ツグミ 鶇
Tsugumi
Turdus naumanni Temminck
Dusky thrush

ツグミ スズメ目ヒタキ科
 本格的な寒さの訪れとともに飛来し
 暖かくなるまではどこにでもいる
 地面が大好きな中型の鳥
 

   

福山市、南都留郡、千葉市、稲敷市での観察


ツグミの観察と動画の紹介

 ツグミの仲間にはビートルズの曲名としても有名な「ブラックバード(和名はクロウタドリになるのかな)」をはじめ、とても良い声をした鳥が多いのですが、ツグミに限っては飛び去る際に「キョキョッ」と短く鳴くだけです。私も相当数遭っているのに、いまだ歌声など聞いたことがありません。声をあまり出さないため、「口をつぐんでいる」という意味で「ツグミ」の名にになったという話もあるようです。(ただしツグミの語源については諸説あります)声だけでなく見た目も地味なので、これといった特徴に乏しい鳥と言えます。
 さて、特徴こそありませんが、サイズはやや大き目ですから、地面で見つけると自然に目立ちます。似たサイズの鳥にヒヨドリやムクドリがいます。これらも地味な色目で大き目の鳥ですが、ツグミはこれらの鳥とちょっと違っていて、たいていが単独でいる姿を見ます。このようなこともあって、私はツグミに対してどことなく悲しげというか寂しげなイメージを持っています。しかも冬はサイズ的にも猛禽に追いかけられる格好の餌食であったりして、余計と不遇を感じさせられます。
 ツグミを見たいなら、真冬から春先の(お休み中の)田んぼや、同じ時期の河原の土手際などが観察しやすいと思います。都市公園の芝生や小道の脇などで、土や枯葉をクチバシでバッサバッサと払いながらエサを探す姿をみることができます。この時のツグミはエサ取り(土掘り)に一生懸命になって周囲への警戒が薄くなるようで、我々も結構近づいて観察することができます。近い仲間のシロハラやアカハラも同じような習性がありますので観察や撮影の狙い目となります。(地面の絵だとバックがなにもないので絵にはなりにくいですが。。)

 ツグミの動画を置いておきます。場所は干拓地、河川敷、湖周辺の湿地など。最後の水浴びは福山市近郊の山で撮ったものです。撮った場所がこれだけいろいろあるのは、それだけどこにでもいるという証しですね。最後の場面の真冬(1月)の川でやっている水浴びって「修行者か!」とか思う位に冷たそうですが、鳥って本当に元気ですね。特に足などは骨と皮だけみたいに見えるのですが、冷水の中に長時間浸かっていても霜焼けにならないのがとても不思議です。

 左「ツグミの動画 福山市他にて」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。


ツグミ ♀

 まずは全身写真です。色目のコントラストが全体的に低いので、♀だと思われます。「思われます」と断言できないのは、ツグミは色の変化が多い鳥だからです。でもこのツグミが♀だという自信のほどは85%くらいかな。以前山中湖でカップルと思しきツグミを観察していたとき、明らかに片方のコントラストが低かったので、基本薄い色のツグミは♀だと考えてよいと思います。左のツグミは春の季節に千葉市内の公園で撮ったものです。同じ公園でシロハラアカハラを見ました。色こそ違え、皆同じようなサイズで同じような歩き方の鳥ばかりです。
 種が違うのには何らかの理由があるはずです。それはエサの嗜好であったり、適した温度環境であったり、最終的には生きていくうえで有利になるような理由があるのだろうと思います。しかし前の3種など近縁の種が、同じ時間、同じ場所にいるのを見ると「彼らが同じ場所にいる理由って一体なんだろう」と少し不思議な気がします。
 私は見たことがないのですが、ツグミと非常に近い亜種でハチジョウツグミという種がいるそうです。ツグミと比べると腹周りが赤茶けているらしいのですが、やはりツグミと同じような場所にいるので、珍しい存在なのに見逃してしまい中々気付かないようです。私も気付かないだけで出会ったことがあるのかもしれません。来年は「またツグミかー!」などと言わず、しっかりお腹を確認しようと思います。

 左「ツグミ♀ 千葉市にて」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。


ツグミ ♂

 2022年の2月初旬、この年は例年より寒さが厳しく、長野や富士山方面では結構な雪が積もった日がありました。丁度3連休の前の日でしたが、さすがに普通車で降雪の翌日すぐに行くのは厳しいだろうと、一日空けて連休中日に雪の鳥を撮りに出かけることとしました。
 先に寄った八ヶ岳の麓は見事な雪があって青空も広がり、期待通りの素晴らしいロケーションでした。しかしながら長野はあまりよい鳥見のチャンスに恵まれせんでした。お昼になって清里で暖かいほうとうなどをいただくと、しゅんとしていた元気も戻ります。まだ時間も早いので今回は雪辱戦で帰り道に富士山周辺に寄って帰ることとしました。笛吹からR358を進み途中精進湖の横を通りますと、湖面は見事に凍っています。そこからもう少し走って目的地の広場に着きますとあたり一面は30cm近い積雪が残っていて、やや傾きかけた陽が雪に反射して目が誠に眩しいくらいです。
 現場でアトリやヤマガラなどに遊んでもらっていますと、足元の段差の死角から2羽のツグミ系の鳥が現れました。一羽はアカハラです。色が薄いので最初シロハラと間違いましたが、シロハラほど大げさに逃げなかったこともあり翼も全体的に赤茶のためアカハラと同定できました。もう一羽は普通のツグミです。色が濃いので♂くんですね。彼は最初10mほど逃げましたが、結局またこちらに戻ってきてあたりをうろついています。そんなとき丁度雪の上に出てきてくれたところをパチリ。雪が少し汚れていますがご愛敬。よい思い出の一枚を残すことができました。

 左「ツグミ ♂ 山梨県南都留郡にて」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。


ツグミ ♂の喧嘩

 2017年の正月明け、ついに念願のNikon純正500mmF4を購入しました。朝早くから買う気満々で新宿方面まで出かけたにもかかわらず、家に近い長津田駅についたのはもう16時になろうかという夕暮れまじかの時間帯でしたので、せっかくのレンズを山に持っていくことはもはや無理です。でも、少しだけでもいいから試し撮りをしたくて、帰り際、駅から近くの畑に寄って、「なにか鳥がいないか」と探してみました。すると、いましたいました。ツグミンが2羽。。。ツグミには失意礼ながら、「もう鳥なら何でもウェルカム!」でありましたので、夕陽の照る中ツグミを撮り始めたところ、最初知らぬふりをして並んでピョンピョンしていた二羽のツグミン達が急にバトルを始めたではありませんか。「これラッキーかも」と連射したのがこの絵です。まずは500mmF4-FLEDのデビュー作が購入その日になんとか撮れて、よかったよかった。早く朝から山や海に行きたいな。

 左「ツグミ♂の喧嘩 横浜市にて」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。(両者とも羽色のコントラストが高いので ♂ 同士の喧嘩だと思われます)


ツグミのアップ

 2017年4月、も後半。時期はもう初夏です。初夏の葦原に夏鳥を観察に来たところ、草むらでごそごししているやや大きな小鳥が。草の上に出てきた顔を見るとツグミです。まだ北に帰らなくてよいのかな?とちょっと心配ですが、口元の汚れをみていると、渡り前の栄養補給だったのでしょうか。色目的に♀さんっぽいですが、若鳥かもしれずよくわかりません。こうしてアップにしてみると、とても綺麗な目をしていますね。

 左「ツグミのアップ 茨城県稲敷市にて」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。


観察データ

場所と回数:広島県 19、岡山県 10、鳥取県 1、大阪府 1、滋賀県 1、長野県 5、山梨県 6、新潟県 1、神奈川県 13、東京都 1、千葉県 3、茨城県 8、宮城県 3、計72回。私が行く先ではどこでも大抵みられる鳥です。
低地の原っぱから亜高山の山中まで広く記録があります。木の枝に乗って木の実をついばんでいる場面も見ますが、全体的には地面や枯れ葉を掘り起こしてミミズなどの虫餌探しをしていることの方が多いと思います。

観察月と回数:
1月17 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
2月19 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
3月12 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
4月6  〇〇〇〇〇〇
5月1  〇
6月0
7月0
8月0
9月0
10月2  〇〇
11月2  〇〇
12月13 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
計72回

冬鳥です。10月18日~5月3日までの範囲で記録しています。他の冬鳥と比較すると、結構遅くに飛来してくるようです。データを見る限り、観察数が本格的に増え始めるのは12月中旬以降となっています。北への帰りも遅くて、桜が散ってもまだ近場で見かけることが多いです。




 (トップ画像 ツグミ♂ 2004/03/28 D100 300mm/F4 福山市芦田町自宅周辺にて撮影)

 初出:2015/06/14
 改訂:2016/01/27
 改訂:2017/01/15
 改訂:2019/12/14 観察データを追加と♂♀の区別の追加
 改訂:2021/08/07 ヒタキ科へのリンクを追加。観察データの更新
 改訂:2022/02/14 ♂画像を追加。観察データの更新