シロハラ 白腹
Shirohara
Turdus pallidus
Pale Thrush

シロハラ スズメ目ヒタキ科
 すぐ横の藪の向こうから突然
 「クピピピピ!」とけたたましく鳴いて
 必死の形相で逃げ去る中型の鳥。
 驚かされるのはむしろこちらなのですが。。。
 

   

福山市、横浜市、千葉市などでの観察


シロハラのこと、動画の紹介

 鳥見を始めた頃、冬に山の遊歩道を散策していると、すぐ横の藪の中から突然「クピピピピー !」と非常に大きな鳴き声を上げて飛んで逃げていく鳥に出会いました。このような経験は、自分の普段の生活圏では持ち合わせておりません。その後同じことが何度も続くので、「あれはいったい何者 ?」と非常に興味を持ちましたが、いつもいきなりの騒ぎですし、また凄い勢いで遠くの藪の中へ逃げていくので、カメラを向けることはもちろん、目視確認ももほとんどままなりません。なんとなくツグミっぽいけど、ツグミはあんなに鳴きませんし、普通にどこででも見かけます。経験を重ねるうち、奴はどうやら薄茶色の鳥だということがわかりました。いくつかのヒントを重ね合わせて図鑑で調べていくうちに、どうやらシロハラという鳥らしいことを知りました。
 初めてしっかりとシロハラの姿を見たのは、ある冬の日、いつものホームグラウンドで車を止めた直後のことでした。フロントガラスの向こう、すぐ近くの木にシロハラが止まっているではありませんか。いつもあれ程騒いで逃げるのに、この日は全く逃げようとしません。「鳥って本当に車には無防備なんだな」と、あらためて思いました。しかしガラス越しの写真はぼやけて失敗。扉を開ける瞬間には当たり前のごとく逃げられてしまいました。以後もシロハラとは毎回追いかけっこが続いていますが、山で会うシロハラは結局のところ、こちらがじっとしている時にたまたま知らずに向こうから飛んで来るパターンでしかじっくり観察できる機会はありません。
 次に紹介する動画は、やはりじっとしている時に飛んできたシロハラが少し遠くで地面をごそごそし始めた時の記録です。随分派手に地面の枯葉をバッサバッサと飛ばしながらエサを探しています。身体の色のコントラストが特に低いことから、この個体は♀さんだと思われます。いつもこちらからは見えない藪の中でこんな風に枯葉を飛ばしているのでしょうか。ホオジロ類も地面に積もった枯葉をごそごそしてエサを探しますが、さすがにこんなに散らかす様は見られないですね。豪快というか、面白い奴というか。。。

  動画を置いておきます。最初から最後まで「枯葉バサバサ」で終わる単調な動画ですが、全て福山市で撮ったものです。

 左「シロハラの動画 福山市」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。


公園のシロハラ

 2015年3月まだ福山にいるときのこと、息子の引っ越しで千葉へ出かけました。せっかくの関東遠征で何もせずにいるのはもったいないと、朝早く起きて自転車で近くの公園に出かけてみました。広い広い公園の周回歩道をゆっくり見て回ると、お目当てのオナガにこそ出会えなかったものの、街中なのに思っていたよりずっと多くの鳥を見ることができました。
 歩道のすぐ脇の木陰にはキジバトが悠々歩いています。「街中の公園の鳥はやはり人馴れしているなぁ」と自転車を止めて観察していると、その横にキジバトよりちょっと小さいツグミが。。いや、ちょっと違う。。地味。。。シロハラです。福山の山でみるシロハラは、ほんの少し近づいただけでまるで人を犯罪者扱いするかのように大げさに鳴き声を上げて逃げるくせに、ここでは間近にいる私の目線にも平気な顔をして、バッサバッサと毎度おなじみの落ち葉掃いをしています。二重人格なのか、それとも環境次第で感化されやすい性格なのか。。。ちなみに翌日同じ公園で見かけたアカハラも同じように落ち葉掃いをしていました。お腹の色は違ってもやはりお仲間なのですね。ということは、アカハラも山で出会えばきっと私を犯罪者扱いするのかな。。。とりあえずお二方には「落ち葉掃い、ご苦労さん」と声をかけてその場を去りました。できれば福山に帰ってまた出会っても、今度からは逃げずに私と仲良くして欲しいものです。(きっと無理)

 左「公園のシロハラ 千葉市」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。


公園のシロハラ 2

 2021年の春、訳あって大阪の実家に10日ほど滞在しました。滞在最後の週末に、丁度桜が見事の大阪城公園に出かけましたところ、ぽつぽつと野鳥が見られます。公園の鳥たちですから、どの鳥も基本とてもフレンドリーです。見つけたシロハラもいつもなら藪の中に入って出てこないところですが、ここでは姿が丸見えの木の枝でポーズを取ってくれました。

 左「公園のシロハラ 2 大阪市」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。



観察データ

場所と回数:鹿児島 1、広島14、岡山 1、鳥取 1、大阪 2、神奈川県 5、千葉県 1、都合25回。基本的に低山にいる鳥です。不思議と1,000mを超えるような亜高山では記録がありません。観察の中では山裾の小道を歩いていて、すぐ隣の藪から急に声を上げて飛び立つパターンが多いです。一方各地の都市公園にも多く、こちらは人と鳥とがお互い目視で姿が見える距離で観察できます。同じ鳥なのに場所によって人に対する慣れが極端に違うのが面白いですね。

観察月と回数:
1月6  〇〇〇〇〇〇
2月12 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
3月3  〇〇〇
4月0
5月0
6月0
7月0
8月0
9月0
10月0
11月1  〇
12月3  〇〇〇
都合25回

 冬鳥です。11月下旬から3月末までの記録があり、寒さが厳しい時ほど見かける率が高い印象があります。




 (トップ画像 シロハラ 2010/01/17 D200 300mm/F4 福山市にて撮影)

 初出:2015/01/07
 初出:2015/03/25 アップ画像の差し替え、文章校正
改訂:2021/08/05 ヒタキ科へのリンクを追加。観察データの追加
改訂:2022/02/21 静止画を1枚追加。観察データの更新