ノビタキ 野鶲
Nobitaki
Saxicola torquata
African Stonechat

ノビタキ スズメ目ヒタキ科ノビタキ属
 夏は高原で黒頭巾
 秋は平地でスズメ色の小さな小鳥

   

福山市、南伊豆町(秋)、長野県(夏)での観察について


ノビタキの動画
 福山市で本格的に野鳥観察を始めたのは2006~7年頃からだったと思います。ごく最初の頃は自宅近くの芦田川周辺を自転車でうろうろして、河原の鳥を撮ることから始めました。秋になって日中動きやすくなった10月ある日、河原の痩せた草に止まっている茶色い小さな小鳥を見つけました。スズメのような身なりですが、なんとなく体が軽そうです。「スズメだったら草がもっとしなるよな」、とか思いながらシャッターを切りました。この頃、まだ三脚も使わず、手振れ補正もないサンヨン+D200の布陣ですから、撮れる絵も半分くらいはぼけています。家に帰って図鑑と睨めっこしながら、
 やはりスズメではない
 ジョウビタキの♀のように思えるが、ジョウビタキ♀は草に止まるのを見たことがない
 ノビタキというのにとても似ているが、そんな小鳥この辺でいるのだろうか(自信なし)
 と相当悩んで、最終的に「たぶんノビタキ」と自分に言い聞かせることとしました。
 それから3年ほど経って、主戦場をふれ愛ランドに変えて一番鳥見にはまっていったやはり秋の日、再び茶色いノビタキっぽい小鳥に出会いました。今回は河原ではありませんが、池の縁のちょっとした草むらで初見のときと同じように草に止まっています。幸いその頃には、カメラとレンズは同じ布陣であるものの、ぶれ対策としてきちんと三脚を使うようになり、鳥撮影にも多少慣れてきておりました。今回は種がはっきりと分かるだけでなく、風景に溶け込んだお気に入りの絵を残すことができました。
 しかしその後何故かノビタキと出会うことがなくなりました。2013年になってV1で動画も撮れるようになってからは、「ノビタキの動画に撮りたい!」と、毎年秋になるたびにターゲットとして認識するようになったにも関わらず、とうとう福山ではその後一度もノビタキを撮れずに終わってしまいました。
 横浜に住まいを移してからは、逆にノビタキが営巣する高原が日帰りで行ける場所にあると知りまして、ノビタキを求めて何度か長野県へプチ遠征し、2017年の初夏、やっと黒頭巾のノビタ君を動画に撮ることができました。思えば、ここに至るまでに初見からすでに10年の時が経っています。前回最後に秋のノビタキを撮ったのは2009年でしたから、8年かかってやっと再会が叶ったわけです。
 ノビタキの動画を紹介します。最初の絵は2017年5月に長野県霧ヶ峰で撮ったもの、続く石の上でさえずる場面は同年6月に長野県美ヶ原で撮ったもの。続いて2018年6月に霧ヶ峰で撮ったつがいは地鳴きを続けています。ラストのスズメっぽい冬羽の茶色い個体は2017年秋に伊豆半島南端石廊崎灯台近くで見つけたものです。9月末だったので渡り寸前だったのでしょうね。無事南の国へ行けたかな。左サムネイルをクリックすると動画にリンクしています。動画は23MBありますのでDL環境にご注意ください。


秋のノビタキ♀

 2009年9月27日の日付で撮ったノビタキです。翌週も同じ個体を見かけました。2006年に自宅近所で見た個体は10月14日の日付です。9月末から10月中旬までが福山近辺での渡りの季節だったのでしょうか。草むらでチョウやバッタに飛びかかっていました。確かにこの時期のふれ愛ランドは小さなバッタが山ほどいて、渡前の体力づくりにはよい環境だったのかもしれません。ちなみにこのノビタキはのどの白さや腰の赤っぽいいろからしてノビ子さんのようです。ノビ太の場合、のどが黒ずんでいたり、腰が白っぽいとのこと。横向きと正面むいたものの2枚をおいておきます。D200らしい濃い緑がきれいに出ていて、古いながらもお気に入りの絵です。

 左「秋のノビタキ♀その1、その2」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。


夏のノビタキ ♂

 2018年6月、土曜の朝に所要を済ませて、家を出たのは9:30頃となりました。通常は早朝に出て朝の間に鳥見を澄ませ、午後早い時間に帰宅するパターンですが、今回は午後から夕方の鳥見となります。とりあえず行き先を霧ヶ峰と決めて、先に諏訪大社の下社を2つ廻り、八島湿原に登ります。ところが山に上がると周囲は霧で真っ白です。これではカメラの出番がないため、場所を移すこととしました。しばらく走っていると段々霧が晴れ、緑の草原の中に真っ赤なレンゲツツジが咲き乱れています。駐車場に車を停めて周囲を見ますとおひとりカメラマンの姿がた見えました。何かがいそうです。そちらへ向かってみたところ、ノビタキのつがいが一組、草っ原を飛び回っていました。ススキの枝被りが多くてなかなか良い絵が撮れなかったものの、なんとか去年のものよりは良さそうな絵が残せました。

 左「夏のノビタキ ♂」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。


夏のノビタキ ♀
 秋に見たノビタキは♂も♀も茶色い色をしていました。夏に霧ヶ峰で見たノビタキは♂は黒頭巾、♀は茶色いいつものノビタキです。。。いや、ちょっと違います。秋の茶色いノビタキはお腹がホオジロみたいな明るい茶色ですが、夏の茶色いノビタキはお腹が白っぽいです。メスは冬羽も夏羽も同じ茶色だと思っていたら結構違うのですね。ちなみにアップで横顔を見てみると、このノビ子さん、目のあたりがジョウビタキのジョビ子さんにそっくりです。鳴き方も実はジョウビタキみたいにチャッチャヒッヒ鳴いていて、両者はとても近い種なのだなとあらためて思わされました。

 左「夏のノビタキ ♀」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。


ノビタキ ♂ の飛翔

 上の動画からの切り出し画像です。小さい絵ですが、腰と翼の白斑が目立つので置いておきます。この時期はこのような目立つ姿をしていても、捕食者があまりいないので平気なのかな?それと夏に黒頭巾、冬はスズメな小鳥って多いですよね。オオジュリン、コジュリンなんかもそうですし、何かいいことあるのかな。夏に頭が黒いとお日さん浴びて暑くなって大変だと思うのですが。。。

 左「ノビタキ ♂ の飛翔」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。


 (Top画像 霧ヶ峰のノビタキ 2018/06/16 D500 500mm/F4 レンゲツツジが咲き乱れる長野県霧ヶ峰周辺にて撮影)


観察データ

場所と回数:広島県 3、長野県 7、静岡県 1、都合11回。亜高山以上では夏鳥、本州の平地では渡り鳥です。

観察月と回数:
1月0
2月0
3月0
4月0
5月2 〇〇
6月3 〇〇〇
7月1 〇
8月0
9月2 〇〇
10月3 〇〇〇
11月0
12月0
都合11回
 夏の亜高山では黒頭巾の♂が見られます。またこの時期の♂はさえずりもきくことができます。秋によく見かける渡りの時期は ♂ ♀共に茶色い地味な色をしています。



初出:2017/08/04
改訂:2017/10/29 動画に冬羽個体を追加
改訂:2018/06/03 科をツグミからヒタキに変更、動画の音量調整差し替え
改訂:2018/06/17 トップ絵、動画、夏の♂、♀画像の差し替え
改訂:2021/08/05 ヒタキ科へのリンクを追加。観察データの追加