより小さくて、全長だけで言えばおよそヒヨドリ程度、と言えばおよそイメージがつかめるのではと思います。
 私の場合、このツミに関しては関東に住むようになって身近な鳥となりました。なぜかというと、こちらでは近くの町の公園でツミが普通に巣を作って子育てをしているからです。それも大きな公園ではなく、直径100mもない程度で、街のど真ん中にある公園です。ここでは同時期にオナガも繁殖していて、聞くところによるとツミとオナガの繁殖はセットになっているのだとか。子育てでは両者共にカラスが天敵になるので、共にカラスを追っ払うことで防御しているとの説があるようです。実際に両者が狭い場所の中で子育てしているのを見ると、それなりに信憑性がある話なのかなと思っています。



「ツミ ♂ 背中」 クリックで拡大します。

ツミ ♂ 背中

神奈川県
1024×682 px
2016/05/08
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3

 街の公園で初めて出会ったツミです。灰色系の色目なので ♂ です。
 猛禽類というと半径50m以内には寄れないというのが私の中で常識化していますが、公園で繁殖中のツミは割とどっしり構えてくれているようです。子供も多いし、カメラマンも結構いますので慣れているのだろうと思います。



「ツミ ♂ 腹」 クリックで拡大します。

ツミ ♂ 腹

神奈川県
1024×682 px
2016/05/14
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3

 同じく ♂ の腹側から見たところ。
 日時が一週間違いではあるものの、白い眉模様の形からして上の個体とは別の ♂ ようです。



「ツミ 若」 クリックで拡大します。

ツミ 若

神奈川県
1024×682 px
2016/07/02
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3

 ツミの幼鳥と思われます。5月に産卵、6月に孵化し、7月に巣立ちという感じでしょうか。
 色目的には ♀ 的な感じですが、若の場合は概して ♀ 的な姿をしているので、実際どちらなのかはまだ分かりません。



「ツミ ♂ 飛翔」 クリックで拡大します。

ツミ ♂ 飛翔

長野県松本市
1024×682 px
2019/09/14
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR
FL ED VR + AF-S TC-14E III TC14E3

 長野県松本市で秋のタカの渡りを観察していると、ときどきツミを見つけます。ただ現れ方(飛翔方向や高度)からすると、ハチクマやサシバのように新潟方面からの移動中ではなさそうです。もともとこのあたりにいた個体なのか、はたまた違うルートで移動中なのかよくわかりませんが、ツミも秋になると南の国に戻るようなので、やはり「渡り」だったのかもしれません。



「ツミらしき羽根」 クリックで拡大します。

ツミらしき羽根

静岡県裾野市
533×800 px
2021/07/25
Nikon D7100 Mode A
Ai AF Nikkor f35mm f/2D


 富士の裾野で鳥見をしていたときに、足元に落ちていた羽根です。模様的にタカのものだろうと思われます。真夏なのでツミあたりが怪しいかなと考えつつ、拾って帰りました。
 あらためて原寸図鑑で似たサイズ、模様を探すと、ツミの次列風切りが形状・サイズがにていて模様的には三次風切りとよく似ています。図鑑もところどころしか部位がないので完全に一致するものは見つかりませんでしたが、次列の三次寄りな位置、もしくはその逆あたりかなと思っています。自信のほどは70%くらいでしょうか。



観察データ

場所と回数:長野県松本市 4、神奈川県 4、計8回。街の公園で見るときは近距離で観察可能です。一方木々が詰まった狭い空間で、周囲は住宅地だったりするので、飛翔を見るのは難しいと思います。タカの渡りの時期だと、毎回1~2羽を記録しているので出会う確率は結構高いと思います。ただほとんどの場合、距離は遠いです。

観察月と回数:

1月0
2月0
3月0
4月0
5月2 〇〇
6月1 〇
7月2 〇〇
8月0
9月4 〇〇〇〇
10月0
11月0
12月0
計8回
夏鳥です。横浜に来て最初の夏に公園でしっかり観察できたことと、「繁殖中にあまりカメラを向けるのもなんだなぁ」と感じたこともあって、翌年以降は観察に出かけていません。その分、渡り観察での出会いを楽しみにして、毎年出かけている感じです。



 (トップ画像 ツミ ♂ 2016/5/14 D7100 105-600mm/F5.6-6.3 神奈川県にて撮影)

 初出:2016/07/02
 改訂:飛翔絵を追加 2019/10/15
 改定:2021/7/27 文章の見直し、観察データ、タカ科へのリンクを追加
 改定:2024/03/23 全面改訂