イソヒヨドリ 磯鵯
Isohiyodori
Monticola solitarius
Blue Rock Thrush

イソヒヨドリ スズメ目ヒタキ科
 海辺で見かける青色をした中型の鳥
 近頃は街ビル街にも進出する話題の鳥

   

イソヒヨドリ


イソヒヨドリについて
   
 イソヒヨドリは日本でこそ「磯ヒヨドリ」の名が付けられていて、実際に海辺で見る機会が多い鳥ですが、英名「Blue Rock Thrush」とある通り、海外では「岩場に棲む青いツグミ」として知られている中型の鳥です。
 外敵が寄りにくい切り立った岩場や崖が好きなようで、最近はその環境を街のビル街に求めたのか、私が住む横浜の北部でも通勤時にその歌声が聞こえるようになっています。これは関東だけでなく、福山市でも駅前でその姿を見たという話を聞いているので、全国的な傾向のようです。
 とはいえイソヒヨドリは、街のビルの天辺で見るよりは海辺で岩場をバックにした方がずっと絵になります。
 イソヒヨドリはとても魅力的なさえずりを聞かせてくれる鳥でもあります。初夏の頃に海岸沿いやビル街で美しく響く声が聞こえたら、是非近くにいるスズメより少し大き目なシルエットを探してみてみてください。




「イソヒヨドリ ♀ フェリーをバックに」 クリックで拡大します。

イソヒヨドリ ♀ フェリーをバックに

東京都大島町
1024×682 px
2012/12/10
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 300mm
f/4E PF ED VR +
AF-S TC-14E III TC14E3

 大島の港で私たちを出迎えてくれたイソヒヨドリの ♀ です。この日は天気がよくて12月とは思えない暖かさでした。イソヒヨドリのバックは青い海がよく似合います
 



「イソヒヨドリ ♂ 夕暮れの海をバックに」 クリックで拡大します。

イソヒヨドリ ♂ 夕暮れの海をバックに

島根県出雲市
1024×682 px
2019/09/14
Nikon D200 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3

 出雲参りをして日御碕に夕陽を見に行ったときに遊んでくれたイソヒヨドリの ♂ くん。お腹のレンガ色も夕陽に照らされて、ますます真っ赤に染まっています。



「見返りイソヒヨドリ ♂」 クリックで拡大します。

見返りイソヒヨドリ ♂

神奈川県三浦市
1024×682 px
2019/09/14
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR

 三浦半島の磯で海鳥を観察していたときに目の前に現れたイソヒヨドリ ♂ です。朝日の射す中、白波をバック且つ逆光の位置に来てくれたので、後ろ頭の青色も地味に見えます。
 この鳥は私に気が付いてもしばらくそこでしばらくじっとしていてくれました。イソヒヨドリはある程度の距離があった方が過敏な印象で、少し近づこうとして察知されるとまだ距離があるうちにさっさと逃げられてしまいます。一方で向こうからやってきて最初から近い位置にいると割と逃げません。もしかすると「あっちいけ」と怒られているのかもしれませんが。



「岩場のイソヒヨドリ ♂」 クリックで拡大します。

岩場のイソヒヨドリ ♂

神奈川県三浦市
1024×682 px
2017/04/30
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR

「岩場のイソヒヨドリ ♀」 クリックで拡大します。

岩場のイソヒヨドリ ♀

神奈川県三浦市
1024×682 px
2017/04/30
Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR

 ♂ と ♀ のアップ目の絵を紹介します。どちらも神奈川県三浦半島の海辺の岩場で撮った絵です。同じ場所で同じ時間帯で撮っていますので、カップルだった可能性が大きいです。GWの記録なので、繁殖前の恋の季節でしょうか。どちらの個体も普段よりきれいに見えます。



「イソヒヨドリの飛翔」 クリックで拡大します。

イソヒヨドリの飛翔

長崎県五島航路
1024×682 px
2015/08/14
Nikon D7100 Mode A
Tamron A011 150-600mm / F5.6-6.3


 五島列島に行った帰りのフェリー航路で甲板の上にいた一羽のイソヒヨ。
 暇なのかたまに頭上を行ったり来たりしていたので見上げたパチリした一枚。逆光なのがかえって良かったようで、羽根が透けて分かりやすくなりました。



「イソヒヨドリの羽根」 クリックで拡大します。

イソヒヨドリの羽根

神奈川県横浜市
540×810 px
2017/07
Nikon D200 Mode A Nikon DX Zoom 18-55mm/F3.5-5.6G II ED  

 横浜の職場の外の階段で拾った正体不明の羽根。色やサイズ的に見て、一番最初に疑ったのはヒヨドリでした。ただ時期は夏でした。今よく外でイソヒヨが鳴いているのはヒヨでなくイソヒヨの方ですから、こちらもありかな?と。家に持ち帰って図鑑で両者を調べてみると、どうやらイソヒヨの初列風切P3あたりと特徴が一致したため、無事同定が済みました。



「イソヒヨドリの蟹捕り」 クリックで拡大します。

イソヒヨドリの蟹捕り

千葉県九十九里浜
1024×682 px
2022/01/03 Nikon D500 Mode A
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR


 冬は九十九里浜のところどころある防波堤の突端へ行って海ガモの観察をします。突端に出る途中の両脇はたいてい消波石で守られていますが、ここにはときどきシギやチドリも来てくれるので、防波堤での観察の楽しみの一つになっています。この絵はそんな観察をした日の一枚です。
 ちなみに過去各地の防波堤脇で見たことのある種を紹介すると、チュウシャクシギ、キアシシギ、キョウジョシギ、イソシギ、ハマシギ、ミユビシギ、シロチドリ、ハジロコチドリ、ハクセキレイ、そしてイソヒヨドリなど。ここで見られる最大のポイントは鳥との距離が近いこと。皆、岩場に隠れた餌探しで必死になっていて、ときには5m以内の距離でレンズからはみ出そうになるくらいの観察ができることがあります。また防波堤の足元の海にいる海ガモやカイツブリ類も10m以内に近寄ってくることがあり、私は防波堤は隠れた(?)好ポイントではないかと思っています。


観察データ

場所と回数:佐賀1、長崎3、高知1、山口1、広島3、岡山1、鳥取1、三重県 1、愛知1、静岡3、山梨1、新潟県 1、神奈川県 6、東京都 2、千葉県 3、宮城 1、計30回。九州から東北まで、海岸沿い、街中の低めのビル屋上で普通に見ている鳥です。
 海辺の岩場、護岸、漁港の屋根など、見渡しの良い場所にいるので見つけるのは楽だと思います。また、山梨県の河口湖のような淡水湖周辺、横浜市緑区や青葉区のような海から10km以上入った内陸の街中でも見ています。河口湖は岸辺の溶岩の岩場が海辺とシチュエーションとして似ていました。
 横浜の街中ではビル群が巣となっているようです。神奈川では6回をカウント(撮影回数)として挙げてありますが、初夏などは実際のところ毎日のように通勤路(駅近くのバスターミナル近く)で鳴き声を聞いています。鳴き声も派手なので、とても見つけやすい鳥だと思います。ただし街中の観察は望遠レンズや双眼鏡を向けにくい(盗撮と間違われる!?)のでお勧めしません。。というわけでイソヒヨを撮りたいと思ったら海へ行きましょう。

観察月と回数:
1月3 〇〇〇〇
2月2 〇〇
3月0
4月2 〇〇
5月2 〇〇
6月0
7月1 〇
8月4 〇〇
9月2 〇〇
10月5 〇〇〇〇〇
11月3 〇〇〇〇
12月3 〇〇〇〇
計30回

  3,6月の記録が欠落していますが、おそらく通年で観察できる鳥です。さえずりを聞くなら初夏がいいと思います。とはいえ真夏でも結構鳴いていますが。。





 (トップ画像 イソヒヨドリ 2016/09/25 D7100 150-600mm/F5.6-6.3 静岡県伊東市にて撮影)

 初出:2015/01/24
 改訂:2016/09/27 トップ画像を差し替え
 改訂2:2017/05/21 ♀画像を差し替え
 改訂3:2018/02/04 飛翔絵と羽画像を追加
 改訂4:2018/06/03 科をツグミからヒタキに変更
 改訂5:2018/09/09 観察データを追加
 改訂6:2021/08/09 ヒタキ科へのリンクを追加。観察データの更新
 改訂7:2022/03/01 ♂ アップ画像を追加。観察データの更新
 改訂7:2023/11/26 全面改訂